長安のライチのレビュー・感想・評価
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壮大な企業戦士の物語。
憧れの地である長安で希望に満ちた職につき、現実の厳しさに揉まれながらも真面目に誠実に、小さな幸せも手に入れ、それをしっかり守るため、変に高望みもせず着実な人生を送るのが似合っていたはずの主人公、そんな彼が巻き込まれてしまった無理難題のミッション・インポッシブル。
しかし彼はトム・クルーズではない平凡な男であり、一休さんのようにトンチで切り抜ける狡猾さもなく、半沢直樹のように倍返し出来るような策略家でもない、どちらかと言えば路傍のフジイのようにやる事をただやり周りが勝手に引き寄ってくるタイプだ。
ただしかしだ、この問題はさすがお国柄、スケールがデカ過ぎるし、陰謀がダイナミックにストレート過ぎるのだ。
仲間と呼べる者たちの期待にも応えられず、犠牲者までも出してしまい報いることすら出来ない普通の男だ、最低限のライチと妻への約束の花を何とか届けるのが精一杯なのだ。
それが悲しくも愛おしい。
色鮮やかな時代の大陸を切り取り、テンポ良く軽妙に描かれ、特に商人、農園の娘、奴隷の青年たちとの嶺南でのパートなどは多幸感溢れる素晴らしさだ。
その後にやや展開がもたつくのが何とも惜しく、もっとスッキリと怒涛のクライマックスにもっていけてればと思う。
上の人の顔色を窺って、過剰に対応する人たち
誰かがやらないといけないけど、面倒だから誰もやらないことをアサインされるのは、私自身いろいろと経験がありますね。で、成果があがると、自分がしたような顔をする人が出てくることもありました。
この映画でも、できる目途がたったところで、それを利用しようとする偉い人が出てきて、その人の顔色を窺っている人が、それまで軽視していたのに、手の平を返すように寄ってきたり。自分の手柄にしたくて過剰な対応をすることで足を引っ張ったり。基本、みんな保身に走っているんでしょうね。
そういう保身に走っている人たちが、最後に罰が当たるというところで、主人公が置かれた理不尽な状況に対して、観客はスッキリできるようで、必ずしもそうじゃない感じが、リアルに思いました。
日本でも製作委員会方式で、いろんな会社が出資して、リスク分散していることがありますが、最近の中国映画だと、出資会社のロゴが冒頭やエンドロールにいろいろと出てきて、ちょっとうんざりすることがありますね。
長安の街で交通手段としてロバが使われていましたが、西安(元長安)に行った時、現地ドライバーに連れられて行ったレストランで、彼が西安名物だと注文したのは、ロバのジャーキーのようなもの。本人はうまいとバクバク食べていましたが、肉の臭みと強い香辛料で、1口で食べるのをやめたのを思い出しました。
出世とは無縁でも
なんて馬鹿馬鹿しいストーリー!!…とは思うものの、中国には実際に「ライチ使」なる職が存在したそうです…恐ろしや、中国史。
下っぱサラリーマンは辛いです。
劇中の台詞で「出世に必要なのは、利益を共有すること」「持ち上げること」…もう一つ忘れたけど何かあった…これらの言葉が印象的だった。
出世とは無縁の主人公ですが、真面目に、タフにミッションを遂行しようとする様子が見どころでしょうか。
完遂力は嫁のお墨付きでした。
腑に落ちないのは、蘇諒が主人公をあれほど助けるに至るほどの何かがあったか?…ということ。
主人公の人柄が良いとはいえ、2人の絆の強さがいまひとつ不可解に感じました。
2時間では限界があるでしょうけどね。
キャストは豪華です。
主役のダー・ポン、お初だ…と思ってたら「無名」に出演してたらしく、気がつかなかった。
この俳優のおかげで、内容がかなりポップでユーモラスな感じになった気がする。
アンディ・ラウも、後から気づいた。
ヤン・ミーは化粧薄そうだったが、隠し切れない綺麗さ。
馬で走る場面が多かったけど、本人たちが実際にやってる…?…だとしたら、なかなかの腕前です。
特にテレンス・ラウ、お見事です。
映像が綺麗なのと音楽が良かったことで、2時間あっても退屈しなかったです。
ドラマもあるらしいので、機会があれば、是非観てみたいです。
唐代を舞台にした壮大なエンターテインメント 見る価値あり
久しぶりに見た中国映画。
コメディータッチでテンポがいい、それだけではなく、風刺も効いてて軽くはない。とても楽しめる作品です。
何より驚かされるのはセットの豪華さや、エキストラの数、シーンの壮大さ。特殊効果も併せて贅沢にたっぷりとお金をかけた美しい映像が一分の隙も無く表現されています。唐の長安の壮麗さ、嶺南の南国らしい開放感と異国情緒などなど。
数千キロ離れた嶺南から生ライチを運べという皇帝の無茶振り。その中で展開されるのは、責任逃れのお役所仕事と、権力者の権謀術数。かたや家族の繋がりと古い友人、苦労をともにする仲間。。。いろいろとてんこ盛りすぎるくらいの内容をギュッと2時間に。
それにしてもダー・ポン、監督・主演なんてすごい!
