山谷 やられたらやりかえせ
劇場公開日:1986年2月21日
劇場公開日:1986年2月21日
「さようなら昭和百年映画特集」にて鑑賞
これは中々強烈な作品でした。1980年代、山谷で働く労働者と彼らを支援する山谷争議団活動家、そして労働者を食い物にする手配師やヤクザを描いたドキュメンタリーです。冒頭、本作の撮影を始めて間もない監督がヤクザに刺されて血まみれで倒れた映像から始まります。彼は結局そのまま亡くなってしまい、その後を映画経験のない争議団のリーダーが引き継ぎます。しかし、撮影隊の活動が邪魔なヤクザによってその監督もまた射殺されてしまうのでした。何とも血まみれで出来上がった作品です。
僕は、大阪・釜ヶ崎の近所で生まれ育ったのでドヤ街と呼ばれる街の外観は判っているつもりでしたが、利権に群がる地方ボスやヤクザがこんなに阿漕な事をしているとは知りませんでした。特に、入院治療が必要な労働者を当時未整備だった精神病院(宇都宮病院)に送り、そこで作業療法と称して傘下の企業で働かせていたなんて1980年代の日本とは思えない所業です。
場面の繋がりが少し分かり難かったり、視野を広げ過ぎた面はありますが、「これはおかしいだろ」と突き上げた拳の熱は観る者に十分伝わりました。
本作の上映委員を現在も務めておられる小見憲さんの撮影裏話は非常に興味深かったのですが、本作をDVD化しない理由のお話がカッコよかったです。曰く、
「この映画は上映会などで観て貰って、こうしてご覧になったお客さんと顔を合わせてお話できて漸く完成なんです」
今回の様に、映画館で上映されるのは珍しいのだそうです。貴重な機会を有難うございました。
本作ヤバかった!ガチ中のガチドキュメンタリー!
何せ本作を撮った佐藤監督がヤクザに殺されるシーンからスタートしますから!しかも跡を継いだ監督も作品完成後に殺されるという、ちょっと凄まじいです。
本作は労働者の街・山谷にて、あらゆる人たちから搾取される日雇い労働者の権利獲得の闘いを描いたドキュメンタリーです。時代は昭和末期。高度経済成長が行き着いて、これからバブルが始まろうという時期です。そんなイケイケな日本において、差別・搾取・抑圧を描いた本作は裏日本現代史という印象を受けます。
労働者の人たちはあらゆる人たちから搾取されていました。マジで彼らを取り巻く人たち(企業・警察・ヤクザ)が基本結託して彼らを抑圧します。労働者は抑圧してオッケーみたいな価値観が伝わってきます。山谷はもともと非人の街だったとのことなので、差別構造がかなり深いところにあるのかもしれません。
彼らの主張は真っ当で、賃金アップや人間尊厳を守れるような生活を保障することです。しかし、それを主張しても警察は鎮圧に乗り出すわ、ヤクザは監督を殺すわで、闘いはハードを極めました。搾取構造を絶対に変える気はない、みたいな体制側のクソな主張がビンビンに伝わってきます。建設会社の社長が登場して、真正面から労働者たちに対して「お前らの主張は認めねー!」みたいに食ってかかるシーンは狂ってますね。マルクスが武力革命を肯定したのもわかるわ!
後半は山谷だけでなく、炭鉱労働者たちの街の様子も撮影されていました。やはり、朝鮮から連行された人たちや部落の人たちがより差別されていたようです。石炭産業の担い手になった彼らに対して保障は十分ではなく、棄民政策と断じていました。
そして、この搾取の構図は現在でも変わらず、むしろユナイトする力が弱まっているため現状は悪化しているとさえ言えるでしょう。ケン・ローチ一連の作品と地続きのガーエー!
労働者のみなさんのセリフがほとんど聞き取れないため観づらくて仕方ないけど(なので点数は辛め)、とにかく凄まじい。観るタイミングがあれば必見でしょう!
Get up, Stand up for your rights!!