美術家・会田誠氏、カンヌ受賞作「ザ・スクエア」のネット炎上描写に「心がぞわぞわした」
2018年4月28日 21:00

[映画.com ニュース]美術家の会田誠氏が4月28日、ヒューマントラストシネマ有楽町で行われた「ザ・スクエア 思いやりの聖域」初日トークショーに来場した。
「フレンチアルプスで起きたこと」で注目された鬼才リューベン・オストルンド監督の最新作となる本作は、2017年・第70回カンヌ国際映画祭で最高賞となるパルムドールを獲得したヒューマンドラマ。アート界で成功を収めた男性がさまざまなトラブルに見舞われる様子を痛烈な笑いを込めて描き、他者への無関心や欺瞞、階層間の断絶といった現代社会の問題を浮き彫りにした。
「僕はオストルンド監督の悪意は好き」と語る会田は、本作を大変気に入ったそうで、「現代美術館のチーフキュレーターが主人公のイヤ~な感じの(褒めてます)映画がカンヌ最高賞っていう、その構図自体が、あまりに日本と違う(ネット炎上とか同じところもあるけど)。この善かれ悪しかれの違い、今観ておくべきだと思いますよ」とコメントを寄せていた。さらにツイッター上でも「俺が作ったのかと思うくらいの業界への嫌味」と語ったり、猿の物まねをするパフォーミング・アーティストがパーティで暴走する場面について「あれは僕の(やりたくてもやれない)理想像だ…」と語ったりするなど、共感する場面も非常に多かったという。
この日、あらためて本作を見直してみたという会田氏は、「やはりあらためてこの監督はなかなかの人だなと思いましたね。人間の真理、ダークで嫌な面をよく観察している。きっと人間観察に長けた人なんでしょうね。人間のコミュニケーションのやりとりがスムーズにいかずに、人間の心の嫌な部分がにじみ出てくるような感じですね」と改めてオストルンド監督の才能に感じるところがあった様子。
本作の劇中には、主人公が担当する次の展覧会の作品「ザ・スクエア」を宣伝するために、広告代理店が刺激的な宣伝動画をネットにアップし、大炎上を起こす場面がある。その場面について「特に心がぞわぞわした部分。炎上の当事者になったということは、僕にも2、3件、身に覚えがあるから」と笑う会田氏は、「ただし、この映画のシチュエーションと僕とは逆。この映画に出てくる展覧会はマジメだし、善意に満ちている。でもそれだと宣伝力がないから、宣伝という表面だけはエグくやろうとしたら炎上してしまったというもの。でも僕の場合は、もともと作品がエグくて、むしろ展覧会の広告の段階では表現を抑えたのに、結果として『ああ、やっぱり炎上しちゃった』という感じなんですよね」と付け加える。
そしてこの日は、観客からの質問コーナーも実施され、「現代のネット社会において、美術家はどのようにネットと関わりたいと思っているのか?」との質問を受けるひと幕も。それには「これはアーティストそれぞれで、答えもいろいろだと思うが」と前置きしつつも、「僕は割とツイッターとは相性がいいと思っていて、アート活動とリンクしてやってるつもり。でも、多くのアーティストはツイッターはしないですね。やっていた人も離れていく傾向がある。アーティストは心優しい人が多いんで、ツイッターに悪意が渦巻いた時に耐えられない人が多いんでしょうね」と返答するひと幕もあった。
「ザ・スクエア 思いやりの聖域」はヒューマントラストシネマ有楽町、Bunkamuraル・シネマほかにて全国順次公開中。
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