劇場公開日 2025年10月3日

ワン・バトル・アフター・アナザーのレビュー・感想・評価

全722件中、1~20件目を表示

4.5全てのバランスが完璧!これぞハリウッド!

2025年10月7日
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鑑賞方法:映画館

楽しい

興奮

ドキドキ

こんなにいろんな要素取り込んでるのに、物語がとっちらからないのが本当にすごい。

男女の愛憎劇や親子愛のヒューマンドラマ
ハラハラドキドキのクライムアクション
思わず声を出して笑ってしまうコメディ
現代の世相を表しているソーシャルスリラー

ここまで様々な種類のジャンルが詰め込まれていたら、それぞれの要素が中途半端だったり、広く浅くすぎて物足りなかったりしそうなものだけど、どこをとっても満足で、見終わった後の満足感や充足感がすごかった。

今作では、キラキラなレオ様は全くおらず、本当にあなたは以前愛する人を救うためにタイタニック号と共に沈んだ方ですか?と思うぐらい、今回のディカプリオは最初から最後まで頼りなくてカッコ悪い。
でもどこか憎めず応援したくなるのは、ものすごく人間らしくて、親近感をもてるから。
パスワードのところは最高だったなー!声を出して笑った。

そしてこれまた同じくらい印象的だったのは、清々しいほど最初から最後まで変態なショーンペン。変態すぎて笑ってしまう。お見事すぎました。

作品の軸には、暴力や報復劇の裏に、白人至上主義・人種差別・社会分断 という重めのテーマがあるけれども、ユニークなキャラクターやストーリーのおかげで、そこまで重くならず162分があっという間だった。

そしてストーリーだけではなく、カメラワークや劇伴の使い方、音響の演出がとても好みだった。
時間の都合でIMAXで見れなかったが、これはIMAXで見たかったなー!

ハリウッド映画の質の高さをこれでもかと見せつけられた作品だった、オススメ!!

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AZU

4.5意味なんてどうでもいい。なんだか面白い162分🎬

2025年10月6日
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鑑賞方法:映画館

興奮

驚く

斬新

『ギルバート・グレイプ』にはじまり、世界中にその名を轟かせた『タイタニック』──
恥ずかしながら、私の記憶はそこで止まっている…😅
そして久しぶりにスクリーンで観たレオ様は、確かに歳を重ねていた。若い頃のプリンス・レオ様のイメージしかなかった私なので、あまりにもしがなく、ダメで人間くさいボブ(ディカプリオ演じる本作の主人公)の姿に、いい意味で驚かされた。

他のクセ強俳優たちの快演もとにかく凄まじい。
とくに無慈悲な軍人ロックジョーを演じたショーン・ペンからは、ひと時も目が離せない。怖い😱を通り越してキモい。日本で万が一リメイクするとしたら、この役をやれるのは鈴木亮平さんくらいしか思い浮かばない🤫彼の異常なまでの圧迫感が、この作品に強烈な緊迫感を与えている。

そしてもうひとり、娘の通う空手道場のセンセイ役を演じたベニチオ・デル・トロ。不思議な役どころだが、ピンチにふっと現れて、飄々とカッコよく主人公ボブをアシストする。とにかく作品に良いスパイスを与えているのだ。

怒涛のカーチェイスというより、どこか一風変わったカーチェイスも本作の見どころ。
「凄い」というより「上手い」と唸りたくなるシーンなので要必見です。美しい映像や迫力あるアクションも素晴らしいですが、ピアノやドラムなど打楽器を駆使した“音”にも注目👀不協和音で不快な感情を巧みに表現し、映像とともに感情を盛り上げています。

元革命家でありながら、どこかしがないダメ親父のボブ(レオナルド・ディカプリオ)。とにかく口が悪く、薬に逃げては暴言を吐きまくる。だからこそ愛おしく、時に可笑しく切ない。

最愛の娘のために、そして“本当の自由”のために恐れず奔走する父親ボブの姿に、最後は思わず胸が熱くなる。
「蛙の子は蛙」。勇敢な母の血を受け継ぐ娘もまた然り。
「生みの親より育ての親」。DNAや真実なんて、もはや意味を持たない。
一緒に過ごした時間こそが、愛なのだと気づかせてくれる。

白人至上主義などの風刺もあった…のかしら?
詳しくはよくわかりません😅
でも、意味とか難しいことを考えずに、まずは作品に身を委ねてみてください。
とにかく飽きないし、面白いのだけは確かです!!