宝物を見つけたような映画
命がけの仕事
思ったよりも軽いタッチで始まり、これはよくあるお仕事ムービーか、と思いながら観ている内にどんどん面白くなる。
唐の時代に、数千キロはなれた産地から長安まで新鮮なライチを届けるという無理難題を押し付けられた、下級官吏の男。最初は何とも情けないのだが、やるしかないと腹をくくってからの思考や行動力には感心する。
やや長い感はあるが、コミカルにテンポよく進み、最後まで飽きない。
それにしても、ここで描かれる腐敗政治の有り様に既視感を抱くのは、私だけではないだろう。たとえ身を守るためでも、自分をごまかして生きるのは中々苦しく難しいことだ。生きられなくなる人もいる…。
男が最後に流す涙は、深い絶望と虚無感からだろうか。
THE LYCHEE ROAD
長安のライチ
静かだが圧倒的な熱量で、不可能に挑む姿に心を掴まれた一本
中国・唐の天宝年間に実在した「ライチ使」を題材にした壮大な歴史の物語なのだが、どこか今の私たちにも通ずる話でもある
主人公李善徳の満員電車のような人混みをかき分け通勤したり、「長安を漂う"根無し草"」と、しがない下級官史から抜け出せず十数年
妻や娘のためにやっとローンでマイホームを購入したり、
一介のサラリーマンを見ているかのようなユニークさで皮切られる
だが
観終わったあと
たった122分だったのかと思うほどの
濃厚なストーリーに大満足するだろう
長安の下級官史の李善徳は、
とにかく真面目で実直
こと算術においては
人よりも秀でていてとても優秀
仕事においては
少しの誤算も見逃さず融通が利かないので、
同僚や上司からも疎まれていた
そんな時
楊貴妃の誕生日を祝うため、皇帝からの命で
「遥か南方・嶺南の新鮮なライチを長安へ届けよ」
ライチの産地・嶺南は長安から5000里
数千キロにも及ぶ
そしてライチは1日で色が変わり
2日で香りが消え
3日で腐る
新鮮なまま運ぶのは到底不可能
失敗すれば命はない
が、
その命令は同僚の画策のより
李善徳に下る
理不尽にも感じたその命に
絶望に見舞われた李善徳だったが
愛する妻や娘のため
決意して嶺南に向かう
楊貴妃の生誕まで
実に4ヶ月余り
前代未聞のライチ運送計画の始まりである
決意した李善徳はもう気弱ではなく
とにかく突き進む!
様々な危険にさらされながら
長い道のりを乗り越え嶺南にたどり着く
嶺南でいかにライチを手に入れ
新鮮なまま皇帝に届けるのか
嶺南で出会った
商人の蘇諒・ライチ園の長 阿僮・奴隷の林邑奴
それらとの絆を深め
彼らの協力のもと計画が練られる
この映画の1番の見どころと言える
李善徳の生きた算術による緻密な計画
同僚たちに疎まれた
数字に細かい李善徳の
生きた算術が
ここで余すこと無く発揮されるのだ
李善徳の持つ算術による
膨大かつ大掛かりな検証が行われる
何度も失敗を繰り返すが
「たとえ失敗しても知りたいのだ
成功までどのくらい近づけたのか」
李善徳は限りなく成功に近づくために
諦めず繰り返すのだ
どういうことか
これはもう口では
説明できないくらいだが
いけそうな気がしてきた
到底不可能と思われたミッションが
いけそうな気がしてきた
だが
ここからさらに茨の道が始まる
この李善徳の計画で
ライチが無事皇帝に届けられることを
望ましくないと思う者からの
信じられない妨害をうける
果たしてライチは無事なのか!
