雪の女王(1957)のレビュー・感想・評価
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千と千尋好きはより一層楽しめる作品
作画の観点からは、アニメーションの質が相変わらず高い。ヌルヌル動くとはこのこと。一体全体何枚描いたのか…
キャラの動きからバレエの基礎を感じ、特にゲルダのお辞儀の仕方がまさにバレエをする者が稽古場で先生に向かってするそれと同じで、ロシアのアニメーターがバレエの動きを研究し尽くしていることの確定演出だった。
夢見がちでカイを救出したいという思いは人一倍強いくせに自分の足では一切移動しようとしないゲルダに心の中でツッコミを入れながら見たが、(宮崎駿がアニメーターとしてやっていくことを志したきっかけとなった作品という事前情報のおかげかもしれないが)千と千尋の神隠しで思い当たるシーンがたくさんあった。
挙げ出したらキリがないが、特に「坊が大量のクッションに埋まっている部屋」と「銭婆の家」は明らかに似すぎだった。
ゲルダをフィンランドのおばあさんの家に連れて行ってくれたトナカイも、明らかにハク竜の元ネタ。
一番心動かされたのは、動物を自分のオモチャだと称してロープで繋いで飼っている子が、ゲルダのためにトナカイ(鹿かも?)を解放したついでに他の動物も離した後、枷を付けて動物やゲルダを無理やり囲い込んでいただけで結局自分には何も残らないのだと涙を流していたところ、ウサギや鳥などの動物たちがみんな戻ってきて優しく寄り添うというシーン。ここは思わず涙出た。こういうのに弱い。
心が荒んでいるので、ゲルダの想いによってカイが人肌の温度と記憶を取り戻し、雪の女王が「ゲルダ、あなたの勝ちだ(記憶曖昧だが大体こんな内容)」と言って霧散して互いに喜び合うシーンでは、意外にあっけなくね?周りの環境が次々と都合よく手を差し伸べてくれただけでこいつら何も厳しい目に遭ってないじゃん、と思ってしまったのだが…笑 だからこそ宮崎駿は、千尋には厳しい経験をさせたのかもしれない。
雪の女王は鏡にたまたま映ったガキ(カイ)の「女王を暖炉に突っ込んでやる!」というたった一言に異様なまでの怒りを燃え上がらせるくらいだから、心は決して穏やかではないしそれだけ感情が豊かだということ。
彼女は自身の言う「悲しみや愛などの感情を全て忘れ、心が静寂になることこそが幸せ」だという状態に到達しきれていない=幸せではない、何か足りない状態で生きているのだ、ということを示しているのかもしれない。
最後の最後で語り部のじじいがバラの花びらの間から出てくることでじじいのサイズ感が発覚し、そんなにちっちゃかったのかよ!というオチがあって良かった。
凄い映画です。
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