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ななやお

3.5「権威」が「スターウォーズ」撮りました(by プリ夫)

2025年10月5日
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鑑賞方法:映画館

ポール・トーマス・アンダーソン

一般的に崇められて評価されるのは、「マグノリア」、「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」、「ザ・マスター」あたりだが、その後の作品(「ファントム・スレッド」は若干毛色が違うが)について。

「インヒアレント・バイス」では、1960年代のヒッピーやカウンターカルチャー世代の理想が終わり、「カネ」と「権力」への時代の到来が背景にあり、「夢を見た世代」が覚めていく時代を描いた。ヒッピー探偵はドラッグと陰謀の中で「何が現実か」分からなくなっていく。

そのあとの「リコリス・ピザ」は、その「夢の残骸」を生きる若者たち。「失われていく時代」への郷愁を描いた。

この時期から、PTA作品は大学の映画学カリキュラムや映画史の論文でも頻繁に取り上げられるようになり、「権威的」作家として定着。

当人は撮りたいものを撮っただけのように見えるが、共通するのは、父性、男性性、カネ、権力、SEX、(あと下品!ね)を作品に盛り込み、評論家や映画オタクの面々を喜ばせるのだから、すごいことだ。

そんな彼の、プリ夫主演、大予算を獲得しての

「ワン・バトル・アフター・アナザー」




プリ夫はインタビュで、サングラスを盗むシーンを振り返って、こう言っている。

「ボバ・フェットみたいな、顔をぐるりと覆う光学ゴーグルのイメージがずっと頭にあった。この映画には、どこか奇妙な“スター・ウォーズ的テーマ”がある。この映画は本質的には“娘を取り戻そうとする父親”を描いたアクション映画なんだけど、その裏には非常に緻密で複雑なレイヤーが重ねられている。ここには賞金稼ぎがいて、レイアのような存在がいて、ヨーダもダース・ベイダーもいる。ただし全部、“現実の世界”の中に存在しているんだ。」

PTAは時代を批評しない。

全くその通りだと思う。(帝国も反乱軍、そしてシスとジェダイも「極端」な思想のもとに構築されているのが「スターウォーズ」。)

ここにあるのは、その時代に生きた人物の「父性」、「男性性」が極端な形で描かれ、「下品な物言い」、「SEX」といったPTAならではの要素で作ったアクション映画。

多くの人が指摘するように、本作はPTAより少し上の世代の監督作へのオマージュがちりばめられている。スコセッシの「グッドフェローズ」、スピルバーグの「続・激突 カージャック」、そしてミラーの「マッドマックス」などが分かりやすいが、ベースはなるほど、ルーカスの「スターウォーズ」かもしれない。(そりゃ、スピルバーグもスコセッシもコッポラも絶賛するわな)

もう少し深読みすると、「インヒアレント・バイス」から、「リコリス・ピザ」で若者が時代に翻弄されて生きた姿を描いていることからも、本作はその系譜にある。

思い切って言うと、「青春映画」としての着地なんだよね。PTAの作品には珍しく、甘い結末は、「大予算の娯楽作」ゆえ。

「トランプ政権だとか、なんとか」の声が大きいのは、娘側の視点が少し弱いからか。(プリ夫とデル・トロ、ペンにどうしてもフィーチャーせざるをえない)

ただし、扱いが非常に難しいのは、母親。冒頭からそんなに活躍しているるようには見えない爆弾プロのプリ夫(結局、全編通して、活躍していないプリ夫)が活動を止めて、落ちぶれて、のほうで「バランス」をとっているのだろうが、「娯楽作」の体なので、このキャラクター造形は危険。

あとは、プリ夫の演技が過剰で、PTAのデイ・ルイス、フェニックスと比べてしまうと、ね。言っても仕方ないことだけど。プリ夫の「フラワー・・」の演技は超笑えたんだけどね。

なんだけど!なんだけど!

