新藤兼人監督の遺作「未完の覚悟できていた」と次男・次郎氏が明かす
2012年9月29日 21:45

[映画.com ニュース] 開催まで1カ月を切った「第25回東京国際映画祭」のプレイベントが9月29日、都内で行われ、第23回の同映画祭コンペティション部門に出品され、故新藤兼人監督(享年100歳)の遺作となった「一枚のハガキ」が上映された。上映後には新藤監督の次男で、近代映画協会社長兼プロデューサーとして数々の新藤作品をプロデュースしてきた新藤次郎氏が登壇。同日は5月29日に亡くなった新藤監督の“月命日”にあたり、「今日は墓参りしてから、ここに来ました」。本作の撮影が始まる前の心境を「ひょっとしたら未完に終わるかもしれないと覚悟した」と明かした。
撮影時98歳だった新藤監督は、当時から本作を“遺言”と位置付けており「これが最後という自覚の上で、やはり自分が体験した戦争を劇映画として描きたいという気持ちがあったのだと思う。自分もプロデューサーという立場から、最後にふさわしいテーマと題材だと思った」(次郎氏)。映画は豊川悦司、大竹しのぶ、六平直政ら日本を代表する俳優陣が出演。海軍二等兵としての新藤監督の実体験を通して、戦争反対のメッセージを強烈に突きつける、まさにこん身の一作となり、次郎氏も「しっかりと手ごたえを感じ、内容も気に入っている。何より監督と俳優陣の意思疎通ができていた」と誇らしげに語った。
それでも「インディペンデントの宿命で、思うように予算が集まらず、予定していた60日間の撮影スケジュールは、45日に縮めざるを得なかった」。完成後には、新藤監督が「おれは次郎に45日で撮らされた」と愚痴をこぼしたといい、次郎氏も「体力的にかなり消耗したと思う」と申し訳なさそうな表情を見せた。撮影期間中は、次郎氏をはじめスタッフが「監督の顔を注視し、ご機嫌や体調をチェックする日々だった」といい、「支える側として、とにかく完成するまであらゆる手段を講じ十分にケアしようと決めた。それでも不安ですよね」。ラストカットを撮り終えた新藤監督は「現場でひとり、弁当を食べながら、遠い雲を見つめていた」という。
次郎氏によれば「昔から父親という感覚はあまりなかった。1年のうち、家にいるのは1カ月くらいでしたし、たまに父が帰ってくると家族中のテンションがあがった」。その後、次郎氏はプロデューサーとして、父・新藤監督と“対じ”することになるが「ある時、私が『自分はプロデューサーであると同時に、身内なので、作品のためにも最後にはそちら側に立つ』と宣言した。それ以来、お互いの関係がうまくいくようになった」と振り返る。
新藤監督が100歳を迎えた今年の4月22日には、新旧スタッフ200人以上が新藤監督を囲むバースデイパーティが行われた。次郎氏は「生きている限り、生きるんだというテーマを最後まで貫いた人。映画監督として60年もの間、やりたいことをやり続けたというのは、やはり異質な存在だったと思う。今日、こうして映画を見てもらえるのは本当にうれしいこと」と日本映画史に偉大な功績を残した父・新藤兼人に思いをはせていた。
第25回東京国際映画祭は10月20~28日、東京・TOHOシネマズ六本木をメイン会場に開催される。10月25日には、同映画祭の関連イベント「日本橋で日本映画を観よう」(COREDO室町・日本橋三井ホール)にて新藤監督の実験的な野心作「裸の島」(1960)が上映される。
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