【「ARGYLLE アーガイル」評論】奇才ヴォーンが新たな語り口スタイルで挑む予測不能すぎるスパイ活劇
2024年3月3日 15:00

マシュー・ヴォーン作品にはいつも徹底したブランディングがある。鮮烈なキャラ&世界観のデザインから、針が振り切れたような超絶アクションに至るまで、まさにスタイルの極み。その持ち味は、“アーガイル柄”を随所にあしらったこの映画でも変わらないが、ひとつ決定的な違いを挙げるなら、いつも以上に「ストーリー主導」なところだろう。序盤からフルスロットルで展開するストーリーを原動力として、決して一直線ではない新たな語り口のスタイルが醸成されていく。そうやってヴォーン自身、従来の殻を破って進化を遂げようとする様がありありと伺えるのだ。
まずもって面白いのは、主人公エリー(ブライス・ダラス・ハワード)が世間で大人気のスパイ作家であること。彼女が執筆する創作世界では、架空のエージェント、アーガイル(ヘンリー・カビル)が超絶スパイとして活躍を見せる。その最新小説の続きをどうするべきか。攻め手を欠いた彼女はリフレッシュを求めて愛猫と共に列車旅へ。そこで自分こそがスパイだと名乗る奇妙な男エイダン(サム・ロックウェル)に声をかけられ、あれよあれよという間に、小説世界を凌駕する展開へ巻き込まれてしまう――。
かくも人気作家が冒険に乗り出す例で言うと、真っ先に浮かぶのは「ロマンシング・ストーン 秘宝の谷」や「ザ・ロストシティ」だろうか。が、ヴォーン流の映像絵巻は、もっと鮮烈で、大胆で、恐れ知らずだ。時折ほとばしる現実と空想の二重構造で思いっきり遊びつつ、普通なら複雑さの内に溺れそうな箇所であっても、颯爽とした笑いとアクションを併せて提示することで観客をより強烈に惹きつけていく。
一方、豪華キャストの中でとりわけ異彩を放つのがサム・ロックウェルだ。まさにスパイの如くどんな映画にもごく自然に溶け込む彼が、本作ではハワードと息の合ったバディになって、八面六臂の大活躍を見せるのである。得意のダンスステップ、半笑いの表情、型にはまらぬ飄々とした存在感がヴォーン世界と絶妙にマッチして「こんな彼が見たかった!」と歓喜せずにいられない。
「キングスマン」シリーズでスパイ映画に革命をもたらしたヴォーンが挑むこの新たな境地。振り落とされないようしっかりしがみつきながら、その予測不能な展開と随所にほとばしる妙味と遊び心を、心ゆくまで堪能したい。
(C)Universal Pictures
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