そんなことをぶっ飛ばす、クライマックスの、互いに事情を知らない3人、3台のカーチェイスは映画史に残る名シーン。ここだけでも映画館見る価値十分。本当にすごい。

追記

本作において、やたら比較されているのだが、少し私見だが、タランティーノとPTAは時代との「寝方」が違う、といったところか。

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しんざん

3.5タイムリーでドメスティックな社会風刺色強めのPTA風活劇

2025年10月4日
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ニコ

4.5たえず展開し、奇想天外に加速していく傑作

2025年10月23日
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まるで161分間、ビスタビジョンが映し出す壮大な夢を見ているかのようだ。闘いは次から次へと展開し、その肝心の目的は主人公の人生過程において刻々と変移を遂げているかに見える。これは登場人物の誰もが「己を定義づけるものは何か?」という命題の下、もがき続ける物語。革命に燃えるパーフィディアは忽然と姿を消し、脳と体が酩酊しっぱなしのボブは自らを証明する合言葉が思い出せない。秘密結社に属したいロックジョーは審査段階で苦悩にさらされる。後半はウィラが鍵を握るが、彼女も己のアイデンティティに関わる混沌に呑まれ、夢の波間を漂うかのような前代未聞のカーアクションに身をさらす・・・。だが、根源的な主軸はやはりボブだ。世界を変える力のない彼が、娘だけは何が何でも守り抜こうと、自己認証や組織の力を越え、ひとつの個として父の愛を示す物語。激動の米社会を背景に、PTAならではの「家族をめぐる闘争」を描いた傑作である。

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牛津厚信

5.0“駄目プリオ”の哀愁が最高。PTA映画では「マグノリア」「インヒアレント・ヴァイス」との接点も

2025年10月7日
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笑える

楽しい

興奮

酒とドラッグ浸りでよれよれになった中年親父のレオナルド・ディカプリオが、こんなにも哀れでみじめでダサいのにたまらなくチャーミングだなんて、最高に嬉しい驚きだ。

鬼才ポール・トーマス・アンダーソン(以下PTA)がスター俳優からかっこ悪いキャラクターの演技を引き出す手腕という点で、群像映画「マグノリア」に起用したトム・クルーズが思い出される。同作でクルーズが演じるマッキーは、男性受講者らに意中の女性をモノにする方法を伝授する自信満々のカリスマ講師に見えるが、幼い頃父親に捨てられたコンプレックスを虚勢で隠しており、久しぶりに再会した危篤の父に感情を爆発させる。あのキャラクターも、クルーズ自身のカリスマ性を観客が納得しているからこそ、さらけ出した弱さ、歪んだ感情に驚きながらも人間味を感じて心を寄せることができた。

「ワン・バトル・アフター・アナザー」には、ディカプリオ演じるボブがトム・クルーズばりのスタントに挑むシーンが2回ある(2回目などは、ベニチオ・デル・トロ演じるセンセイとの会話にも「トム・クルーズ」の名が出る)。だが2回とも、クルーズが演じるヒーローのような華麗さや軽快さとは程遠く、中年太りに相応の鈍重さで落ちる、転がる。爆笑を誘うそんな場面にも、哀愁が漂っていてちょっと切なくなる。

トマス・ピンチョンの小説が原作ないし原案であることから、2014年製作の「インヒアレント・ヴァイス」ともいくつか類似点が認められる。ホアキン・フェニックスが演じるヒッピーの私立探偵ドックも、酒とマリファナの常用でぼんやりしていて、ダメ中年の一歩手前だ。元恋人から依頼を受け「seek & find」(謎を追い、答えを見つける)の定型で物語が始まるが、ドックが殺人の濡れ衣を着せられて「run & chase」(逃げる、追う)の要素も加わる。

