座頭市鉄火旅のレビュー・感想・評価
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カラスに謝れ!
前作『座頭市海を渡る』では他のスケジュールとの兼ね合いなのか、長めの髪型だった勝新太郎が短く刈り込んだ頭で臨んだ本作。言葉遣いもシリーズ初期のように若干荒っぽい感じ。
今回はヒロイン役の藤村志保と元刀工の仙造を演じた東野英治郎に加え、藤田まことや水前寺清子がゲスト出演とキャストが多彩。
ほかにも、のちに大川橋蔵版『銭形平次』の万七親分役で認知度上がった遠藤辰雄やTV時代劇で肝っ玉女将さん役が定番だった春川ますみに悪役俳優、須賀不二男らの顔も。
もちろん大映時代劇には欠かせない木村玄と伊達三郎も登場。
五味龍太郎は口ほどにもない…。
クレジットも髭もなかったので確かなことは言えないが、エキストラで草野大悟が出ているような気も。
子供を登場させたりと、ややくだけた傾向になり気味だったシリーズをコメディ映画が多い脚本家の笠原良三が逆に緊張感溢れる骨太の筋書きに。
仙造から刀の寿命を告げられ居合いを使えないという特殊な設定の下、途中、杖で殴るだけという無茶苦茶な場面も盛り込みながら引き締まったプロットを構築している。
ヤクザが主人公でありながら、ヤクザの欺瞞をテーマとしている点はシリーズ共通だが、本作では足を洗いたがる一人息子に無理に跡目を継がせようとすることから生じる悲劇が物語に起伏を与えている。
クライマックスの小雪舞い散るなかの夜間の剣戟シーンは見応え十分。音楽担当の斎藤一郎が伊福部昭張りの劇伴を聴かせてくれる。
市が煙管で絡み取ったドスを天井に突き立て、落ちてきた刃(やいば)が壺ごとイカサマの賽ころを両断するスピーディーな演出は編集の妙。
BS12トゥエルビにて視聴。
仕込み杖の寿命=市の最期!?
BS12で鑑賞。
原作は未読。
市の仕込み杖に寿命が訪れる。あとひとり、斬った瞬間折れてしまう。その時は、市の最期でもあろう。突然の最終回の如き展開に、市はいったいどうなるのかとハラハラ・ドキドキだった。
今回の敵となるやくざは、今までの敵にも増して極悪非道であった。市の慕う刀鍛冶の爺さんが殺されたことで、市の怒りは頂点に達する。
こんなに怒っている市は初めてだ。覚悟を決めて寿命を迎えた仕込み杖を振るう市。刃が折れた。だが、折れたのは相手の刀の方だった。
刀鍛冶が死の間際、仕込み杖に新しい刀を仕込んでくれていたのであった。刀鍛冶の爺さんの想いを胸に、市は死闘の場へと乗り込んでいく。
新しい刀は切れ味抜群。やはりまともな生き方は出来ないと云う哀しみを背負いつつ、今までに増して多い敵をバッタバッタと斬り捨てていく。
迫力満点の殺陣を観ている内に市の怒りがこちらにも伝播して来て、やくざの親分の胸に仕込み杖が突き立った瞬間、見事に溜飲が下がった。
闇の中に浮かび上がる座頭市の圧倒的なカッコよさ
なんだこれ?
スゲェ、カッコイイじゃん!!
というのが正直なところ。
子どもの頃、座頭市はもちろん知っていたし、みんなでチャンバラごっこをする時にはマネしてたし、その時だって子ども心に、カッコよさを感じていたのだと思うが、映画としてキチンと向き合ったのは、今回が初めて。
こんなに闇が深く描かれていたとは知らなかった。今のドラマではあり得ないくらい、灯火のわずかな光に照らされて浮かびあがった、勝新太郎の顔が持つ圧倒的なインパクトに痺れる。
話の流れや背景については、エピソードごとの場面場面で、説明セリフを端的に用いて、スッと観客に飲み込ませてから、魅せる殺陣の部分は、たっぷりと間や緩急をとって最大限に盛り上げる。もう「なんてスマートな!」と驚いてしまった。
昭和の大スターここにありを、心から堪能できる作品だった。
水前寺清子や、東野英治郎、藤田まことなど、懐かしい面々が観られたのもうれしかった。
BS12で鑑賞。次回も楽しみ!
