上海バンスキング(1984)のレビュー・感想・評価
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舞台的なメリハリの利いた演出・脚本 × 映画ならではのシーンの融合。
爆発を含む、火のシーンが圧巻。
CGのない時代に、職人技が光る!!!
好きなことに没頭するはずだったのに…。胸をかきむしられる。
松坂さん演じるまどかの艶やかさ。
志穂美さん演じるリリーのまっすぐな愛。
風間さん演じるシローは、前半は光るところはあまりないが、後半、この方でないとと思うほど。
宇崎さん演じるバクマツは、台詞は棒読みのところもあるが、バクマツと言う人を体現している面白さ。
平田さん演じる弘田の厭らしさ。『蒲田行進曲』と比べると、役者だなあと思う。
夏木さん演じる白井中将の純愛に泣ける。
三谷さん演じる方さん。人の良い中国人がこんなにハマるなんて。
他にも他にも…。
舞台の映画化。舞台は未見。舞台を映画化した串田監督の映画も未見。
ご都合主義的に人が出入りする。
例えば、結婚式の最中に、開戦の報をあえて挟み込む。
他にも他にも。
でも、そんな舞台上だけの映像ではなく、
記録写真を使った当時の映像。原爆被害者の映像も。
戦闘シーンのリアルさ。実際はもっと悲惨なのだろうけれど、その理不尽さに憤りたくなる。
トランペットの演奏の後の何気ないシーンにも、胸を突かれ…。
そして、お店の華やかさ。ダンスがすごい…。こんなに心躍る場所に通わなかったなんて、人生の半分を損した気分になる。
☆ ☆ ☆
「ドンパチやるより、ブンチャカやろうよ」 この映画のキャッチコピー。
「上海 世界でも類をみない雑踏の大都会。
フランス人はこの町に 劇場と売春宿を建て、
イギリス人はこの町に 競馬場と阿片をもちこみ、
ドイツ人はこの町に ビールとスパイを送り込み、
アメリカ人はこの町に スロットマシーンとダンスホールを売り込んだ。
そして、
ずっと遅れてやって来た日本人は、
鉄砲をかついで上陸し、 租界には手をつけずに 中国人居留区を焼け野原に変えた。
このドラマは、 そんな上海に迷い込んだ 日本のジャズメンたちの物語である。」
(パンフレットより)
1929年・NYウォール街に始まる大恐慌、
1936年、日本では2.26事件が起こり、国中を大日本帝国に統一と、戦争の序章が始まっているにもかかわらず、
1920年代から1930年代の間に、USAでは『華麗なるギャッツビー』他、ジャズの偉人達の映画が作られ、
日本のダンスホールでも、ジャズをはじめ、シャンソンやコンチネンタル・タンゴに合わせて、人々は踊り、
1939年にはグレン・ミラー楽団の人気が沸騰。
(パンフレット所収の年表と瀬川さん『モダン時代のバンスキング』参照)
2.26事件の起こった1936年、結婚して音楽芸能の中心地のひとつであったパリに行こうとまどかに約束、嘘をついて、本当に行きたかった、ジャズのメッカ・上海に住み着いたシロー。
魔都上海。
「世界でも類をみない雑踏の大都会ーその名は上海。戦前の上海は、人口約300万、48ヶ国の人間が雑居していた。街を特徴づけた<租界>と呼ばれる植民地区に、世界中からあらゆる物が流れ込み、政治の間の不安定な繁栄と自由にひかれて、多種多様な人間が集まっていた。」
(フライヤーより)
そんな時代、そんな魔都上海の雰囲気を前半は楽しめて、小粋でゴージャスなジャズの雰囲気に酔いしれる。
それだけに、後半が切ない。
今が楽しめればいい。自分が楽しめれば、他を利用しても良いという、子どもみたいなシロ―と、そんな彼を愛したマドンナ。
その夫婦を軸としての人間模様。時代に呑みこまれる様。その中での、それぞれの生き様。
映画だけを見ていると、戦争の足音がすぐそこに迫っているにも関わらず、現実逃避して、一夜の夢を謳歌しているお気楽な人々にも見える。そんな人々が、最終的に抗えない状況に取り込まれて行くさまがどうしようもなく、胸に迫る。
けれど、パンフレットで、世界的動向等を合わせて読むと、
世の世知がなさから、一時~永遠に、逃れたがった人々が租界に集まり、その人々の夢を叶え、食い物にして発展した魔都・上海。(治外法権で「犬と中国人以外は自由」とまで言われた)
と、同時に、夜明け前は一番暗いの逆?トワイライトゾーンの輝きか?円熟した芸術も生まれた時代。たくさんの文化がなだれ込んだゆえに、化学反応を起こした?(振り子が揺れるように抗日運動も生まれ、暗躍し力をつけていく)。
でも、そうやって生み出された文化・芸術も、結局、戦争に踏み荒らされてしまう。その変転。