一方の「ワン・バトル~」では中盤からボブとその娘ウィラが離ればなれになり、軍人ロックジョーと彼が指揮する部隊を追手とする二筋のrun & chaseが並行して進む。だがその後、ウィラを追うロックジョーをボブが追い、さらにロックジョーを追う秘密結社の男も加わり、複雑にからむrun & chaseがクライマックスへとなだれ込む。

ハリウッドスターが片言の日本語を口にするユーモラスな場面も、「インヒアレント・ヴァイス」との共通点。同作では、ドックを日本料理屋に連れて行った刑事ビックフット役のジョシュ・ブローリンが「もっと、パンケイク!」(パンケーキおかわり)と叫ぶ。「ワン・バトル~」ではベニチオ・デル・トロが空手道場の師範役で、ディカプリオが「センセイ」を連呼する。主人公を支える重要人物を日本通として描くのは、PTAが日本文化へのリスペクトをさりげなく表しているようで、これもわたしたち日本の観客にとって嬉しいポイントだ。

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高森郁哉

5.0これまでのポール・トーマス・アンダーソン監督作品の中で、最も万人向け。人物描写や音楽の使い方などが秀逸で、名作の域に達しているエンタメ作品!

2025年10月3日
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これまでのポール・トーマス・アンダーソン監督作品はツウ向けが多い印象でしたが、本作では最も製作費をかけてアクションシーンを増やすなどエンターテインメントを追求した楽しい作品になっています。
本作のメインは子供が成長した「16年後」ではありますが、前半の展開が「16年後」において重要な意味を持ってきます。
そこで前半も時間を確保してしっかり描く必要性があるのです。
上映時間が162分ではありますが、前半は前半で面白いですし、「前半」との対比のもと「16年後」の父親役のレオナルド・ディカプリオの姿や、娘との関係性などが人物造形において深みを与え、長さを感じさせません。
メインの登場人物が奇抜な役柄になっていますが、レオナルド・ディカプリオ、ショーン・ペン、ベニチオ・デル・トロというアカデミー賞受賞経験のある個性派俳優3人の“競演”も見どころの1つです。
これまでポール・トーマス・アンダーソン監督が培ってきた人物描写手法や音楽の活用法などを駆使し、アカデミー賞でのノミネートも多数期待できる、演技も展開も楽しめる名作です。

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細野真宏

4.5山場に次ぐ山場

2026年1月22日
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怖い

興奮

ドキドキ

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流離いのオオハシ

3.0うーん

2026年1月17日
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つまらなくはないんだけど、何だかなー

