ポルノ時代劇 忘八武士道のレビュー・感想・評価
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エログロ・アクション時代劇の逸品
東映チャンネル(スカパー!)の放送にて。
東映のエログロ路線を牽引した石井輝男監督の成人指定映画。
タイトルに堂々と“ポルノ時代劇”と謳ってるのが今となっては却ってほのぼのと感じる。
小池一夫+小島剛夕による「忘八武士道」という劇画(※)は知らなかったが、この映画を観ていると原作の絵が想像できる。小池一夫らしいストーリーとエロティシズムだ。
お紋(ひし美ゆり子)を頭(?)とする女忘八たち(ただの遊女ではなく、“くノ一”みたいな)が、敵が仕掛けた火をゴロゴロ転がって身体で消すところとか、クライマックスで阿片に麻痺した人斬り死能(丹波哲郎)が自分に剣を刺して正気を保とうとするところなど、恐らく原作にあるのだろうと想像する。
60年代後半から、テレビに取られた観客を劇場に取り戻す策として東映が量産したピンク時代劇(と呼んだかどうかは知らない)カテゴリーの作品だが、特に石井輝男作品はエロティシズムとサディズムを強めた“異常性愛路線”と呼ばれたようだ。
東映ピンク路線は当初は成人指定ではなかったが、石井輝男は(東映の意向で)過激に突っ走り、成人指定ポルノ映画が東映の柱のひとつになっていた。
本作は、当時としてはエログロをとことんやり抜いたんだろうと感じるが、剣客が主人公なのでバイオレンス描写にも注力しているから裸と血しぶきのオンパレードだ。
斬られた腕が飛び、脚が飛び、首が飛ぶという、アクション時代劇としての面白さもちゃんとあるのだ。
中でもライティングを駆使した石井輝男の演出テクニックは見事。
伝説のアクション・テレビドラマ「キーハンター」がまだ放映されていた時期で、丹波哲郎にポルノ時代劇をやらせたのだからある意味ですごい。
丹波はB級チャンバラ映画や五社英雄のテレビ時代劇で身につけた技術を発揮していて、高く跳躍したりする派手な殺陣を難なくこなしている。
石井輝男の丹波への信頼は厚かったらしい。
加えて、ひし美ゆり子だ。
東宝を退社した直後にヌード写真(引退記念だったとか)が雑誌に掲載(流出?)され、当時の大学生はザワついた。友里アンヌのファンたちは成人になっていたのだ。
当時の映画界では〝脱ぐ〟となったら話は変わる。契約を更改しなかった東宝も、松竹も東映も、フリーになったひし美ゆり子をスクリーンに引っ張り出して脱がせた。
そんな中で出演した何本かの成人映画の一本が本作だ(恐らく、最初の成人映画)。
もうこの頃は慣れたもので、金髪の外人尼を貼り付けにして性感攻めしたりしちゃっている。
1966年の『丹下左膳 飛燕居合斬り』以来、’78年の『柳生一族の陰謀』が12年ぶりの東映時代劇映画ということになっているが、ピンク時代劇は連綿と作り続けていて、作り手たちはピンク路線のなかで様々な工夫と挑戦を試みていたのだから逞しい。
※原作の「忘八武士道」は報知新聞に、1971年10月から1972年1月まで連載された〝新聞劇画〟だったらしいから驚きだ。どういう掲載スタイルだっのかは知らないが、新聞連載だと1日1ページだったのか…。
映画化の前に講談社から最初の単行本が全1巻で発刊され、その後別の出版社からも復刊されたようだ。
今は電子書籍で読むことができそうで、スペックは127ページだったり、238ページだったり、276ページだったりと、サイトによって異なる。
冒頭から石井輝男演出が冴える
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