本当に、この映画のキャッチコピーの通りになったらいいのに。
☆彡 ☆彡 ☆彡
出演なさる男性陣は、風間さん・夏木さん、平田さんをはじめ安定路線。
宇崎さんだけは一生懸命に役をこなしている様子、恥じらいが見え隠れするところが、笑いを添えて好感度アップ。自転車漕いでいるとか、台詞がないところでは、とってもらしくて役にハマっているのですが、シロ―、リリーとの絡みは今ひとつ。
女性陣は松坂慶子さん。かわいらしい声を甘いトーンで、しなを作りながら、多少舌足らずで話す。夫・シロ―に騙されても受け入れてしまう、バカなんだか、マドンナなんだかわからないけれど、妙に愛おしい女性を演じきる。
もう一人は志穂美悦子さん。細すぎてしなをつくる松坂さんに比べると、どうしても筋肉粒々で、体幹がしっかり安定しているから、本当は良く見ると、ダンスも松坂さんより足が上がっているし、踊れているんだけど、ダンスというより、”体操”に見えてしまう。いつもはそのキレキッレの所作に酔いしれるのだけれど、困ったなあ。
たどたどしい中国語も、よく聞くと、中国の方が話す日本語のように発音が日本語になっていない言葉をはっきりしゃべっていて、さすがだなあと息を飲む。そんな幼児が話す日本語のような言葉を一本調子で大きな声で短文でしゃべるので(覚えたての外国語ってこんな感じですね)、こちらも頭がよくないような錯覚に陥ってしまい、普段の姉御的な志穂美さんに慣れている身には違和感が…。
今回は元気いっぱいの可愛い中国娘という役柄にはあまり似合わず(T.T)。セクシーさはわざと封印?演技やダンスは満点だけど、なんか違和感を感じてしまった。
志穂美さんのファン。なのでひいき目に観たいのだけど、だから余計に普段のイメージに引っ張られてしまう。
と、ちょっと志穂美さんが勿体ないので、満点ではなく★4つ。
☆彡 ☆彡 ☆彡
伝説の舞台の映画化。
当初の企画では監督は別の方だったと聞くが、製作陣は『蒲田行進曲』の二匹目の泥鰌を狙ったか?という布陣。
とは思うものの、1930年生まれで、戦中・戦後を生きてこられた監督の、第二次大戦を描いた映画。ジャズと映画とジャンルは違えと、同じ”芸能”に人生を費やしている人が監督した映画。「ここ数年、衝撃と共に、自分の原初体験を呼び起こされた記憶は、この『上海バンスキング』以外にはない。 昭和11年の2.26事件から、昭和20年の敗戦に至るまでの「大日本帝国」の罪業の歴史を、1930年代のあのなつかしいジャズのメロディにのせて、見事に語りつくした所に、この原作の魅力があり、芝居の成功もあったのだろう。~」とのフライヤーに書かれた監督の言葉を読むと、監督なりの想いが込められた映画なのだろう。
オリジナル・伝説の舞台は未見。
オリジナル・伝説の舞台を映画にした方も未見。
串田さんが監督・出演。吉田日出子さん、笹野さん、小日向さんが出演ときく。芸達者な人々の饗宴。この映画とはまた違う味わいがありそうだ。見てみたい。
ジャズと戦争と、 題材、ストーリーは素晴らしいと思うが、 どうもこ...
海ゆかばからシング・シング・シングへの変化♪
まるで『蒲田行進曲』の続編かとも思える登場人物。今回はジャズといった雰囲気。ラリーという嫌な奴もいるけど、音楽が出来ればそれで最高だと思ってたジャズメンたち。マドンナことまどかもボーカルで参加し、バクマツ(宇崎竜童)の恋人リリー(志穂美悦子)も参加していた。そんな楽しい時代も戦争に巻き込まれたため波乱の人生を送ることに・・・
バクマツが日本人でリリーが中国人ということもあり、日中戦争では凄惨な光景も目撃するも二人の絆は一層強くなる。バクマツの同級生である軍人・白井中尉(夏八木勲)やマドンナの実家の書生だった弘田(平田満)も彼ら仲間の運命に関わってくるが、白井は特に自由人である彼らを羨望の眼差しで見ていた。
バクマツ家の舞台劇のような展開にダンスホールや戦争写真を混ぜ、ほぼ9年間の生きざまを見せられた。『蒲田行進曲』とは雰囲気も違い、音楽の楽しさと戦争を対比させ、一般庶民が戦争をどうとらえているのか・・・さらに租界という特殊な地域だけに外国人の考えも浮き彫りにしていた。そして戦争被害と残された女たち。本国にいたらジャズさえ出来ないのだから、ある意味、幸せだったのかもしれません。
最初に出てきた台詞。
「イギリスは競馬場とアヘンをもたらし、フランスは劇場と売春宿をもたらし、アメリカはスロットマシンとダンスホールで大儲けしている」「じゃぁ、日本は?」
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