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髭と筋肉とハゲ

4.5【90.1】ワン・バトル・アフター・アナザー 映画レビュー

2026年1月14日
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ポール・トーマス・アンダーソン監督による2025年の野心的傑作「ワン・バトル・アフター・アナザー」は、トマス・ピンチョンの小説「ヴァインランド」を現代的かつ先鋭的な視点で再構築した、映画史に刻まれるべき記念碑的なクライム・アクション・コメディである。かつて「マグノリア」や「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」で見せた、アメリカという国家の深淵に潜む狂気と救済を、本作では全編を貫くパルプ・フィクション的な疾走感と、ビスタビジョンカメラが捉える圧倒的な映像美、そして痛烈な社会批判を交えて描き出している。現代アメリカにおける排外主義や国家権力の歪みを背景に置きながら、一個人の親子の情愛と革命家としての再燃をここまで泥臭く、かつ神話的に昇華させた演出力には脱帽するほかない。
作品の完成度という観点において、本作はアンダーソン監督のキャリアにおける一つの到達点と言える。一見すると誘拐された娘を救出するという定型的なアクション映画の体裁を取っているが、その実、内部には複雑な政治的メタファーと、忘却されゆくカウンターカルチャーへのレクイエムが幾重にも層を成している。かつての革命グループ「フレンチ75」の残影を追いながら、過去の罪と現在が交錯する構成は極めて緻密であり、162分という長尺を感じさせない。1億1500万ドルを超える巨額の予算が投じられながらも、大衆迎合的なエンターテインメントに堕することなく、作家性を極限まで突き詰めた本作の存在は、近年のハリウッド映画界において稀有な奇跡である。映画全史を俯瞰しても、これほど巨大な資本を投じながら、一個人の強固な作家性を細部にまで浸透させた作品は、フランシス・フォード・コッポラの全盛期を彷彿とさせる。物語の深層には、失われた家族の再構築という普遍的なテーマが流れており、それが社会的な混沌と共鳴することで、観客に深いカタルシスをもたらすことに成功している。
監督・演出・編集に関しては、ポール・トーマス・アンダーソンの職人技が光る。35ミリフィルム特有の粒子感と、計算し尽くされたカメラワークは、荒廃したテキサスの砂漠やロサンゼルスの裏通りに独特の緊張感を与えている。特に終盤のカーチェイスシーンで見せる、物理法則を無視したかのようなダイナミズムと、一転して静寂を強調する緩急自在な編集は、観客の生理的感覚を揺さぶる。
レオナルド・ディカプリオ(パット・カルフーン役、通称「ボブ」)は、かつての革命家としての面影を失い、生活に疲れ果てた男の悲哀と滑稽さを見事に体現している。彼がこれまでのキャリアで築き上げた二枚目俳優としての虚飾を完全に捨て去り、バスローブ姿で右往左往する情けない父親像を演じきった点は驚異的である。しかし、娘を奪われた瞬間に瞳に宿る、かつての革命家としての鋭利な光は、彼という俳優の底知れぬ演技の幅を証明している。恐怖に怯えながらも、不器用な戦いに身を投じていく姿は、滑稽でありながらも、観る者の魂を震わせるリアリティを伴っている。アクションの激しさの中で見せる、ふとした瞬間の虚無的な表情は、かつてのアンダーソン作品の主人公たちが抱えていた孤独を継承しており、彼の演技は本作を単なるアクション映画から、深遠な人間ドラマへと押し上げる原動力となっている。ディカプリオの持つスター性と、役柄の持つ惨めさが衝突することで生まれる火花こそが、本作の推進力であることは疑いようがない。
チェイス・インフィニティ(デアンドラ役、通称「デリー」)は、本作の感情的な核として、また次世代の映画界を担う存在として鮮烈な印象を残した。彼女は物語の推進力となる救われるべき存在でありながら、同時に父ボブ以上に強い意志を持つ現代的な少女を等身大の瑞々しさで演じている。彼女の瞳に宿る静かな反抗心は、ポール・トーマス・アンダーソンが描こうとした希望の灯火そのものであり、ディカプリオとの親子愛を物語の最優先事項へと昇華させた功績は極めて大きい。彼女の存在が、物語の殺伐とした空気に唯一無二の光を注いでいる。
