スウォーズマン 女神伝説の章

劇場公開日:1994年12月23日

解説

製作・ツイ・ハーク、監督キン・フー(のちに降番)、チン・シュウタン、ツイ・ハーク、レイモンド・リーの顔合わせで、香港映画界に古装片(時代劇)ものブームを呼ぶ景気となった武侠活劇「スウォーズ・マン」(90)の続編。主役が交代し、さらにブリジット・リン演じる新たなキャラクター、東方不敗が話題を集め、翌年にはシリーズからスピン・オフして東方不敗を主人公にした「スウォーズマン 女神復活の章」が作られた。妖艶にして男勝り、男とも女とも見分けがつかぬ中性的なキャラクターを演じたブリジット・リンの力演と大胆なアクションが見どころ。この作品のヒット以後、彼女は同傾向のキャラクターを演じることが多くなった。監督は「チャイニーズ・ゴースト・ストーリー」3部作のチン・シュウタン。製作は同シリーズのほか数々の作品を手掛け、監督・プロデューサーとして活躍する香港映画界の大物ツイ・ハークで、彼の主宰する電影工作室作品。脚本はツイ・ハーク、ハンソン・チャン、タン・ピクインの共同。撮影はトム・ラウ、音楽はリチャード・ユエン。武術指導はチン・シュウタン、ユン・ブン、マー・ユクシン、チャン・イウシン。主演は台湾出身で、「蜀山 天空の剣」「北京オペラブルース」などの代表作があるブリジット・リンと、「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ 天地黎明」シリーズのリー・リンチェイ。共演は同シリーズのロサムンド・クァン、「チャイニーズ・ゴースト・ストーリー2」のミシェル・リーら。

1994年製作/香港
原題または英題:Swordsman 笑傲江湖 東方不敗
劇場公開日:1994年12月23日

あらすじ

中国は明の時代、天下統一のための戦乱が吹き荒れていた頃。豊臣秀吉の迫害を逃れて日本から逃れてきた織田信長の残党が、日月教を宗派とする苗(ミャオ)族と結託して、まさに日中入り乱れての戦いの火蓋が切られようとしていた。戦いの世に嫌気がさした剣士リン(リー・リンチェイ)は、妹弟子の烏鴉嘴(ミシェル・リー)と共に隠遁の地を探していた。旅の途中、リンは妖艶な美女と出会い、心奪われる。日月教の宿に着いたリンたちは、苗族の間で内紛が起こり、謎の人物、東方不敗(ブリジット・リン)によって日月教が乗っ取られたことを知る。教祖は投獄され、その娘インイン(ロサムンド・クァン)や弟子であるラン(ファニー・ユン)も命を狙われていた。東方不敗は日本から来た忍者の服部(ワイズ・リー)と手を組み、時の政府に戦いを挑もうとしていた。彼は世界を支配するパワーの秘術が記された『葵花宝典』を手に入れたが、秘伝のパワーのためにその肉体は徐々に変化していった。リンはかつての兄弟弟子たちと合流して教祖を救い出そうと、東方不敗の屋敷に忍び込む。そこで彼は、くだんの美女と再会するが、その美女こそ、秘術をマスターして外見は女へと変貌を遂げた東方不敗その人だった。だが、その正体を知らぬリンは彼女と恋に落ち、東方不敗も予期せぬ彼への恋心に当惑する。リンは教祖を救出するが、美女が東方不敗と知って愕然とする。彼の思いとは裏腹に暴挙の限りを尽くす東方不敗に挑むべく、リンは黒木崖に向かい、教祖やインやツァイツァイらもそこに集結する。剣士たちとの壮絶な戦いの末に、東方不敗は倒されたかに見えた……。

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映画レビュー

3.5 荒唐無稽で面白い

2026年1月12日
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鑑賞方法:映画館

楽しい

興奮

ドキドキ

香港の有名な武侠小説家・金庸の『秘曲 笑傲江湖』(未読)をツイ・ハークが映画化した武侠アクション映画シリーズの第2作。このシリーズは原作に比べて大幅な脚色がされているとのことだが、金庸の武侠小説が続々と邦訳されていくのは21世紀に入ってからで当時の日本ではほとんど知名度が無く、僕も全然知らなかった。『スウォーズマン』という邦題は英語題の「Swordsman(=剣士)」からだと思うが、Sword(剣)の「w」は発音しない文字なので一般的によく使われる「ソード」のほうが正しい発音に近い。しかしなぜかファンタジーRPGなどでは「スウォード」と表記されることも多く、そのためもあってか「スウォーズマン」という邦題になったんだろう。あと「ソーズマン」だと字面や音の響きがなんだかちょっとカッコ悪いからかも。