権力による妨害、人との別れ、中国の壮大な景色
すべてを乗り越えた先に残るのは、達成感に似た深い満足感だった
テンポのいい展開にのめり込み
観終わったあと
達成感にも似た満足感で満たされる
ふと
諦めそうになった時
一旦死ぬ気になれば、
困難に立ち向かう勇気をもらえる
そんな作品だった
ご褒美ビンタ
皇帝陛下の命を受け、嶺南から長安へライチを調達することになった算学家で下級官吏の李善徳が奮闘する話。
長安に来て18年、妻子と暮らす新居を契約して程なく、ライチ使の仕事を拝受したら、蜜漬けじゃなくて鮮ライチ?誰も受けない無理な仕事を押し付けられた?となって行く。
ビンタ姐さんにも内緒で「ちょっと嶺南行ってくる」のノリで馬を駆り、5千里離れた嶺南へ…えっ!?距離感わからなかったけれど31日もかかるの…。
試行錯誤を繰り返し、最終的には根から抜いて船上に植えるのかな…なんて思っていたけれど、流石にそれはなかったw
時代劇ということでそこそこ堅いのを想像していたら、日本の時代劇コメディほどじゃないけれどなかなかコミカルでノリが良いこと。
それでいて権力を持つものの愚かさとか、人情物語なんかはなかなか熱いし。
少し長さを感じたのは否めないけれど、それでもなかなか面白かった。
唐の都の長安
劇場にポスターもチラシも予告もなし。
いきなり上映(気づかなかっただけかも)。
予告動画みたら、これ絶対好きなやつ。
「天平な甍」のような歴史絵巻・感動の巨編みたいなのを期待していたら、予想に反して前半のテンポ良すぎるコミカルな展開に画と合わない挿入歌(でもなんかいい)。
後半、一気に逆転劇が始まるかと思いきや、、。
役所でのたらい回しは、まるで黒澤明の「生きる」のよう。バカと蔑まれるほど正直で真面目で計算に秀でた主人公が、その正直・真面目さと計算能力で取り立てられるところは胸がすくが、そこに立ちはだかるのが、、。
泣きながら食べるライチの味は、甘かったろうか。
唐の都の長安の賑わい。憧れの漢詩の世界へ連れて行ってくれる。
映画って素晴らしい。
こういう時だからこそ、かの国の映画がたくさん公開され、かの国でも日本の作品がたくさん公開されることを望みます。
久々に哀しい、虚しい、寂しくなる映画。 最後に泣きながらライチを食...
知りたいのは成功までどれだけ近づけたか ー 誰がためのライチか
唐時代のある詩人は、ライチをこう表現したそうだ。
1日で鮮やかな赤い「色」が、
2日で芳醇な「香り」が、
3日で肝心の「味」が変わってしまう。
4〜5日経てば、色も、香りも、味も、すべて消え失せてしまう。
そんなライチを新鮮なまま、嶺南から遥か遠い、数千キロ離れた長安の楊貴妃に届ける”ライチ使”の物語。
時代劇とは思えない、ラップにのせた展開のはやい描写で、⾒ている側も強気になってくる。
長安に戻った時の、夜の幻想的な光に彩られた遠景と、赤い⽊綿の花を散らしながら尋常ならぬ気迫で馬を走らせる画は圧巻。美しすぎた。
美しく舞い散らせた⽊綿の花は、妻との約束だけではなく、失われた大切なものも意味していたのだろう。
印象的だったのは、
「たとえ失敗しても、知りたいのだ。成功までどのくらい近づけたのか。」
というセリフ。
それは、夢を叶えようとする時に、忘れがちだけど⼤切なこと。
⼤切なのは、過程の充実や成⻑⾃体。
しかし、献上されたライチが、ほかのフルーツと同じようにただ並べられているのを観て思った。
本当に楊貴妃が⽣のライチを欲しがったのだろうか。皇帝の、⾃分の権⼒と愛を誇⽰するためのパフォーマンスだったのではないだろうか。
そもそも、犠牲になった多くの⼈々の中に、純粋に楊貴妃に喜んでもらおうと思っていた⼈はいたんだろうか。
ただ権力に溺れる、既に腐敗しきった⻑安の虚無を感じさせる。
どこであっても、いつの時代でも存在する利⼰的な⼈物、⽀配と搾取。
それに抗うか、⽬を逸らすか、馴れ合うか。
それは各々の選択に委ねられる。
繊細で貴重な果実を巡る物語でありながら、
同じく繊細で尊い⼈の信念、愛情、友情、そして時代の理不尽さを鋭く描いた作品だった。
noteではYouKhy名義でもう少し詳しく書きました。
ラストが好き
興味がある方は是非劇場で!
