写真家・石川直樹氏が「コン・ティキ」主人公の実子に感銘
2013年6月26日 09:00

[映画.com ニュース] 1947年に、1500年前のいかだを再現して8000キロの太平洋航海に挑戦したノルウェーの人類学者トール・ヘイエルダールの実話の映画化「コン・ティキ」のPRのために、ヘイエルダールの実子で海洋学者のトール・ヘイエルダール・Jr.氏が来日。01年に世界最年少(当時)で七大陸最高峰登頂を果たした、写真家の石川直樹氏と対談を行った。
石川氏がプレゼントした自身の写真集をきっかけに、和気あいあいとした雰囲気で会話を重ねていくふたり。イースター島のモアイをとらえた写真で手を止めたヘイエルダール・Jr.氏は、「17歳の時に、父に連れられて初めて訪れた」と振り返る。「数週間前に地理学者の息子の調査に立ち合ったばかり」というヘイエルダール・Jr.氏は、「モアイも風化してダメージを受けていて、私みたいに随分歳を取ってしまった」と印象を明かし、石川氏も「あと数十年かしたら、モアイはすべて壊れてしまうんじゃないかと思う」と状況を伝えた。
世界中で愛読されている「コンチキ号漂流記」の英語版の初版本を開きながら、「“冒険心”という意味では、父よりも母の方が勝っていたね(笑)」と語るヘイエルダール・Jr.氏。「父の太平洋航海は成功したけど、それだけでは『ポリネシア人の祖先は南米から海を渡ってきた』という新説の実証にはならなかった。本を書き、(51年度アカデミー賞受賞のドキュメンタリー)映画『Kon-Tiki』を作り、それに論文の執筆と、父になかなか会えなかったのが寂しかったね」と当時を振り返った。
また、「父は本当に緻密に計画する人物で、母も航海のことはあまり心配していなかった。その証拠に、101日程度と父が計算していた航海は、実際に101日で達成された。それに映画は、嵐に巻き込まれて、サメに取り囲まれて、暗礁に乗り上げて……ととてもドラマティックだけど、トラブルに見舞われたのはのべ5日間程のことで、残りの96日はとても順調だったと言うんだから(笑)」と裏話を明かした。
石川氏の「“冒険”とは何か?」という問いには、「父のように海を渡ったり、石川さんのように高い山を登るスペクタクルなことだけが冒険じゃない。自分で何かを体験するのが冒険。ちょっとしたトレッキングや海に潜ることでもいい、結婚や子どもを持つこと、美味しいものを食べることも冒険でしょう。命のあるうちに、最大限に何かを楽しもうとする姿勢なんだと思う」と返答。石川氏も「僕もまさにそう思います」と最大限の賛同を表明し、「今はインターネットで世界中のどこでも見られるし、地理的な空白がなくなってしまった時代。でも、それで分かった気になるのではなくて、新しい地図を自分で作り出すことが“冒険”だと思うんです。ヘイエルダールさん父子はまさにそれを体現していて、『コン・ティキ』もそれを描いている映画だと思います」と続けた。
「コン・ティキ」は6月29日から全国公開。
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