庵野秀明、宮崎駿&高畑勲の製作現場を比較
2017年7月1日 22:45

[映画.com ニュース] 米林宏昌監督がスタジオジブリ退社後に初めて手がけた長編アニメーション映画「メアリと魔女の花」の公開記念鼎談(ていだん)が7月1日、東京・イイノホールで行われ、本作のプロデューサー・西村義明氏、スタジオカラーの庵野秀明、ドワンゴ取締役会長である川上量生氏が出席した。
「借りぐらしのアリエッティ」「思い出のマーニー」で知られる米林監督の最新作で、同じくジブリ出身の西村プロデューサーが設立したスタジオポノックによる第1回長編作品。イギリス人作家メアリー・スチュアートの児童文学「The Little Broomstick」を原作に、魔女の花を見つけたことから魔法世界に迷い込んだ少女メアリの冒険を描く。
ドワンゴ、カラー、スタジオポノックの3社は、2015年に手描き職人による背景美術スタジオ「でほぎゃらりー」を設立。この日は背景美術の話題を中心に話が進み、西村氏が「手描きとデジタルってあるじゃないですか。今はアニメーション背景の9割がデジタルですよね」と指摘すると、庵野も「デジタルで描いているところの方が多いですよね」と認める。
さらに庵野は「手書きの場合は、何もない白い画用紙の上に鉛筆で線を描く。足し算ですよね。どこまで足すか、というのが良いところ。必ず誤差が出るんです、手で描くから。それが良いところ」と言い、例として宮崎駿監督をあげる。「宮崎さんは一点透視をすごく嫌がるんです。レイアウトをとる時に、一点透視で描くとまずNG。描き直せって。宮崎さんは同心円で描けと。だから、宮崎さんのレイアウトって本当にいい加減なんです(笑)。でもそれが良いんです。宮崎さんのレイアウトは、宮崎さんにしかとれない」。

一方、スタジオジブリのもう1人の名監督・高畑勲は異なる製作スタンスだという。庵野は、「高畑さんはそういうのは許さない。かっちりやる。小津安二郎監督みたいな。畳の上3ミリのところにカメラを置くみたいな(笑)。どうやってアニメーターに共有するんだろうという、難しいアングルをやる」と言い、「宮崎さんの良いところは自分が描けないものはやらない。面倒くさいと思ったら、面倒くさくない形に変えちゃう。高畑さんは自分で描けないから、絵描きに強要してますよね。あれが高畑さんのすごいところ」と両監督を比較し、解説した。
また、終盤には西村氏がジブリ在籍時代の苦い思い出を告白した。高畑監督作「かぐや姫の物語」製作当時を振り返り「あんまり思い出したくないですよね。本当に吐きそうになるんですよ」と苦笑い。「『かぐや』を作っている時に、鈴木さん(鈴木敏夫プロデューサー)に『お前ブログ書け』と言われて。『悲惨な日々を書け』って(笑)」「高畑さんが言ったこと、鈴木さんが言ったことを全部メモってたんです。で、ブログに再現しようとすると、イメージが浮かんでしまって、本当にきつくて。吐き気をもよおして、家に帰ってしまったことがあった」と暴露し、笑いを誘っていた。
「メアリと魔女の花」は、7月8日から全国公開。
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