かがみの孤城のレビュー・感想・評価
全458件中、1~20件目を表示
つながる手と手
「河童のクゥ」の監督さんだ!と、親子で公開をずっと待っていた本作。子は「図書室にあるみたいだけれど、なかなか借りれなくて」と、原作未読のまま。私はだいぶ前に読んで「ほう…」と息を呑んだ記憶はある。それぞれに、ぼんやりとしたイメージのまま、スクリーンに向き合った。
始まりは、雨。「学校に行かないのではなく、行けない」と母親に伝えることすらできずにいる、主人公•こころの気持ちそのままの天気。うつうつと日々をやり過ごしていた彼女に、突然転機が訪れる。光り出した自室の鏡の向こうは、不思議な城。そこに集められた7人は、皆どうやら学校に行ってないらしい。城のどこかに隠された鍵を見つけ出せば、願いはかなう。けれども、引き換えに城での記憶は失う。彼らは、とまどいながらも城と日常を行き来する生活になじんでいき、不思議な一年を過ごすことになる。
夏休みをはさんで、彼らの日々は流れるように過ぎていく。まるで本のページをめくるように。城でのゆるやかな共同生活の中、互いを少しずつ知り、自分にも目を向けられるようになったころ、3月という期限はもう目の前に迫っている。城での生活(鍵探し)、城の外の生活…「進路」にどう向き合い、何を選択するのか。彼らの心に、再びさざなみが立つ。たっぷりあると思った一年が、早くも終わりに近づいている、と気づく学生時代の冬の慌ただしさが、ふっと鮮やかによみがえった。
見つけ出せない鍵、城のあちこちに付けられた印、知っているようで知らない、お互いのこと。謎に次ぐ謎だが、ヒントが画面のあちこちに散りばめられているのが心にくい。直接的な文字と違い、画面から「何か」を拾い出せる利点が生かされている。城の中外さまざまな部屋の装飾、彼らの服装や顔立ちなど、「もしかして…」、「そういえば!」という気づきに満ちていて、観ているときも観てからも、わくわくとした。
鏡に「引きずり込まれた」こころたちが、クライマックスでは、大切な人を「引っ張り出そう」と必死に手を差し伸べる。時や場所を越え、互いにどこかで支え、支えられている。さらには、かつての自分が、未来の自分や誰かを支えてくれる。シンプルながら力強い、画面いっぱいに描かれた腕の曲線が忘れがたい。
最後に「城の謎」が明かされ、物語は幕を静かにおろす。(ちなみに、オルゴールの曲はシューマンのピアノ曲集「子供の情景」の「トロイメライ(=夢想•夢心地)」。)城の住人「オオカミさま」の顔は明かさず、仮面をはずした手元にとどめる描写に、またしても感嘆した。
観終えて「ほおー…」と言葉を失う5年生をよそに、時系列の行き来がいまだ苦手な1年生は「なんかよくわかんなかった!謎だらけだった!」を連発。そのくせ、翌日書いた作文は、本作イチ押しの内容だった。ふーん、それはそれは…と思ったので、私も一文。5年生は、さらに原作本を読みたくなったらしい。「あの子いいな」と言った子は、物語ではさほど目立たない彼だった。子の知らない面を垣間見た気がして、再びほほう、と思った。
〜追記〜
「必ず鑑賞後に開封すること」と書かれた赤い袋に入った来場者プレゼント。いそいそと開けて、「わあ!」と親子で見せ合った。文字どおり、最高のプレゼント。思うだけで、顔がほころぶ。
孤城という単語センス
原作が「孤城」という単語をチョイスしたのがまず素晴らしい。孤城とは「孤立した城」とか「敵に囲まれた城」という意味だが、それでも城は堅固に守られたもので、孤独な子どもたちを守る砦として本作を象徴している。苦しい想いをする子どもたちにとって、城となるような場所を持てるかどうかはとても大事なこと。しかし、学校や家に居場所がない子はそういう場所を持つことが難しい。この社会は残念ながらそういう社会だ。
本作の素晴らしいところは、現代だけに限定せずに、子どもたちにとっての城のような居場所は時代を超えて大切なんだと描くところ。そして、時代を超えて孤独な子どもたちの心は連帯し、今もこの社会でそういう子どもたちのために活動している人もいるんだと、説得力を持って見せた点が非常に優れている。大変丁寧な演出で、不安定な思春期の心理を見事に救いとっていて、原恵一監督の上手さを再確認できたのも良かった。
