【「ハンガー・ゲーム0」評論】ディストピアの前日譚に新たな風を吹かせるブロンドの青年スノー
2023年12月29日 08:00

前作から8年後。少し長いインターバルをとって再び映画化された第4作は、「ハンガー・ゲーム」シリーズの前日譚。独裁者、コリオレーナス・スノーの少年時代にフォーカスする。8年ぶりということもあり、過去作のおさらいを少し。近未来、文明が崩壊し独裁国家となったパネムを舞台に、シリーズ第1作と2作では12歳から18歳までの少年少女が、文字通り生き残りをかけたハンガー・ゲームに挑む姿を、前後編に分かれた完結編では生け贄にされた若者たちの国家への反乱と革命を描いた。スーザン・コリンズの原作は”ヤングアダルト小説”のバイブルとなり、主演のジェニファー・ローレンスは本シリーズを踏み台にしてスターダムを駆け上がった。
しかし、最新作では設定上、当然ローレンスが演じるヒロイン、カットニスは登場しない。スター不在になった物語を、2人の若者が受け継ぎ、オリジン・ストーリーを牽引していく。一人は勿論、青年スノーだ。1作目から遡ること64年前、スノーは記念すべき第10回ハンガー・ゲームの新たな試みとして、12ある各地区から1人ずつ選ばれたチャレンジャーの教育係に任命される。そして、彼が担当するのが最も脆弱な第12地区出身で、気性が荒く歌声が武器の少女、ルーシーだ。スノーはコーヴィーと呼ばれる旅回りバンドの歌手であるルーシーの美しい歌声に惚れ込み、2人は共に危険に身を晒す過程で恋に落ちていく。
ルーシー役にレイチェル・ゼグラーが抜擢されたのは、「ウエスト・サイド・ストーリー」(2022)のマリア役で証明した高い歌唱力が決め手だっただろう。本作でも彼女の歌声で映画の空気感が変わるのがよく分かる。対して、スノー役のトム・ブライスはどうか。彼のトレードマークとも言えるカールしたブロンドヘアは、サバイバルアクションの主人公としては異色かもしれない。しかし、やがて自分自身の中に一筋の冷酷さを察知した時に見せる象徴的な変貌ぶりは、後に訪れる恐るべき未来を確実に予感させて、シリーズ全5作が同じタイムラインに乗っかった気がするのだ。
監督のフランシス・ローレンスがネット上のファンアートを見てキャスティングしたという、悪役ゴール博士に扮したヴィオラ・デイヴィスの、何かをかなぐり捨てたような怪演ぶり、MC役を演じるジェイソン・シュワルツマンの屈折した可笑しさ、等々。他にもポジティブな発見がある8年ぶりのシリーズ最新作は、全米では基になっている原作を愛読する若者世代に支えられ、ヒットし、話題作として受け止められている。日本の観客の反応が気になるところだ。(清藤秀人)
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