【「アメリカン・ユートピア」評論】ミニマルなのにゴージャス、デジタルなのにアナログ。超ハイコンセプトなステージ
2021年4月30日 16:00

2~3年に1本、「映画の仕事していて良かったなあ」と思える作品に出合うことがあります。それがこれ「アメリカン・ユートピア」。2021年、私にとってのパーソナル・ベストです。まだ4月ですが。
大学生になって東京に出てきて、初めて見に行ったライブがトーキング・ヘッズでした。この映画の主人公デビッド・バーンのバンドですね。第1部をトム・トム・クラブが務めた厚生年金ホールの公演です。1985年の夏には、台風の夜、渋谷の映画館にトーキング・ヘッズのライブを映画化した「ストップ・メイキング・センス」を見に行ったのも覚えています。興奮して映画館から出てきたら、もの凄い嵐だった。
デビッド・バーンは、ブライアン・イーノとつるんでいますから、相当なインテリなんだと思います。でも、身体をクネクネさせてステージを動き回る姿は全然インテリっぽくない。サウンドも、トンガってるというよりはどこか能天気。好き嫌いが分かれるところでしょう。
そして「ストップ・メイキング・センス」から36年後に登場した「アメリカン・ユートピア」にはブッ飛びました。デビッド・バーンはもう過去の人かと思ったら、数段進化していた。本当に驚き、感動しました。
ステージは超ミニマルで、PAもなければ、楽器もなければ、ケーブル類も一切ない。アンプラグドならぬアンワイヤード。すだれみたいな細い縦のロープが3面に張られて、そこを手で割ってバンドメンバーが出入りする。バンドは12人構成のマーチングバンド。楽器はすべて手持ちか首から吊られているので、完全にモバイル。恐らくブルートゥースでPAに接続しているのでしょう。
監督はスパイク・リーです。これがまた凄い仕事をしています。ライブの公演を収録した映画なのに、カメラばれが一切ないんですよ。会場の観客には、カメラマンの姿は絶対に見えているはずで、どうすりゃ映画でこんな仕上がりになるんだよってずーっと考えてました。恐らく、最低2回の公演で撮影を行っています。その際、カメラの配置を変えて撮影したのでしょう。ステディカムは、動く軌跡を数パターン用意しています。よくよく考えながら映像見ていると、めちゃめちゃ緻密な撮影やってるって分かりますよ。
デビッド・バーンは相変わらず身体を張っています。バンド自体がモバイルなんだから、もう縦横無尽に動き回る。
それにしてもこのステージはウルトラ・ハイコンセプトです。「ミニマルなのにゴージャス」「デジタルなのにアナログ」という2つの相反する概念を両立させている。しかも完全にワイヤレス。デビッド・バーンの楽曲があんまり好きじゃない人でも、この映画見たら踊り出したくなると思います。ライブの観客もみんな「バーニンダウンザハウスッ!」って叫びながら踊ってますし。
これはニューヨークに行って、生で見たいヤツですね。いつかチャンスが来ると信じて、東京の映画館にあと3回は見に行くつもりです。
関連ニュース
映画.com注目特集をチェック
ウォーフェア 戦地最前線
【配信を待つな!劇場で観ないと後悔する】戦場に放り込まれたと錯覚する“レベルが違う”究極没頭体験
提供:ハピネットファントム・スタジオ
イカれた映画を紹介するぜ
些細なことで人生詰んだ…どうにかなるほどの強刺激、感情ぐっちゃぐちゃになる超オススメ作!
提供:ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
なんだこの“めちゃ面白そう”な映画は…!?
【妻を殺したのは…自分…?】あなたにも起こり得る驚愕×強刺激×ド迫力タイムリミットスリラー!
提供:ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
エグすんぎ…人の心はないんか…?
【とにかく早く語り合いたい】とにかく早く観て! そして早く話そうよ…!
提供:ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
こんなに面白かったのか――!!
【シリーズ完全初見で最新作を観たら…】「早く教えてほしかった…」「歴史を変える傑作」「号泣」
提供:ディズニー