下級官吏の命懸けの奔走
■ 作品情報
人気作家マー・ボーヨンの小説を原作に、中国・唐の天宝年間に実在した「ライチ使」を題材にした作品。監督・脚本: ダーポン。主要キャスト: ダーポン、バイ・コー、ジュアン・ダーフェイ、テレンス・ラウ、アンディ・ラウ、ヤン・ミー、チャン・ユエン。製作国: 中国。
■ ストーリー
唐の都・長安で下級官吏として勤める李善徳は、ある日、楊貴妃の誕生日に新鮮なライチを贈りたいという皇帝の願いを叶えるため、数千キロ離れた南方・嶺南から新鮮なライチを長安まで運ぶという無理難題を上司から命じられる。ライチは非常に傷みやすく、鮮度を保ったまま長安へ届けることは不可能とされる。この任務は李善徳の運命を左右するものであり、成功すれば富と名誉が約束されるが、失敗すれば命の危険に直面する。上司の策略により「ライチ使」に任命された彼は、嶺南へ向かい、ライチ農園の娘、計画に投資する商人、奴隷として虐げられていた青年など、思いもよらぬ仲間たちと手を組むことになる。彼らは、刻一刻と迫る納期、腐りやすい果実、そして宮廷に渦巻く官僚たちの権力闘争という数々の逆境に直面しながら、前代未聞のライチ運送計画に挑むことになる。
■ 感想
予告編は見ていませんでしたが、あらすじに惹かれて鑑賞してきました。中国らしい「ライチ使」という特異な役職を軸に、ユーモラスさと壮大なスケールを感じさせ、深い人間ドラマが織りなす物語に、強く心を揺さぶられました。期待を大きく超える作品で、大満足です。
物語の前半では、不器用で人の良い李善徳が、理不尽な難題を押し付けられながらも、愛する家族のために奔走する姿が描かれます。悲壮感よりも、どこかユーモラスで人間味あふれる奮闘ぶりに引き込まれます。特に、愛ある厳しさで夫を支える美しい奥さんとのやり取りは、思わず笑みがこぼれます。彼の誠実な人柄が多くの協力者を得て、持ち前の算術の才で不可能と思われたミッションに成功の道筋をつけるまでが、実に痛快です。
後半になると、李善徳が宰相に認められ、絶大な権力を手に入れ、いよいよライチ運搬の本番へと突入します。莫大な費用と人員を動員した壮大な計画は、まさに国家プロジェクト。ライチの木を200本も切り倒し、荷馬車が何列にも連なる光景は圧巻の一言で、そのスケールの大きさに息をのみます。ここまでの中国版「プロジェクトX」だけでもおもしろいのですが、その裏で繰り広げられる政治的な駆け引きが物語に深みを与え、本作に込められたもう一つのテーマも浮き彫りになってきます。
本作の真髄は、その壮大さの中に隠された皮肉と虚無感にあるように思います。高貴な人々のほんの一時の道楽のために、多くの人々が命を懸け、人生を捧げている現実。ライチ栽培に捧げる一生や、商売にかける大きな夢、奴隷からの解放といった個人のささやかな希望が、すべて取るに足らないゴミのような人生として描かれる対比が胸に突き刺さります。そして、多くの犠牲を払って届けられたライチが、一粒も顧みられることなく他の果物の中に埋もれていくシーンは、言葉にできないほどの憤りと虚しさを覚えます。
長安陥落の報を遠く嶺南の地で耳にした李善徳が流す涙には、どんな意味が込められていたのでしょう。若き日より憧れ続けた長安が崩れゆく悲しみか、それともそんな長安に幻想を抱き、人生の多くを捧げた虚しさか。はたまた、国そのものへの絶望か。下級官吏として誠実に国に尽くしながら、結局は国に裏切られた男のやるせなさを感じずにはいられません。仲の良かった杜甫の存在が文学的な深みを与え、「春望」が脳裏に浮かび、さらに物語を豊かなものにしています。
ただ一点、長安目前での忍者集団の襲撃シーンは、少し「やりすぎ」だと感じます。クライマックスで絵的な盛り上がりが欲しいのは理解できますが、あの場面だけは作品全体のトーンから浮いていたように感じます。そもそも指図した魚朝恩は、露見すれば死罪は免れず、私怨を晴らすにしてはリスクが大きすぎます。せいぜい届いたライチの陰で苦虫を潰す描写ぐらいでよかったように思います。
とはいえ、歴史の裏側に隠された人間のドラマ、そして個人の尊厳と国家の理不尽さを深く問いかける良作だと思います。興味があれば、ぜひご覧ください。
超高速!ライチ運送
計算が得意なことだけが取り柄の生真面目な役人・李は、仲間内から煙たがれ、皇帝のライチ使に任命される。それははるか南の嶺南地方から長安まで、四日で鮮度が落ちるというライチを運ぶ到底実現不可能な任務だった。
李の奮闘の様子が時にラップ(!?)を挟みながらテンポ良く進む。
李のひたむきな姿が嶺南の庶民の心をつかみ、運搬の任務は成功するかに見えたが、長安サイドの権力闘争や庶民を顧みないやり方が、ライチ運搬の行く手を阻む…
李がもたらしたライチ農園への仕打ちがひどく、あれで許される気がしないのだが、あくまで敵は別の者。そのあたりの揺らぎがないのでストレスフリーな所は最近の作劇の流行りか?
