劇場公開日 2025年5月30日

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秋が来るときのレビュー・感想・評価

全93件中、1~20件目を表示

5.0噛めば噛むほど味わい深い。山菜料理のような 渋いシネマ

2026年1月19日
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鑑賞方法:VOD

秋の野山が美しい。
ブルゴーニュだ。

「秋」を迎えた女たちの暮らしぶりを、フランソワ・オゾンがひとつひとつ しゃがんで、それを丁寧に、優しく拾い集める。
キノコ狩りのしっとりした森の光景と、女たちの人生の秋を、
小径をたどりながら ちょっと寂しく救いあげる。そういう映画だった。

・・

キノコの映画は、そんなに数が多くはないから、僕の記憶の中でもほんの数作しか思い当たらない。
・「素晴らしき、キノコの話」は科学ドキュメンタリーだった。
・「ファントム・スレッド」ではキノコのソテが劇中で重要な役割を果たした。
その他の映画はどれもこれもB級ホラー映画だ。

フランソワ・オゾンはそのキノコを鍵(キー にして新しい映画を撮った。名作だ。
キノコには、その存在には、「美味しさ」と同時に、「死の稜線とギリギリに接した」危ない一線がある。女たちの人生にもギリギリのルートと、ようやく渡り切ってきた厳しい道程があった。
オゾンはそこをよく魅せたと思う。

・・

「キノコ」には僕は独特の思い出があって。
以前在籍した会社で、キノコ狩りを趣味としている女性がいたのだ。
秋になるといそいそと彼女は裏山に入る。
そしてビニール袋にいっぱいの雑キノコを持ち帰って、会社の皆に配るのだ。

小柄で、市松人形のような風貌。パッツンと切った髪は山口小夜子のようなシェイプ。
「食べてね」と親切にたくさんお土産にくれるから「ありがとう」「とても美味しかったよ」と心からのお礼は言うけれど、家に持ち帰っても僕ひとりで食して、家族には食べさせなかった。僕がぜんぶ食べた。
土汚れや枯れ葉も混ざるビニール袋に、赤やらムラサキ色やらの毒々しい物も、茶色いキノコたちに混ざって見えている。どれが無毒で、どれが有毒なのか?僕には知識が無いからさっぱり分からないし。一か八かの南無三だったのだ。
いつも「テレホン人生相談」をうつむいて聴いている女の人だった。
「キノコ」と聞くと必ず思い出すのが40年まえの、薄幸なその彼女なのだ。
サスペンスな思い出だ。

・・

クマが危なくて山に入るのはやめたほうが良い昨今だが、
でも「こんな親不孝な娘なら毒キノコにヤラレてくれたほうがどうせいい気味だろう」的な、愛の無い娘が、スマホをいじりながら母親ミシェルを毒づく。

でもあの子供たちもそう単純な子供時代を過ごしていた訳ではなかったのだ。オゾンの脚本の奥の深さが徐々に見えてくる。

「2人の母親」と「その娘と息子」が物語の核。
“ 親ガチャ” を乗り越えようとするひとり=息子と、乗り越えられなかったもうひとりの=娘の、共に血を流しながら育ってきたその生き様がこんなにも僕の胸を突く。

見逃してくれたシンママの女性刑事もいい味を添えてくれた。

・・

ミシェルは一緒に苦労してきた無二の友達マリー =クロードに、臨終の枕元ではっきりと告げる ―
「ううん、違うわ。その時良かれと思っていた事が大切なのよ」と。

嗚呼、世の中にはこんなに素敵な言葉があったのだね、とこちらも絶句だ。なんという生への肯定。なんという言葉の薬効。
オゾンはまさに「これ」を伝えたかったのだ。
ひねりはあんまり感じなかった。むしろオゾンにしては直球だったのでは。