人は年を重ねれば自動的に大人になるわけではない
いじめ、虐待、家族関係など様々な問題を提議するストーリーでした。
途中で冒頭のイメージがガラリと変わるキャラあり、割とステレオタイプな設定のキャラありで、ちょい役を含めて多くの人物が登場します。
その人物たちを2種類に分けると、人間として成熟できた人と、成熟できなかった人、若しくはまだ成熟できていない人。
いや、こう言った方が良いでしょう。
成熟しようとした人と、未だ成熟しようという努力を一度もしたことのない人。
それは登場する人物の年齢にかかわらずです。
社会人であっても成熟できていない人、中学生であっても成熟した人、その違いは残酷です。
主人公、こころは異世界で出会った仲間と交流するうちに成熟しようとする人へと変貌を遂げてゆきます。
終盤に出てくる東条さんの言葉が胸に刺さります。
「(彼女の生き方は)10年経っても、20年経っても変わらない。きっと碌な人生にならない」
物語に秘められたトリックは中盤でなんとなく分かってくると思いますが、背景、タイムリミットの設定、オオカミさまの動機を含めて伏線はキチンと回収されて破綻のない見事な構成となっています。
オオカミさまが皆を城に呼んだ動機を思うと涙がこぼれます。
夢見たけれど叶うことのなかった夢のささやかさとその重さを思うと。
ミステリーとは違う魅力
同じ中学に通ってるあたりから、違う年代ではと予想できたので
登校してたはずの仲間に会えなかったことで確信した。
途中からは、何となくお互いに関連があるようにも。
ゲームの話、また、仲間が同じ先生を良い先生だと読んでいたことと
アキちゃんが「ルーズソックス」を履いていた事で、実はスクールの担当なのではと
考えなくも無かった。
そういう予想を裏切らない点から、本作品の魅力はミステリとしてではない。
アニメにしては扱いづらい、陰湿なイジメや性加害を不登校の題材として使い、
再生の物語にしている点にある。
それにしても、イジメ問題への教師の対応の杜撰さにはビックリだが、
家に団体で押しかける程 エスカレートしたイジメと
義父からのレ〇プの危機に関しては、とうに警察の介入するレベル。
もはや民事ではない。(なぜ制作側は110番としなかったのだろう)
ところで、ラストの「善処する」との規則破りが可能なら、
狼もどうにかならないモノでは無かったのだろう。
それでも、7人に選択させることが目的だったか。
最後に一つ
主人公は記憶を失くしたようだったが、アキちゃんと弟くんは
覚えていた様子。
他の者はどうだったのだろう。
タイトルなし(ネタバレ)
そもそも2時間にまとめるのが難しい長編の映画化としてはよくがんばった。上映後泣いちゃったの声が多く聴かれたように、
・こころがアキに不登校の訳を吐露するシーン
・以降こころ母が理解者となり応援するシーン
・家庭訪問の担任がわかってないシーン
・北島先生は寄り添ってくれるシーン
など現実世界の主題描写には良い演出が多く、脚本&キャラクタ全般は及第点だった。しかし1番の疑問は、アキときたじま先生のストロベリー紅茶好き一致の件。あまりにも間隔が短すぎてイージー問題になりすぎ。最後まで取っておくべき真相をこんな前半に明かしてはいかん。この設定改悪だけはホントにもったいない。
私もこの孤城のような居場所が欲しい
みんなそれぞれにつらい思いを抱えている。誰にも言えずに苦しんでいる。でも図らずも心の内を明かしてみたり、他人の話を聞いたりすると見方が変わる事がある。
こころは、アキとフウカに話したことで、誰かに聞いてもらいたかったんだって自分でも気付く。その後、現実でも母親に話すことができて、そこから事態が少しずつ変わっていく。言語化の大切さがとても良く分かった。
最後に明かされた謎の関係は、痛みがわかってくれる人、見守ってくれる人は意外と近くにいるんだということが表されていて、素敵だと思った。