時代背景は知ってる前提で進むので、唐の歴史を知っているとより楽しめるかもしれない。
ラストの腐敗政治も栄光も全部が燃え尽きた長安の様子に諸行無常を感じた。
実直さだけが取り柄の下級官吏に与えられた「重過ぎる業務」
生ライチを長安へ持ち込むことができるのか。
数字に強い彼にとって、多くの協力者のサポートがあれば計算上では可能だが、実情は甘くなかった。
権力を持った者と従者達の「欲」による数多の妨害によって、長安への道が長く険しい路に変わり、如何にして立ち向かうのか…。
約2時間の上映だが、自分にはあっという間に思えた。テンポあるストーリー展開だったな。
ひとつ気になったのは、気候。
長安(今の西安)辺りは6月から7月は雨量も多く、湿度も高い。ライチ運送時には豪雨に遭遇しなかったのか?多湿ならば、ライチの腐敗速度はもっと早くなったのではないか?
まあ、細かいことは考えずに観るといいだろう。
【今作は、唐の時代に遠き嶺南から首都長安まで楊貴妃の為に生ライチを搬送するミッション・イン・ポッシブル映画であり、現代まで面々と繋がる官僚政治への怒りや貧しき民を想うムネアツ映画でもある。】
■唐代。長安の下級算術官吏である李山徳(ダーポン)は、楊貴妃の誕生日のために嶺南から約2,000km離れた長安へ新鮮なライチを届けるというミッション・イン・ポッシブルな任務を任される。
李は嶺南に行き、ペルシャ商人の蘇亮と出会い、奴隷の林邑奴(テレンス・ラウ)とも心を通わせ、長安に生ライチを腐らずに送り届ける為に、様々なルートを使いトライを重ねるのである。
又、彼は長安に戻り楊国中(アンディ・ラウ)から絶対権威の印章である金印を授かるが、彼の成功を阻止しようとする官僚トップの妨害に遭うのである。
◆感想<Caution!内容に触れています。>
・ストーリー展開が、やや強引な所はあるが面白い作品である。下級算術官吏である李が、家のローンを払うために、ミッション・イン・ポッシブルな任務である、生ライチを楊貴妃の為に長安に運ぶという設定が、実際に楊貴妃の好物がライチであった事も有り、成程なのである。
・劇中では、長安の官僚たちの”上を見て歩こう”的な姿や、”組織の壁”などがコミカルに描かれている所も、”何処の国も、同じだなあ。”などと思ってしまうし、それに対して李が算術を駆使して、策を練る姿なども良いのである。
・李と奴隷の林邑奴との関係性の描き方も、李の人間性に対し林邑奴が、命を懸けて彼のミッションを達成させようとする官僚が仕掛けた罠の、崖のシーンで表されるのである。
■李は、ペルシャ商人の蘇亮の助けも有り、ミッションを達成するのだが、楊国中に対し、【生ライチを運ぶだけで、どれだけ民に余計な散財をさせているか、ライチを親の代から作って来た阿僮(ジュアン・ダーフェイ)達に迷惑をかけたか!】と、涙を流して抗議するシーンは沁みるのである。
・楊国中に対し抗議した李が妻子と共に嶺南に流されるも、平和に暮らす姿や、その地で聞いた安禄山の蜂起により、唐が倒された事を知るシーンなどは、シニカルであるし、民を思わない王朝の儚さも描いているのである。
・そして、唐の崩壊を聞き涙する李に対し、彼を信じ支えて来た妻(ヤン・ミー)はライチで作ったライチ酒を優し気な表情で注ぐのである。
<今作は、唐の時代に遠き嶺南から首都長安まで楊貴妃の為に生ライチを搬送するミッション・イン・ポッシブル映画であり、現代まで面々と繋がる官僚政治への怒りや貧しき民を想うムネアツ映画なのである。>
全24件中、1~20件目を表示
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