そしてヴァンサンの店では大音響でポップスが鳴る「今、今、愛し合いたい」と。

人を尊ぶ映画を作る人だ。
本当にいい映画だった。

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きりん

3.5悪は存在しないが、悪意は存在する

2026年1月11日
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田舎に住むかわいらしいおばあさんの元に孫と娘が遊びにやってくる。
ほのぼのとした話かと思いきや、自ら山で採取したキノコ料理に娘が体調を崩し、そこから物語は予期せぬ展開に。
中盤ある人物が亡くなり、その死の原因を巡るミステリーになっていくのだが、作中ではその解答は明示されない。
しかし、登場人物たちのちょっとした言動を見れば推測はできる。
良かれと思って行動したことが裏目に出る。でも、良かれと思うことが大事とミシェルは言う。この言葉が様々な謎を解くキーとなる。
「キノコ嫌い」と言っていた孫のルカが終盤同じ食卓シーンで「キノコは昔から好きだよ」と言うシーンでゾクっとした。
相変わらず毒っ気満載のオゾン作品を堪能。
省略を多用し、ポンポンとリズム良く話が進み104分という尺に収まっているのもすばらしい。
鑑賞後にあれは結局?とあれこれ考える時間を与えてくれているようだ。

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galarina

4.5タイトルなし

2026年1月6日
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鑑賞方法:VOD

老いの問題。娘にも問題がある。孫にここまで固執するのも不健康かも。母娘関係。まさか娼婦。でもそれだけが問題ではない。
オゾンの映画はあまり好きではない。曖昧。
刑事の表情。
母親が悪かったとしかやはり思えない。現実否認の感じ。オゾンの映画にいつもあるもの。

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Emiri

3.0墓場まで

2025年12月25日
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鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

悲しい

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sironabe

3.5映画館で見逃した #秋が来る時 2024年のフランス映画 田舎で1...

2025年12月2日
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鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

映画館で見逃した #秋が来る時
2024年のフランス映画
田舎で1人暮らす80歳のミシェルと親友のマリー
ほのぼのとしたキノコ探しで料理に混じりこんでしまった毒キノコ
裏にあるのは偶然か故意か
狂った歯車が淡々と時を刻む
最後まで偶然か故意かの答えをくれないので、そのまま2周してヒントを探したくなるミステリーだった

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TRINITY2025

4.0白黒つけない秋色のグラデーション

2025年12月1日
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ここ最近、結構なハイペースで新作を発表し続けているフランソワ・オゾン。『スイミング・プール』のリディヴィール・サニエをはじめ、久々にオゾン組の俳優が一同に集まった作品だそうな。オープンゲイのオゾン作品の中では、善良でいい人→♂️と決まっていて、悪さをするのはのは大体いつも♀️の方だ。ゆえにフェミニズムが席巻していた一昔前はいまいちの扱いだったが、ここにきて元気を取り戻しつつある気がする。

教会のミサに参加する初老の女ミシェル(エレーヌ・ヴァンサン)。耳を傾けるは黒人神父が語る“マグダラのマリア”のお説教だ。この冒頭シーンが、娘ヴァレリー(サニエ)との確執や、近所に住むマリー=クロード(ジョジアーヌ・バラスコ)との固い友情、その息子ヴァンサン(ピエール・ロタン)が臭い飯を食った原因のうまい伏線になっている。それは何かって?是非とも実際に映画を観てご確認いただきたい。

未必の故意かそれとも偶然か。離婚調停中の娘ヴァレリーは明らかにメンヘラ状態で、昔○○として働いていた母親である自分のことを憎んでいる。パリ郊外の村に住んでいるミシェルは、秋深いこの季節友人のマリー=クロードと森にキノコ狩りにいくのが年中行事になっていた。自分には懐いているルカを連れて金の無心のためにやってきたヴァレリーに、ミシェルはキノコ料理を振る舞うのだが…