日本では1作目は『スウォーズ・マン』の邦題で映画祭上映されたものの劇場公開はされず、本作とスピンオフの『女神復活の章』が公開&VHS化された後に『スウォーズマン 剣士列伝』の邦題でVHS化された。DVD化もされているが僕は未見。

本作は僕の地方では次作『女神復活の章』との二本立てで公開された。いきなり2作目から観たわけだが、取り立てて問題はなかったように記憶している。香港映画にはよくあることだが、なぜか主要キャストが第1作からほとんど総入れ替えされており、主演はサミュエル・ホイからジェット・リーに、ヒロイン役のチョン・マンはロザムンド・クワンに、もう1人のヒロインである妹弟子イップ・トンはミシェール・リーにそれぞれ変わっているとのこと。だが、なんといっても全員を食っちゃうほどの怪演だったのが原題にもなっている敵役・東方不敗のブリジット・リン。原作では武術の奥義会得のために自ら去勢して男でも女でもなくなった高年齢の人物だそうだが(イメージとしては宦官か?)、映画ではブリジットが演じてるだけあって中性的というか男装の麗人といった雰囲気。彼女の当たり役となり、ブリジットは他の映画でも似たような役を次々に演じることになった。また、その後の『秘曲 笑傲江湖』映画化&ドラマ化作品でも東方不敗は女優が演じるのが通例になったが、金庸は原作と異なり女優が東方不敗を演じるということに非常に不満らしい。

本作では秀吉への服従を拒んだ信長の残党が逃げてきて東方不敗と手を組むというオリジナル展開があり、その残党が敵を攻撃する時の「○○斬りだっ」などという日本語吹替台詞(吹替版ではなく字幕版のオリジナル吹替)が、その辺の日本人を連れてきて吹替させたんじゃないかというぐらいのひどい棒読み(笑)。残党と話すブリジット東方不敗のたどたどしい日本語とか、酒宴で興に乗った残党たちが踊り出して歌うのが「あんたがたどこさ」だったりとお馴染みの勘違い日本描写がありつつも、映画のほうはワイヤーワークを駆使したド派手なアクションでなかなか面白かった。

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バラージ

3.5 散り際の東方不敗

2025年11月12日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

ツイ・ハーク制作の作品で、当初はキン・フー監督が撮っていたものの途中降板したという経緯があり、その点は作品全体にも表れているように感じました。キン・フー的な文人武侠の気配はほとんど残っておらず、時代がだいぶ進んだこともあって、むしろ90年代香港アクションらしい勢いと混沌が前面に出ている作品だと思います。

本作でもっとも印象に残るのは、やはりブリジット・リン演じる東方不敗です。両性具有のキャラクターとして描かれており、圧倒的な強さと同時に、恋をした一人の存在としての弱さや悲しさも同時に抱えています。主人公はジェット・リーで、これも“香港映画らしい”と言っていいのですが、とにかくやたらモテるタイプの主人公で、あちこちから好意を寄せられるお決まりのパターンで描かれています。

作中で東方不敗と主人公が一夜を共にしたかどうかという点は、観客側から見ると完全に「東方不敗の恋人・シィシィのほう」とはっきり分かる撮り方になっています。ただ主人公のほうだけが最後まで確信が持てず、そのまま崖の上の対決に至り、東方不敗が「死ぬまで悩めばいい」と言い残して去っていく。このやり取りが非常に切なく、強さと弱さを併せ持つ東方不敗というキャラクターを象徴するシーンだと思います。

アクション面では、水の上を走ったり、爆破がやたら多かったりと、当時の香港ウーシア映画らしい勢いが全開で、ワイヤーが見えてしまうような箇所も気にせず押し切るパワーがあります。意外だったのは、部分的にクロサワ映画のようなディープスペース(手前に顔のアップ、奥に人の列や空間が広がる構図)が使われていた点で、画面に奥行きを持たせる工夫があることでした。ただ、基本的には“勢いと見せ場”で突っ走るタイプの映画だと思います。

全体として、ジェンダー表現なども盛り込まれてはいるものの、作品としてはあくまで娯楽アクション映画の範疇で、社会的メッセージを強く打ち出すような作りではありません。アクションの派手さとキャラクターの魅力を中心に楽しむ映画であり、その中で東方不敗という特異で魅力的なキャラクターが後世に強く残った理由もよく分かる一本でした。

鑑賞方法: Blu-ray (香港版)

評価: 70点

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neonrg

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