テリー・ジョージ監督、虐殺事件の真実照らす「THE PROMISE」に感じた“映画の力”
2018年2月2日 15:00

[映画.com ニュース] ルワンダ虐殺のさなか、多くの人々を救ったホテルマンの実話を描いた「ホテル・ルワンダ」が世界中の感動を呼んだテリー・ジョージ監督が、最新作「THE PROMISE 君への誓い」を携えて来日した。本作はおよそ100年前のオスマン帝国(現在のトルコ)で起きたアルメニア人虐殺の史実を背景に、歴史に翻弄される男女3人の運命を描き出している。
アルメニア人虐殺という知られざる史実にスポットを当てつつ、3人の男女の三角関係を軸にしたラブストーリーとして展開する本作。ジョージ監督は「プロデューサー、そして出資者から当初より『叙事詩的な物語を作ってほしい』『ラブストーリーにしてほしい』と言われていました。方向性として目指したのは、デビッド・リーン監督の『ドクトル・ジバゴ』やウォーレン・ベイティが監督、主演した『レッズ』のような作品でした。登場人物たちと彼らが織りなすドラマをきっかけに、第1次世界大戦やアルメニア人虐殺の史実を知らない人をも物語に引き込んでいくことを考えました。何より私自身、こうしたジャンルの作品が好きなんです」と影響を受けた作品群を挙げる。
本作の美術監督を務めたベンジャミン・フェルナンデスは前述の「ドクトル・ジバゴ」に美術スタッフとして参加しているほか、「エイリアン」「トゥルー・ロマンス」など数々の作品に携わってきた。アルメニア人虐殺は、いまなおトルコが国家として正式に事件の存在を認めていないこともあり、トルコ国内で撮影することはかなわず、スペインで主に撮影されたが、当時のコンスタンティノープル(現イスタンブール)の街並みが完璧に再現されるなど、美術の精度の高さも目を引く。「彼との仕事は本当に素晴らしい経験でした。いろんなロケ地を知っているし、実際、今回も『アラビアのロレンス』で使用されたのと同じ場所で撮影もしてるんです。特にコンスタンティノープルでも最大規模の市場(グランドバザール)を丸ごと再現してくれたセットはすごく気に入っています。それから、戦艦の甲板のセットは、マドリッドのショッピングモールの駐車場で作られたんです。買い物に訪れた人々は何事かと驚いていました(笑)」。
本作には、医師を目指すアルメニア人の青年・ミカエル役のオスカー・アイザック、アメリカ人ジャーナリストのクリスを演じたクリスチャン・ベール、その恋人で西欧育ちのアルメニア人のアナ役に抜てきされたシャルロット・ルボンといった演技派が結集。ジョージ監督は、「3人とも素晴らしい役者ですが、それぞれにアプローチが違うんです。オスカー(・アイザック)はジュリアード出身で、徹底したメソッドアクティングをする俳優ですし、ベールはリサーチを重ね、小道具やメイクによって役へと変身するカメレオン役者です」と男優陣をたたえつつ、「ザ・ウォーク」にも出演したルボンとの出会いを回想する。「アナ役はこの2人の男を夢中にさせる魅力を持ち、かつ女優として2人の名優と渡り合わなくてはなりません。100人以上の女優に会いましたが、あるニュース記事で、(スティーブン・)スピルバーグがシャルロットを絶賛していたんです。フランスのテレビ番組で、彼女はお天気キャスターのような役回りで、コメディをしていたということで、すぐにその番組をチェックして、存在感もあり、面白くて驚きました。そこですぐ、ニューヨークに来てもらいました。3人によって三角関係のダイナミズムが生まれたと思います」。
日本で監督の名が知られるようになったのは、日本での公開を熱望する人々による署名運動が巻き起こった「ホテル・ルワンダ」の存在が大きいが、それ以前から、ダニエル・デイ=ルイス主演の「父の祈りを」(脚本)、「ボクサー(1997)」(脚本)、ヘレン・ミレン主演作「Some Mother's Son」(日本未公開)など、歴史や政治問題を描いてきた。この3作は、いずれも宗教対立で揺れる北アイルランドの現実を描いた作品。監督自身、北アイルランドのベルファスト出身であり、それが映画監督としてのアイデンティティにも強く影響しているようだ。
「僕自身の生い立ち、ベルファストで過ごした日々が、この3部作のきっかけになっていることは間違いないです。改めて『父の祈りを』を見ると、あのとき、あの場所で何が起きたかという内情を理解させてくれる映画というメディアの力を強く感じます」と語ったジョージ監督は、「『シンドラーのリスト』や『キリング・フィールド』しかり、映画には他のメディアにはない力があるのです。ごく普通の市井の人々がとんでもない状況に投げ込まれたとき、どう対処して決断するのか? それを物語るひとつの手法でありとてつもない力が宿っている。私にとっては、このジャンルが最も重要な映画のジャンルであると信じているし、こうした作品で映画監督でいられることを光栄に思っています」と結んだ。
「THE PROMISE 君への誓い」は、2月3日から全国公開。
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