PTA監督『ファントム・スレッド』でも同じような○○○○事件が起こっていたが、フランスの田舎界隈では結構な日常茶飯事らしい。“よくあること”なのだ。この辺り、ボケているのか確信犯なのか観客にはハッキリわからないようわざと曖昧にカメラを回しており、刑務所から出てきたばかりの友人の息子ヴァンサンへの資金提供とその後におきた事故死?との関係性も、あえてボカしているのである。

もしも故意であるならばとんでもない殺人教唆なのだが、死んだヴァレリーも真相がわからないまま幽霊となってミシェルの回りをうろつくしかないのである。明らかにミシェルとヴァンサンの共犯を疑っている女警部をなんとか煙に巻いてから数年後、秋深い森の中でパリの大学に通う彼女のいないルカ(オゾンと同じゲイか?)&相変わらず独身のヴァンサン(マザコン気味なゲイか?)と散歩中、ミシェルの前に三度現れた娘の幽霊。美しく紅葉した葉陰で安らかな眠りに就いたミシェルは、きっとヴァレリーに許されたのだろう。マグダラのマリアがイエスによって今までの“罪”を許されたように。

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かなり悪いオヤジ

4.5【”良かれと思う事が大切、と老婦人は優しく言った。”今作はミステリー風味を漂わせつつ、人生の終盤を生きる女性の姿をフランソワ・オゾン監督が積み重ねた人生経験を表敬する姿勢で描いた逸品である。】

2025年11月1日
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鑑賞方法:VOD

悲しい

知的

幸せ

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NOBU

5.0本当に脚本がうまい。

2025年11月1日
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manabu

4.0悪しきことも、良かれと思う。

2025年10月23日
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鑑賞方法:VOD
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琥珀糖

4.5秋が深まるとき

2025年9月23日
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悲しい

癒される

秋はもう来ている。
季節は秋真っ只中、静かに、しかし確実に晩秋に向かっている。主人公の人生の終盤を描く作品だということを強く印象づける。

孫から見た祖母というものは、無条件に優しく、自分の味方をしてくれて、ときどき人生にとって大事なことを教えてくれる。そんな存在というのが世界共通のイメージではないだろうか。孫目線でなくても、端から見ていてもそういう「お婆ちゃん像」があるように思う。
しかし、お婆ちゃんも人の子である。積み重ねた歳月の中で澱のように心の底に貯まったものが、ふとした瞬間に、かき乱され、浮き上がってくる。静かな佇まいの中で表現される感情の機微。ミシェルを演じたエレーヌ・ヴァンサンの深みのある演技力に魅了される。

物語は、静かに進んでいく中に、サスペンス的要素を織り込んでくる。正確に言うと、サスペンスっぽくも見えるし、そうでなくも見えるように作ってある。事件だった(犯罪だった)かもしれないし、事故だったかもしれない。意図していたかもしれないし、全く意図していなかったかもしれない。観客が、どう見るかで、この作品の印象も随分変わるように思う。キノコのように滋味深い、オゾン監督のマジック。

手作りの料理の食卓を囲むシーンが多かった。豪華ではないけれど、豊かさを感じた。
娘の幻影に導かれるように旅立ったミシェル。彼女が、この色づく森の中に溶け込み、同化していくようなイメージが最後に浮かんだ。

自分も人生の折り返し地点を過ぎ、老いや死というものを徐々に身近に感じ始めたからだろうか。怖さや、悲しみや、謎が解けないモヤモヤといったものは全く感じなかった。

ただ静かに、美しい秋の風景と1人の女性の生き様を見た。

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TS

4.0こういう映画の作り方もあるんだねぇ・・・

2025年8月19日
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悲しい

難しい

斬新

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センノカゼ

3.5監督の本意は?

