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いつの間にか終息したことになっているコロナ禍、当時の医療体制や自粛政策を検証する時期でもあるだろう。この映画は主にワクチンの副反応問題から、世界保健機関(WHO)が抱える闇、コロナ自体が製薬会社のための自作自演というところまで話を広げる。
確かに前半は副反応で重病に陥った国会議員や、YouTubeでワクチンへの警鐘を鳴らした医師が登場して興味深い。
この医師いわく、エビデンスがないことを理由にワクチンの危険を見逃すのは、「東京タワーから飛び降りたら死ぬというエビデンスがない」のと同じことだ、と。つまり医学は常識に対して開かれているべきだ。言いかえれば、「薬があれば副反応もある」し、物事の両面を見よということだろう。
このようなサイエンスドキュメンタリー的な手法で一貫させればよい問題提起になっただろう。しかし映画の後半は「○○は本当はこういう意図を持っている」という確かめようもない話、まさに陰謀論に染まっていく。
べつにオバマやビル・ゲイツがおかしいと思うならそれでいいんですよ。ではその立場から医療データをどう分析し、提示するのか。それをしないで、他人の下心を指摘したって仕方ないでしょう(善意から始まる暴政だってあるんだし)。
映画の語り口に注目すると、最初はニュース映像や国会の審議を素材としておきながら、途中からは「これを陰謀論と言うのは言い過ぎだろうか」などの主観的ナレーションで煽る。まさに正体を隠したまま徐々にオーディエンスを誘導する手法と言ったら「言い過ぎだろうか?」。
公開された資料をもとに、神のような視点で矛盾を突くのでもいいし、最初から「私」を主語に語るのでもいい。しかしこの映画はいったい誰の立場から描いているのか。あなたこそ一体誰よ、と言いたい。