河瀬直美監督「殯の森」がカンヌ映画祭でグランプリ受賞!
2007年5月29日 12:00

5月27日閉幕した第60回カンヌ国際映画祭で、日本からコンペ部門に出品されていた河瀬直美監督作品「殯(もがり)の森」が、パルムドールに次ぐグランプリ(審査員特別大賞)を受賞した。日本人監督による同賞受賞は、小栗康平監督の「死の棘(とげ)」以来17年ぶりの快挙だった。
「殯の森」は、初監督作「萌の朱雀」(97)でカンヌ映画祭カメラドール(新人監督賞)を受賞した河瀬監督の、「沙羅双樹」(03)以来となる4年ぶり5本目の長編劇映画。監督の故郷である奈良県内の山間部で撮影された。
タイトルの「殯(もがり)」とは「本葬まで貴人の遺体を棺に納め仮に安置して奉ること」。掛け替えのない妻と33年前に死別し、喪失感を抱える老人(うだしげき)と、認知症を患う老人たちが共同生活するグループホームで介護士として働く子を亡くしたばかりの女性(尾野真千子)の心の通い合いや生死の接点を描いた。
コンペ部門全22作品のうち最後に上映された作品で、前半の奈良の美しい点景、後半の深い森の中で展開される生死のドラマに、カンヌの観客は酔い痴れた。記者会見でも日本の死生観について質問が飛ぶなど作品理解に対して強い関心が示された。
授賞式でのスピーチで河瀬監督は「映画作りは大変で、人生にも似て困難、混乱がある。(普通の人は)お金とか服とか車とか、形あるものによりどころを求めようとするが満たされるのは一部。そんな時、誰かの思い、光、風、亡くなった人の面影……目に見えないものに心の支えを見つけ、たった1人で生きていられる生き物なんだと思う。そういう映画を評価してくれてありがとう。この世界は素晴らしい」と感謝の言葉を述べた。デビュー作から10年。結婚、離婚、老人介護、再婚、出産、子育てを経験した河瀬監督は、「自分にしか作ることができない地に足がついた映画を撮っていきたい」と最高の晴れ舞台で今後の決意を述べた。
「殯の森」は、東京・シネマアンジェリカ、千葉・千葉劇場で6月23日から、大阪・シネヌーヴォで7月7日から、その後全国順次公開。
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