2025年8月19日
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怖い

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hayato

3.5なんか

2025年8月17日
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悲しい

知的

人の一生を描く作品を立て続けに観た感じだ
面白かった

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むーらん

3.5罪の意識

2025年8月16日
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由由

3.580歳になっても逃れられない

2025年8月14日
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80歳になっても逃れられない業の深さよ。
でも、業を背負う、というと語弊があるのだろうか。
(彼女が自分自身の過去に矜持をもっているのならば、それは過ちや黒歴史ではないのだから)

ほんとうに手に入れたかったものは、結局なんだったのか。
ほんとうに手に入れたかったものは、結局手に入れられなかった気がしている。

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kikisava

4.0良かれと思ってしたことが裏目に出ていく そんな時ってあるよね 「良...

2025年8月14日
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泣ける

良かれと思ってしたことが裏目に出ていく
そんな時ってあるよね
「良かれと思うことが大事」ってなんだか救われた気がした

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NOSTOS3

4.0フランス映画らしいフランス映画

2025年8月12日
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鑑賞方法:映画館

知的

全体としてはエピソード集。
そうして語るうちに、少しずつ登場する人たちの側面が描かれていく。ミシェルを中心とした人間たち模様。
全員がある意味素直じゃない。みんなこころに何かを隠している。そして、必要とあらば、嘘をつく。まさに、それが人間ってことである。人生はよく作られた『映画』のように、勧善懲悪でもなければ、始まりも終わりもない。
この映画を観て主人公やその他の人に「それってどうなの?」と突っ込むことは可能であるが、自分の人生も側からすれば突っ込まれるということである。
意外なのはヴァンサンが割といい奴となっていくことで、その辺は監督の計算かもしれない。そして、罪は「無垢な」人がむしろ犯す。誰も他人を責めれやしない。誰もが可能性として人を傷つけて、他人を「殺している」。それは刑事事件的な問題ではなく、精神的な因果関係とでも呼ぶべきものである。
たまにいいセリフと美しい風景。手作りのスープにキッシュ。裏も表もある人間模様。これぞフランス映画の喜びではないか。

余談。それにしてもフランスの自然は素晴らしい。

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コバヤシ

3.0なにもかもスルーでいいのだろうか?

2025年8月6日
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鑑賞方法:映画館

怖い

スルーすることが、賢い老人の処世術ということ?

娘の死をスルーすることで、娘の金銭問題、離婚問題からは解放されるし、喧嘩ばかりの娘とは和解できたような幻を見ることはできるし、かわいい孫は手元に置けるし、友情は守れるし、友人の息子に庭の手入れはお願いできるし、安心しきったような死に顔であの世には逝けるし、いいことずくめ。

でも、それで本当にいいのか?

ダメダメダメ!

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うさぎさん

4.5秋の味覚はキノコだよね〜

2025年7月25日
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アベちゃん

4.0円熟の監督フランソワ・オゾン

2025年7月21日
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泣ける

知的

幸せ

良かれと思うことが裏目に出るときがある。
良かれと思うことを大切にしたい。

ああフランソワ・オゾン大人になったなぁ。
いゃあ奇をてらった作品ばかり撮るゲイだと面白がって見ていたが、しなやかに円熟している。
(いやらしく、大御所ぶらないところも好感。
変な大作を撮るよりウディ・アレンのように、
人の哀愁に寄り添える優しさ。)

フランソワ・オゾン監督は日本でもデビュー当時から
(その頃はよく、渋谷ユーロスペースまで観に行きましたよ電車に乗って)
オシャレ系と注目されてチヤホヤされていたけど、
本作のように冬の気配を描くとは、
時の速さを、改めて思う。

きっと、
きっと僕の母も、善かれ善かれと思い家族や親戚の為に日夜奮闘していたのではないだろうか。
そう泪したわけである。
(オゾン監督の新作なのでもっと早く観たかったが時間が合わずファーストランのキノシネマでは間に合わず。
やっとシネマ・ジャック&ベティで鑑賞できました。
横浜シネマ・ジャック&ベティ感謝です。)

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なかじwithみゆ
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