劇場公開日 1955年8月12日

我が心に君深くのレビュー・感想・評価

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3.5我が心に君深く

2026年1月23日
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鑑賞方法:その他

作曲家シグムンド・ロンバーグの半生を描いたミュージカル映画である本作でロンバーグ役を演じているのが、個性的な性格俳優(怪優)として有名なホセ・フェラー(「疑惑の渦巻き('49)」、「シラノ・ド・ベルジュラック ('50)」「赤い風車 ('52)」、「ケイン号の叛乱 ('54)」、「アラビアのロレンス ('62)」、「さすらいの航海 ('76)」、「スウォーム ('78)」、「悲愁 ('79)」「砂の惑星 ('84)」)ということもあり、正直かなり違和感が有って不安だったが、観て驚いた。歌ってタップを踏んでこれがかなり上手いのだ。流石は名優!芸域の広さと深さに脱帽した。
監督がスタンリー・ドーネンなので、伝記映画とはいえ重くなり過ぎず、コミカルなミュージカルコメディに仕上がっている。ロンバーグが作曲し上演する数々のブロードウェイ・ミュージカルの舞台におけるナンバーを、MGM専属のスターたち(ジーン&フレッド・ケリー、アン・ミラー、ヴィック・ダモンとジェーン・パウエル、ハワード・キール、シド・チャリースとジェームズ・ミッチェル、トニー・マーティン等)がゲスト出演して歌って踊る構成であり、「Till the Clouds Roll By (雲流るるはてに) ('46米=MGM )」や「Words and Music (歌詞と音楽) ('48米=MGM)」と似た作りで、ドラマの合間にミュージカルナンバーが散りばめられている。その為上映時間が長くなり、少々冗長な印象は拭えないが、個々のミュージカルナンバーは綺麗に撮れていて楽しい。「Dancing Around」の中でジーン・ケリーが実兄のフレッド・ケリー及びドーネン的なカラフルな衣装の女性ダンサーたちと踊るタップダンス(I Love to Go Swimmin' with Women)が楽しい。アン・ミラーの「Artists and Models」のナンバーは、「雨に唄えば ('52米=MGM)」に登場する1920年代の衣装やセットに似たコミカルな出来でこちらも如何にもドーネンらしいナンバーだ。ダモンとパウエルによる「Maytime」中のオペラ調に歌い上げるナンバーは室内セットが美しく、ジェーン・パウエルが可愛らしい。そしてホセ・フェラーも当時実生活で夫婦だったローズマリー・クルーニーと「Midnight Girl」中のナンバーを軽々と歌って踊る!
ところで、この映画の色彩についてみてみると、1954年の作品であり、映画のタイトルにはイーストマンカラー (Print by Technicolor)と記されている。これが僅か数年後の多くのMGM作品ではメトロカラーと表記されるようになり、且つ大半がシネマスコープの横長スクリーンになる。メトロカラー&シネマスコープは、以前の3色式のテクニカラー&スタンダードと比較してしまうと、発色が地味でどうしてもピントが甘い印象になる。その点、本作はイーストマンカラーでもテクニカラーに近い鮮やかな発色で、且つAspect ratioが1.75:1なので、ほぼ現在のヴィスタサイズに近く、画質的にもシャープで悪くない。更に、この映画のサウンドトラックが元々3chステレオ※で製作されていることから、ミュージカルナンバーを"聴く"という意味でも、楽しみが広がっている。
(※: 因みに2025年現在発売されている米国版Blu-rayの音声仕様は、"DTS-HD Master Audio 5.0 Surround"であり申し分ない。)

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