自分の本当の願いは何なのか、本当にそれが叶ったら幸せになれるのか?常に問いかけたいと思う。
鍵を見つけたらどうするのか?は一つのテーマだけど、それだけじゃないところが深く最後まで楽しめた。原作を読んでいないのだが、もっと面白いのではないかという気がする。読みたい衝動に駆られた。
声優さんがなんと豪華なことよ
中学生という年齢は、世界がまだあまりにも狭い。
生活のほとんどが学校という閉じた空間に集約され、人間関係もまた、そこに一点集中してしまう。その均衡が一度崩れただけで、人生そのものが終わってまったかのように錯覚するほど、視界は容易に閉ざされる。
だから子どもたちは、まだ未熟なまま、必死に「調和」を演じる。場の空気を読み、笑顔を選び、言葉を飲み込み、周囲の歩調に自分をすり合わせながら。
だが、学生時代のグループや派閥はあまりに脆く、顔、持ち物、雰囲気、理由にもならない違和感だけで、容易に排除が生まれる。
そんな現実の重さに耐えきれなくなった子どもたちが、
逃げるように、導かれるように集うのが「孤城」だ。そこは傷を抱えたままの自分でいても否定されない、初めて息ができる場所のようにも映る。
けれど孤城は、ただの避難所では終わらない。彼らはそこで守られるだけでなく、それぞれが前を向いていくための力を少しずつ受け取り、やがて自分らしく現実に戻っていく選択をする。そうして、今置かれているような状況は自分だけではないし、周りの人の救いの手に気づき、握り返すことができるようになる。
孤城で得たのは、奇跡ではなく、自分を信じ直すための、ほんの小さな勇気だったのだと思う。
私は小説読破後、映画を視聴したがどのキャラクターもおおよそイメージ通りだった。一部美男美女すぎるなと思ったが。
アニメならではの出来栄え
相変わらずの下調べなしで、童話風のお題と冒頭からの感じはメルヘン風かなと。こういうシーンはアニメがお得意だし。
でも見ていくとかなり厳しい現実を目のあたりにしてしまう。いじめ、不登校、学校教師の不理解、そして物語は展開しなるほどの結末。
アニメの質、ストーリとも優れていてなぞ解き的な興味を持ったまま進んでいく感じが良いね。そして何よりも暗いはずのテーマだけど、未来を感じさせるエンディングだね。
同時期公開の「すずめの戸締り」よりこちらのほうが面白かった。
中学1年生の主人公少女は同級生の虐めで学校に行けなくなってしまい、家に引き篭もりに。
両親は心配して手を焼いてくれはするものの改善の切っ掛けは掴めなかった。
そんなある日、自室の鏡が光り出し手で触れたら吸い込まれて見知らぬ城の入り口で狼のお面を被った少女と出会う。そこでは自分以外に女の子2名、男の子4名が同じようにして城に招かれていた。
狼の少女は「非日常の冒険が始まる」などと訴えかけて来るが、どの子も唐突で訳が分かっていない。
「この城の何処かにある秘密の部屋への入り口を見付ければどんな願いも叶う」そのチャンスが7人のうちの1名に与えられた。期限は1年間もあるという。これが長いのか短いのか。
集められた7人は年齢は違っても中学生だった。やがて少しずつお互いの事情を知るうちに、男の子1名を除く他の6名はいずれも学校に通えていない不登校児童だった。
季節の移り変わりと共に城で過ごす時間を共有するうちにお互いを少しずつ理解する仲間となっていくのだが・・・・実は集められた少年・少女たちは他にも「ある共通点」があった。それは・・・・。
願いを叶えることができたら、城での記憶は消えて仲間たちのことは忘れてしまうという制約の中で揺れ動く心理。「城の中では会えても、現実世界では出会えなかったのはどうしてか」という疑問が解決した時、世代を超えた先輩・後輩であることが7人を繋いでいたのだと知る。
上映時間の制約で主人公以外の6名の過去、不登校の理由がイマイチ画面で見て分かり難かったと思います。画の見易さや声優は問題ありません。
同時期公開の「すずめの戸締り」よりこちらのほうが良かったですよ!
