ネタバレ! クリックして本文を読む
主役、フローリア役のレオニー・ベネシュの演技が自然でよかった。「ありふれた教室」とも「セプテンバー5」とも異なる。レオニーは私達に馴染みがある普通の「職業」を演じるのが上手い。今作では看護師だ。看護師の仕事:高度な全体把握能力(患者、同僚、医師)、頻繁に手を洗う、黙々と正確に動きつつ患者や家族とのコミュニケーションを欠かさない、動く彼女の後ろ姿が印象的。患者の苦しみや悩みや死への恐れに決して「慣れて」いるわけではないことが静かに強く伝わる。
印象に残ったエピソードが三つあった。
1)病室でフローリアとドイツ語の歌を一緒に歌うスカーフを纏った女性の患者さん。歌いながら涙を流す。夜勤を終えてバスで帰宅するフローリアの横にスカーフの彼女が座る。フローリアはその彼女の肩に頭をのせる。
2)高額なプライベート保険に入っている個室の金持ち男、傲慢で「看護婦、早く来い!」とコールし病室に到着するまでの時間を計り嫌みを言う。時間を計ってた高価な腕時計をフローリアは取り上げ外に放り投げる。彼女の前で金持ち傲慢男は泣く「なぜ、自分がこんな病気に・・・」。フローリアは時計の賠償金を払うと言うが、彼はもう気にしない。
3)禁煙にも関わらずタバコを吸う女性患者。フローリアは彼女からタバコとライターを取り上げる。例の腕時計を外で見つけた彼女はフローリアに渡す。フローリアは取り上げたタバコとライターを彼女に返す。
患者に寄り添いつつ、テキパキと正確に動くフローリアに茫然としながら感動?感謝? 言葉にできない幸せな思いで胸がいっぱいになった。
イタリアのボローニャの「チネマ オデオン」で見た。特別映画期間(6月~9月)だったので入場料は誰でも3ユーロ50。地味だがとてもいい映画だったので日本上映を心待ちにしていた。