ティファニー・ハディッシュ(タナ・カルフーン役)は、ボブの元妻であり物語の起点となる重要な役どころを、驚くべき繊細さで演じている。コメディ的な要素を一切排除し、過去の選択に苦悩する一人の女性のリアリティを追求した彼女の演技は、本作における情動的な芯を形成している。彼女が画面に漂わせる生活感と、拭いきれない後悔の念は、超現実的な展開が続く本作において、観客の共感を繋ぎ止める貴重なアンカーとして機能している。その抑制された演技スタイルは、彼女のキャリアにおける大きな転換点と言えるだろう。
ショーン・ペン(スティーヴン・ロックジョー役)は、狂気的な執着を見せる軍人という、物語の拮抗点として申し分ない存在感を放つ。権力の象徴でありながら、どこか拭い去れない空虚さを抱えたこの悪役を、単なるステレオタイプに留めず、現代社会の歪みが具現化したかのような不気味さで演じきった。彼の放つ圧倒的な威圧感が、物語の緊張感を最終盤まで維持し続けた事実は重い。彼という劇薬の投入が、映画に予測不能なサスペンスを付与し、観客を常に不安定な状態へと置くことに成功している。
クレジットの最後を飾るベニチオ・デル・トロ(セルジオ先生、通称「センセイ」役)は、物語の転換点となる謎めいた空手道場の主を演じ、作品に奇妙な重厚感とユーモアをもたらしている。彼は登場するだけで画面を支配する特異な磁場を持っており、ボブの導き手としての役割を、独自の抑制された演技で見事に果たした。その佇まいは、非現実的な設定を映画の説得力へと変える力を持っており、彼が発する一言一言が、混沌とした物語における道標として機能している。ベテランとしての深みを感じさせるその演技は、作品に哲学的な奥行きを与えている。
脚本・ストーリーの面では、トマス・ピンチョンの難解な世界観を、アクション・スリラーという枠組みに落とし込みつつ、その本質的な毒を薄めない構成が素晴らしい。映像・美術・衣装においても、リアリズムと寓話性が同居する独創的なビジュアルが構築されており、特にフレンチ75のメンバーたちの衣装に見られる、古き良き革命の残り香を感じさせるディテールは、本作のテーマを視覚的に補強している。
音楽を担当したジョニー・グリーンウッドは、本作で監督と6度目のタッグを組み、不協和音とリリシズムが交錯する、神経を逆なでするようなスコアを提供した。主題歌として機能する One Battle After Another は、ロンドン・コンテンポラリー・オーケストラによる壮大な演奏が、映画の持つカオスを一つの叙事詩へとまとめ上げている。この旋律は、映画が終わった後も、観客の意識下で不穏に響き続け、映画が描いた終わりのない戦いの余韻を増幅させる。
受賞歴に関しては、第82回ヴェネツィア国際映画祭で金獅子賞を受賞したほか、第83回ゴールデングローブ賞において作品賞(ミュージカル・コメディ部門)、監督賞、脚本賞を受賞。主要な映画批評家協会賞を総なめにするなど、批評界からは圧倒的な支持を得ている。第98回アカデミー賞においても、作品賞、監督賞、主演男優賞を含む主要11部門でのノミネートを果たしており、2020年代の映画史を語る上で避けては通れない最重要作となった。
この映画は、戦い(バトル)が次から次へと(アフター・アナザー)続く現代社会において、いかにして尊厳を保ち、愛する者を守り抜くかという問いを、最も過激で最も純粋な形で提示している。それは、映画という表現媒体が持つ根源的な興奮を再発見させてくれる、至高の鑑賞体験であった。映画史の潮流が大きく変化する中で、本作のような真の意味で重い映画が誕生したことを、我々は幸運に思うべきである。
作品[One Battle After Another]
主演
評価対象: レオナルド・ディカプリオ
適用評価点: A9
(27点)
助演
評価対象: チェイス・インフィニティ、ティファニー・ハディッシュ、ショーン・ペン、ベニチオ・デル・トロ
適用評価点: A9
(理由:ショーン・ペンの威圧感と、チェイス・インフィニティの圧倒的な清新さが平均点を引き上げる。9点 × 1 = 9点)
脚本・ストーリー
評価対象: ポール・トーマス・アンダーソン
適用評価点: A9
(理由:解体不可能と思われた原作を、現代の「家族の喪失と再生」へと見事に翻案した。9点 × 7 = 63点)
撮影・映像
評価対象: ロバート・エルスウィット
適用評価点: A9
(9点)
美術・衣装
評価対象: ジャック・フィスク、マーク・ブリッジス
適用評価点: B8
(8点)
音楽
評価対象: ジョニー・グリーンウッド
適用評価点: A9
(9点)
編集(加点減点)
評価対象: アンディ・ジャッキー
適用評価点: +1
監督(最終評価)
評価対象: ポール・トーマス・アンダーソン
総合スコア:[90.1]