鏡の中の狼少女
鏡を抜けるとおとぎの世界と言うのは「鏡の国のアリス」からインスパイアされたのでしょう。鏡の中の孤島のお城に鏡を通って集められたのは中学生7人、狼のお面を被った少女が登場し状況説明いたします。
お城の中で秘密の鍵を探すのが彼らの使命、鍵を手に入れるとどんな願いでも叶うと言う。ルールがあって城にいられるのは朝9時から夕方5時まで、ルールを破る者が出たら皆、狼に食われるという。
皆、たいした願いはないようなので、おそらく、喰われた仲間を復活させる友情の物語だろうと思ったら、ずばり的中。7人の共通点は雪科第五中学校らしいが、各自が出会えなかったのはパラレルワールドの中学とか言っていた、終盤でそれぞれのいる時代が7年ずれていてタイムスリップで集められたようだ、最後に狼少女の正体が明かされるが孤城の謎はおじさんには理解不能でした。
テーマとしてはいじめ問題、不登校など思春期の悩みを抱える若者の悩み相談、大事なのは助け合うということかしら、まあ、ジュブナイル世代にはフィットするテーマだしファンタジーでミステリー仕立てなんで受けは良かったでしょう。
辛くても未来は明るい
いま何かの事情があって学校へ行けない子たち。
誰にも相談できない。親にも言えない。
今の自分の辛さや苦しみが一生続くような気がして絶望してしまう。
八方塞がりのように感じてしまうんですよね。
この映画はファンタジーではあるけれど、境遇はリアリティがあり
大人が見ても、子供のころ、この子達と近い思いを味わった方が多いのではないでしょうか。
こんな都合よくいくのは所詮ファンタジー映画だから、と思って終わるか、
辛いのは自分だけじゃない、今頑張れば何か変わるかもしれない、と思うか。
この映画を観た全員が後者のように思えたらいいなと。
ところで、たまに「初めて会ったのに、何だか昔からの知り合いのように感じる人」の話って聞くけれど、もしかしたらこれって実はこの映画のような出来事があって、
記憶はなくしたけれどうっすら潜在意識に残っているのかもしれないなと思いました。
傷ついた経験のある女子に見てほしい
かがみの孤城
設定が好き
原作を読んでいると、序盤は物足りなさが勝っていた。
しかし後半になってくるとキャラクターの背景や孤城の成り立ちがわかってするすると引き込まれていった。
子どもが不登校になったとき、助けてくれる場所が家族はもちろんだが、それ以外でも救いがあるといいなと思った。
名探偵のセリフが出たときは、サービス精神旺盛だなと思ったが、個人的にはあってもなくてもどちらでも良い。
アニメーション映画だったけれども実写だと重みが増してよさそう。
前半と後半・・・もしくはラストとメインプロット
ウレシノのキャラ設定がなんか通り一遍で引いてしまう。キャラ設定が出来ないとこういった群集劇はすぐ底の浅さが露見する。まず最初に受けた印象が極めて負のイメージであったが、それがかなりの長さ続き、全体的に極めて印象の悪い映画となった。実際ネットでもこのだるさについて分析する記事が多く載っている。しかしこの負のイメージをエンディングで全てを払拭していく。この大団円の凄さこそがこのアニメの醍醐味であり真骨頂となる。このラストの凄さも冷静に分析すればツッコミどころは満載であるが、エモーショナルな展開は全てを洗い流す力を持つ。それ故相対的に高評価をこの作品にもたらしているのであるが、余りに前半の登場人物の扱いがすでに指摘されてるようにキャラの演出が甘さ、声優の非マッチング、画力の弱さなど・・目の肥えたアニメファンにはいい訳の利かない弱点が数多く散見すると言うマイナス点がある。それ故に正当な星評価が極めて難しくなる。★3.5~4.5の間を揺れると言うのが正直なところ。ラストの伏線回収は甘さはあるものの極めて物語を占めるには十分の強さがある。しかしそれを前面に押し出して評価するには少し切ない全体の物語の甘さがとても勿体ない。
タイトルなし
不思議なせかい
全458件中、1~20件目を表示







