福島・南相馬市復興のシンボルに…築90年の映画館に密着したドキュメンタリー上映
2013年10月15日 14:00

[映画.com ニュース] かつて福島県南相馬市で営業していた映画館を題材としたドキュメンタリー映画「朝日座」が10月14日、山形国際ドキュメンタリー映画祭2013で上映され、藤井光監督が舞台挨拶と、その後に行われたシンポジウムに出席した。
本作の舞台となる「朝日座」は、1923(大正12)年に芝居小屋「旭座」として創業。52年(昭和27年)には映画の常設館「朝日座」に改名され、多くの観客に愛された。しかし、テレビ、ビデオの影響により、次第に観客が減少傾向に。そんな時代の波に抗うこともかなわず、91年9月の「シザーハンズ」「ホーム・アローン」の上映をもって閉館となった。しかし、大正末期の建築物としての価値はもとより、洋画、邦画問わず、劇場に現存するポスターなどの資料的価値なども注目を集めていたことから、閉館後も、市民活動団体「朝日座を楽しむ会」などの手によって、定期的に同所で上映会が行われてきた。
しかし、11年には東日本大震災が発生。「朝日座」の被害は最小限に済んだものの、福島第一原子力発電所から30キロ圏内という立地のために、上映活動も中止を余儀なくされた。それでも、同年6月には「朝日座を楽しむ会」が活動を再開。現在は、南相馬市の「復興のシンボル」となるべく、事故のために散り散りになった地元の人たちのコミュニティースペースとして機能している。藤井監督は「今回の映画は、福島県の南相馬市に90年前からある映画館の観客たちをめぐる物語。朝日座がなかったらこの映画は出来なかった」と集まった観客に呼びかけた。
「被災地の映画館にカメラを向けた作品」ということで、被写体との距離感について質問されると「南相馬市で、朝日座という映画館の話をしている人たちの映画なんですが、実はそれ自体が変な話。スタッフが気を抜くと、やはり震災の話になってしまいますから」と説明。さらに「日々、更新される難しい問題の中で朝日座について聞くと、人々の顔がパッと明るくなる。そういう空間を作るのが僕は大事だと思っていて。それをつぶさにとらえるのも震災の記録につながるのかなと思った」とそのスタンスを述べた。
とはいえ、「朝日座」をノスタルジーの側面だけで描くことはしなかった。「僕は映画の中で朝日座の黄金時代だけを描いているわけではない。衰退していき、シャッター商店街となっていった現実も描き出した」と語る。「南相馬の原町の商店街は、被災地であるために人がいない町だと報道されたけど、しかしそこには震災前から人がいなかったんです。被災者、被災地として描き出すことで、報道は距離感を生み出してしまう。原町を被災地で描かないという選択にこだわりました」。
音楽を務めるのは、NHK連続テレビ小説「あまちゃん」の音楽を手掛けたことでも知られる大友良英氏。本編では、ギターのストロークを使用した硬質な音がところどころで印象的に鳴り響いているが、「大友さんにはメロディというか、音楽になる前の音楽を書いてくれと頼みました。音楽が安易な希望になるのを避けたいと思ったんです」とその意図を語った。「朝日座」の劇場公開は未定。山形国際ドキュメンタリー映画祭2013は、17日まで開催。
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