天国は待ってくれる(1943)のレビュー・感想・評価
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天国は待ってくれる〜ルビッチと小津について
名匠エルンスト・ルビッチ監督によるロマンチックコメディであり、唯一のカラー作品でもある『天国は待ってくれる』を十数年振りに観た。
本国アメリカでは非常に有名な映画なのだが、戦時中に製作された作品でもあり、我が国では長い間劇場公開されず、日本初公開はなんと1990年で当時渋谷のシードホールまで観に行った記憶がある。
それから更に16年の歳月が過ぎ去った今、改めてこの映画を観直してみると、昔以上に繊細、且つ機知に富んだルビッチ・タッチに酔いしれるのと同時に、曲りなりにも年齢を重ねて来たせいか、昔以上に実感を持って人生の機微を感じさせられ、今回はほぼ全編に渡り、泣きじゃくりながら観る羽目になってしまった。
それと同時に日本映画界の巨匠小津安二郎監督の師匠が間違いなくルビッチなのであり、しかも本作品の影響がもっとも大きいのではということを改めて実感した。「晩春」、「麦秋」「東京物語」、「彼岸花」、「秋日和」、「秋刀魚の味」といった名作の原点が全てこの映画にあるように思えてならない。実際に小津が戦時中の東南アジアで、当時の日本人が自国ではまったく観ることが出来なかった数多くのアメリカ映画をタイムリーに観ていたことはかなりよく知られている事実である。本作品も恐らく、いや間違いなく戦地で観ていたであろうことが、ほとんど直感的に察せられるのだ。
日本的なホームドラマをこよなく愛した小津安二郎、特に戦後の多くの作品に共通する作風は、"劇的なシーンを敢えて見せないこと"。その前後のさりげない日常の一コマこそを繊細で且つ機知に富んだ独特のタッチで丹念に描き切ることにより、最もドラマチックな部分を敢えて省略し、全ては観客の想像に委ねることに終始している。これこそがルビッチと小津とを結ぶ最も重要なテーマであり、最大の共通点だ。双方の作品が時代や国境を越えた不変のホームドラマと成り得た秘密は全て此処にある。「もしも小津が異国の地で『天国は待ってくれる』を観ていなかったとしたら?・・・と勝手に観たものと決め付けているが・・・日本映画史に残る珠玉の名作群は実は生まれていなかったのでは?」と思わず想像を巡らしてしまう。
「映画は易々と越境する。」という真実を半世紀以上も前のルビッチと小津との事例が明確にそのことを示しているのだ。
優しい閻魔様
天国か地獄かのグレーゾーン
戦時中に映画が作れる、アメリカの余裕
“天国は待ってくれる”
品行方正ではなかったかもしれないが、天国にいけないと思うほどの人生ではなかったように思う。
別館くらいなら数百年待てば入れるかも、ということらしい。
味方になってくれる人もいるようだし。
(再会した知り合いの女性はあっという間に地獄に落とされていたけれど...一体何をしたのだろう...)
孫を自分に似ていると応援し、自分も一度駆け落ちしたかったんだと無邪気にいうおじいちゃんがチャーミング。
年齢に関する考えや捉え方がいまと大分違う。50過ぎたらかなりの歳という感じで驚いた。
古いアメリカ映画らしくほのぼの♫
過去の名作を観るための準備
エルンスト・ルビッチ監督作品って、ひょっとしたら初めてかも知れません。
映画史的には有名で、ビリー・ワイルダーや小津安二郎らの作風に影響を与えたとか“ルビッチタッチ”という言葉は知識として知っていましたが、中々作品を観る機会はなかったので、今回BSプレミアムでの放映は嬉しかったし、鑑賞して上記のニュアンスが理解できました。
映画として非常に端正な作りなので、今観ても作劇の古さは感じませんでした。しかし、古さは感じないのだけど時代は感じてしまいました。
テーマは普遍的で人間的なのだけど、映画は時代の鏡であり作られた時代が違うので、所謂大衆向けではなくハイソサエティ向けの様に感じられ、今の大衆にこのテーマを伝えるのなら、設定を中流か下層に変えて物語を構築しないと大衆には届かない様な気がしますね。
なので、今観ても作品の質は高いけど今の大衆にはデリケート過ぎて難しいし分かり辛いと思います。これこそが映画に限らず“表現は時代の鏡”ということの証なのかも知れません。なのでエルンスト・ルビッチ作品の良さを今観ても理解できるのは、ある程度の知識人か映画通であり、決して今の時代の大衆ではないということになってしまうのでしょうね。
ユーモラスで味わいのある作品
主人公の紳士の生涯を、幼少期から出逢った女性とのエピソードを織り交ぜ、ユーモラスに描かれていた。
壮年から老年に差し掛かり、愛妻や息子に諌められた時の主人公の哀愁のある表情がいい。
当時の洒落た雰囲気が味わえる作品。
NHK - BSを録画にて鑑賞
人生を振り返り審判を仰ぐ
ジーンティアニー扮するマーサを慕うドンアメチャー扮するヘンリーヴァンクリーヴ。ヘンリーは、閻魔大王の地獄へ行くかどうかの審判でマーサとの思い出を語り始めた。マーサは、従兄弟のアルバートと結婚するはずだったが、ヘンリーと結婚した。しかし10年後、ヘンリーは浮気がバレてマーサに逃げられてしまった。マーサは、汽車で偶然会ったアルバートがマーサの実家に連れて来たのだった。しかし、ヘンリーがマーサの実家まで来て10周年のプレゼントをきっかけに祖父が手引きしてよりを戻しマーサを連れ帰った。その後、結婚25周年を迎えたが、マーサは亡くなった。それからヘンリーは夜遊びを続けた。息子にもたしなめられたが、70歳になっても若い看護師に看取られた。果たしてヘンリーは地獄行きなのか? 人生を振り返り審判を仰ぐ。従わざるを得ないよね。
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