若い頃の水前寺清子。演技力はそれほどでもないが、「いっぽんどっこの唄」の歌がかなりいい。
鉄火場でイカサマの裏をかいて稼いだあと、うどんの屋台で知り合った鍛冶屋の仙造(東野英治郎)に仕込み刀を見てもらうと、その刀を作った下野の刀鍛冶の弟子だという。今まで、何人も斬ってきたおかげで寿命が近づいていて、あと一人斬ったら折れてしまうと教えられた。大切な仕込みを仙造に預け、堅気の道を歩むことを決心する座頭市・・・
仙造の紹介で旅籠の下野屋であんまとして働くことになった市。そこの娘お志津(藤村)は死んだ庄太郎の娘だったのだ。ところが、仙造、お志津本人から、実はお志津は仙造の娘であることを聞かされた市。お志津は義理の弟・清吉(青山)を庄太郎の跡目を取らせたいあまり、市に相談にきたのだ。清吉はヤクザ稼業に興味はない。この跡目相続は岩五郎も煙たがってたことから、お志津は桑山に奉公に出され、清吉は暗殺される・・・
この緊急事態、市はお志津を呼び戻すべく桑山のもとへ向かおうとするのだが、仙造は一家に殺され、彼が20年ぶりに作った刀も盗まれてしまう。市は寿命のきた自分の仕込みを持って出かけるのだった。
ストーリーはさほどでもないが、シーンそれぞれがしっかり出来ている作品。全体的に怒りに満ちた勝新太郎。藤田まことも要所要所で笑わせてくれた。
市と刀
シリーズ15作目。1967年の作品。
烏が不吉に鳴く下、足利に帰途中何者かに斬られ無念にも息絶えた男を看取った後、偶然目的地が一緒の陽気な旅芸人一座と共に、市は足利へ。
町は横暴なやくざが幅を利かせ、早速市はいかさま博打で大金をせしめる。
屋台で一緒になった老人と意気投合。そこへやくざ共が襲撃するが、いつも通り仕込み刀で瞬殺。
すると老人が刀をよく見せて欲しいと、自分の家へ招く。
その老人・仙造は元鍛冶職人で、何と市の刀は仙造の師が造った名刀。
しかし刀はすでに限界で、後一人斬れば折れるという。
折れるまで斬るか、それとも…。
市は刀を置く。
仙造の薦めもあり、堅気になる事も決意する…。
前半がいつもと違って面白い。
初めて仕込み刀にフィーチャー。バッサバッサ悪人共を斬りまくってきたが、無敵の武器なんてある訳ない。寿命はある。
苦楽を共にし、危機を乗り越え、コイツに何度も命を救われた。
市と刀の関係にしんみりさせられた。
宿場で得意の按磨として働く市。
男勝りのお志津が切り盛りする。
奇遇にもお志津は、市が道中看取った男の養女。さらに驚く事に、お志津の実父は仙造。
お志津は知らず、仙造は名乗り出ず、一筋縄ではいかない訳ありの人間関係。
やくざと見廻り役がやりたい放題。
見廻り役がお志津に色目を使い、仙造に名刀を造らせようとする。
やくざはお志津を拉致し、お志津の弟を殺し、仙造までも…。
仙造の家で預かってくれていた刀を手にする。後一人斬れば折れる。
が、その刀は…。
東野英治郎がさすがの名演。
藤村志保が凛とした美しさとしおらしさ。
チョイゲストでは、旅芸人の水前寺清子が歌声をサービスし、藤田まことがコミカル・シーンを請け負う。
クライマックス、樽の中に入れられグルグル回されるも、「回る目がねぇ!」と啖呵を切って、悪党どもを斬り捨てる大殺陣がハイライト。
後半はいつもの座頭市映画となるが、個人的には市と“相棒”の物語であった。
仙造が研ぎ、再び命を繋いだ“相棒”と共に、堅気になれぬ男の旅は続く。
BSフジ。 チーターの歌から始まる。おっと藤田まことだ。みんな若い...
様式美
安定の座頭市。相変わらず面白いです。
これまで何人もの敵をなぎ倒してきた座頭市。
その強さは、居合の腕だけではなく、その名刀のおかげでもあった。
本作では、その刀に寿命が来てしまう。刀を捨て、カタギとして働く座頭市。
さてどうなるのか?!・・・この設定自体がこれまでにないパターンでした。
本作ではうどん食いながら敵を斬ります(YouTubeにある名シーン)。
今回の悪役も汚い奴なんだ。
ひたむきに働く兄妹の全てを奪おうとするクソ野郎。
これに対して座頭市の怒りが爆発。
結局「やっぱり俺はカタギにはなれねぇ!」と言って、殴り込む。
ラストは「雪」の舞う「夜の宿場町」でのバトル。
何度観てもこの組み合わせは良いものです。
本作で15作目。愛着が湧いてきたというのもあるのですが、毎回、勝新太郎の座頭市としての魅力が増しているところが凄いです。座頭市は、サスペンスやチャンバラシーンは意外と少ない。何の変哲も無い日常シーン(話す、食べる、歩く、座る)や、日本の風景の撮り方で魅せてくるんだよね。これが様式美というものだと思う。
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