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honey

5.0長い!😙

2026年1月13日
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けどずっと面白かった
ディカプリオは愛嬌があるのでずっと観てられる
ショーンペンはバッドボーイズの時から好き
キモ怖い役がハマってる
デルトロはどんな役やってもカッコいい
でもなぜかデルトロを見るとバカボンパパを思い出しちゃう
娘ちゃん可愛かった〜😙
これからが楽しみ
最後の最後まで合言葉にこだわるの笑える
細かい事はどうでもいい親子の愛
活動家のママの血は娘ちゃんに受け継がれるのであった

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とし

3.5落ち着くんだボブ!

2026年1月12日
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興奮

評価がわかれるであろう映画ですね。スタートは何か哲学的なヒューマンドラマなのかなー?みたいな感じで、観たの失敗したかな?と思ったけど、最後は上手い事綺麗に収まって、観て良かったと素直に思った。あらすじをチラ見した感じ、イカれたショーンペンが娘を拐ってディカプリオがボロボロになりながら追いかける、みたいな映画だと思ってて正直若干ガッカリしたけどね笑

それにしても、ディカプリオとデルトロ何か妙にしっくり来るなー。良い組み合わせだと思います。あと、観た人全員が思ったであろうちょっとした疑問がある。それは、ディカプリオの資金源(生活費)何処から出てんの?って思った。あれだけイカれてるんだから仕事してる訳じゃあるまいし笑

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dj xyz

3.0家族

2026年1月12日
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シリアスとコメディとファミリーと、ジェットコースターのように展開していく様が良い。テンポのいい映画

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とら

3.0トランプ政権下でのメキシコ国境封鎖や不法移民問題を想起させるテーマ...

2026年1月11日
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鑑賞方法:VOD

トランプ政権下でのメキシコ国境封鎖や不法移民問題を想起させるテーマが物語の背景にあり、単なるアクションではなく、現実社会と重ねて観られる点が興味深い。

敵味方の構図が単純ではなく、「誰が正義で、誰が悪なのか」という問いを観る側に投げかけてくる。
銃撃戦や追走劇のスリルの中に、分断・排除・恐怖といった現代アメリカの空気がにじみ出ており、エンタメとして楽しみつつも考えさせられる作品だった。

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ホンマサ

3.5レオ様のダメオジっぷりがなんかいい

2026年1月9日
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鑑賞方法:VOD

元反乱組織の男が命を狙われる話。

何か衝撃的な展開があるわけでもなく、
アクションがすごいわけでもなく、
逃走劇と救出劇というベタな設定だったけど、
見入ってしまって長い時間もあっというまでした。

コミカルでクレイジーな登場人物のおかげでしょう。
レオ様のダメオジっぷりもやけに親近感があり、
とてもよかったです。
レオ様の作品はやはりハズレなし。

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マスノブ

5.0面白い

2026年1月9日
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鑑賞方法:DVD/BD

笑える

興奮

斬新

ワンス アポン ア タイム ハリウッド
バビロン
スカーフェイス
のテンポと似てる。
全部別物だけど楽しさとか夢中にさせてくれるテンポとかが同じ類な感じ。

映画館でみれば良かったと後悔。
ただ、面白すぎて吹いたシーンは、何回も巻き戻しして見たので映画館では出来ない楽しさもあった。高尚なバカ殿でも見てるようなくらい面白かった。

レオ様の映画は全て一本残らず見てるわけだけど
毎回思うのは本当に演技が上手い。
ダメっぷりがちゃんと演じれてる。
主役としての十分な存在感は、レオ様レベルになると(トムとかブラッドとかその他多数)当然のことなんだけど、この安定の存在感は、改めてすごい。だって脇役もこの映画は最高だから、飲み込まれない主役が必要でさすがのレオ様は、安定感がはんぱない。
ありがとう。こんなに面白い映画を、見させてくれて。

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えり

3.5やっぱレオ様はいつでも最高!

2026年1月9日
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こういうはちゃめちゃキャラがいいんだよね。
タランティーノほどじゃないけど、良いにおいの映画でした。

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akir crazy!

