ただいまって言える場所のレビュー・感想・評価
全2件を表示
心に積もる痛みと、そっと並ぶ優しさ
外の世界から距離を取ることで自分を守ろうとし、
気づいたときには、そこから出られなくなってしまう。
本作は、多くの人が国語の授業で触れる井伏鱒二の『山椒魚』を、現代にそっと置き直したような、静かな物語だと感じた。
人の痛みは、その人にしかわからない。
当たり前で、それでいて見落とされがちな事実を、
この映画は押しつけることなく静かに肯定している。
教師であるえりこと、少女の千花。
観る人の性格や価値観によっては、理解しづらい感情や言動もあるかもしれない。
そして作中の彼女たち自身もまた、立ち止まり、自分でもうまく言葉にできない感情を抱えているように見える。
「ただいま」「おかえり」という言葉は、トラブルや不満を解消する魔法ではない。
けれど、いつでも戻ってきてもいいと思える居場所があるだけで、人は少しだけ息ができる。
そんなお守りのような力を持った言葉だと、改めて思わされた。
派手な映画ではない。
それでも、えりこの母の静かな優しさや、
えりこ自身の不器用な思いやり、
千花の両親の必死な愛情や、千花の小さな勇気が、
観終わったあとも余韻として残り続ける。
静かだが、確かな感触を持った作品だった。
全2件を表示
映画チケットがいつでも1,500円!
詳細は遷移先をご確認ください。