3.5ショーン・ペン👍

2026年1月7日
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鑑賞方法:映画館

ディカプリオとショーン・ペン。
知的障害者役をどちらもやっているけど、演じた時の年齢的なこともあり、アイ・アム・サムのショーン・ペンは好きじゃありません。
50歳のディカプリオと65歳のショーン・ペン。
味がしみ出ていたのは圧倒的にショーン・ペン。このところ、初老のちょいワルオヤジ役絶好調です。拗らせ具合が愛おしい。
ラストは原付バイクでガードレールに自爆した世界の北野を彷彿とさせられる名演技。

DNA鑑定の結果は一致?
イマイチわからなかったけど、
どっちでもいいや。

ベネズエラの件で、この映画よりもはるかにキナ臭くなって来た現実世界。第三次世界大戦が起きませんように🙏

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カールⅢ世

4.0カーチェイス

2025年12月31日
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鑑賞方法:その他

公開初日初回に観に行ったんだけど、前日の夜更かしが原因です途中で寝落ちしちゃったんですよね…15分くらいかな。ストーリーは追えたしめちゃくちゃ面白かっんですけど、全てをしっかり観たいな〜って思って年末に再度観賞。やっぱりめちゃくちゃ面白かった!

序盤のあらすじ。パット(レオナルド・ディカプリオ)が革命家として「フレンチ75」に参加し、ぺルフィディアと恋に落ち娘ウィラが誕生。幸せを手に入れたのも束の間、ペルフィディアが革命のために逮捕されてしまう。16年後、革命に敗れたパットは酒とドラッグに溺れながら、娘ウィラと二人でボブという偽名で暮らしています。ある日ヴィラが因縁のある変態軍人ロックジョー(ショーン・ペン)の異常な執着心のターゲットとなってしまい、娘を守るためにボブが重たい体を起こして動き出す。

16年後のボブは酒とドラッグのせいで冴えないオッサンになっていて、でも娘を守ろうとする気持ちだけは革命家の頃のまま。娘ウィラは確実に革命家の母親の血を100%受け継いでいるのがわかるくらい堂々としていて、父親のことは愛してるけどちょっとウザいと思っている思春期女子って感じ。この親子のバランスもとても良いんだよな。

この映画は振り回されるボブが中心に話は展開していくんだけど、とにかく登場人物のキャラが濃くて、その中でもロックジョーのヤバい変態軍人振りが気持ち悪くて最高。更にボブを助けてくれるセンセイ(ベニチオ・デル・トロ)がめちゃくちゃ良くて、ほんとよくわからないけど頼りになるし着いていきたくなるんだよ。いちいちかっこいいセンセイは物語のアクセントになってるな〜って。ボブとセンセイの絡みはほんとに観ていて面白くて、パスワードがわからないしくだりとか充電できない携帯とか、この辺りずーっと観てても飽きないよ。センセイ大好き。

あと、やっぱりクライマックスの一本道のカーチェイスね!接触したり抜きつ抜かれつって事ではなく、高低差のあるウネウネした道でバックミラーに映る追撃車にハラハラドキドキするっていう、シンプルなんだけど最近ではあまり見なかった描写に撃ち抜かれてしまった。これは確実に語り継がれる名シーンになってる。決着のつけ方まで全てが最高だもんね!

実はPTAはそこまで好きでもなかったんだけど、これは最高のエンタメだな〜って大好きになっちゃった。2時間42分があっという間。絶賛されるのも納得すぎる作品でした。

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ゆみな

3.0音楽は最高、作品は、、。

2025年12月31日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

さすがに作品賞はないんじゃないかな。テーマがまさに今のアメリカ社会を切り取ったみたいな感じで面白かったけど、とくになにか余韻が残るような感じもなかったかな。
欲を言えば、ディカプリオ対ショーンペンの直接対決がみたかったです。まー、監督もあえてそれは狙っていたと思いますが。娘役の演技は良かったし、音楽のセンスはさすがPTA。最高でした。

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ねじまき鳥
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