端くれ賭博人のバラードのレビュー・感想・評価
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マカオの煌びやかなネオン色が主人公の心理を照らし出す
『教皇選挙』で血や炎よりも鮮烈な真紅の世界を印象深く描いたエドワード・バーガー監督は、ギャンブルの聖地マカオを舞台にした本作でまたも他者に真似できない独自の視覚世界を創り出した。ラスベガスを舞台にした同様の作品なら過去にいくつも見た覚えがあるが、マカオがこれほどの煌びやかなネオンに包まれた幻想都市だとは。挟み込まれるアジア色、漢字、言葉、寺院、水辺の風景も手伝って、そこはどこか冥界への入り口のようにも思える。文字通り、主人公ドイルはすでに棺桶に片足を突っ込んだ状態なのだが。目くるめく色彩感覚やコリン・ファレルが熱烈に表現するギャンブル狂の精神世界は、それだけで触れる価値あり。だが基本、その心理を投影した”彷徨い”が続くので、こういったタイプのストーリーに耐性のある人なら身を委ねて楽しめるが、逆に明快な展開を求める人にはいささか辛いところもあるかも。ただ、バカラのルールが知れて勉強にはなる。
スウィントンがいい
コリン・ファレルが、ギャンブルに依存し、
ペテン師ドイル卿を演じることは、
彼のキャリアの文脈から見ても必然的、
かつ成功した選択と言えるかもしれない。
彼はかつて自身も薬物・アルコール依存症の経験を公にしており、
その経験は、虚勢と内なる焦燥に引き裂かれる主人公の孤独と悲哀を、
単なる役作りを超えて深く体現することを可能にしたのかもしれない。
台詞のない瞬間にこそ、
その真価が発揮されている。
マカオのカジノの光と闇の中で、
賭けに負け、借金に追われる男の疲弊した眼差し、
微かな震え、
そして一瞬の希望に賭ける時の猛烈なまでの渇望といった複雑な感情が、
彼の肉体と表情を通して、観客に直接訴えかけてくる、
それがこの作品の核を形成している。
そして驚いたのは、ティルダ・スウィントンの芝居の器用さと多才さだ。
彼女はキャリアを通じて、性別や年齢、人間といった枠組みすら超えた、
概念的で非凡な役柄『コンスタンティン』、『サスペリア』等々、
圧倒的な存在感で演じてきた。
その為、コミカルな役どころ、特に本作で見せる小回りが効いた、
軽快で謎めいたユーモラスな芝居は、新鮮な驚きだった。
要所に現れる取り立て屋のような女性として、
一見すると不条理でコミカルな振る舞いの裏に、
深みとシニカルさを隠し持っている。
これは、彼女が伝統的な役柄の枠に収まらない、
表現者としての引き出しの多さを改めて証明している。
シリアスとコメディ、
現実と幻想の境界線を軽やかに飛び越える彼女の芝居は、
重くなりがちなドイルの物語に、
絶妙な異物感と不可解な魅力を加えている。
彼女の登場シーンは、この映画における重要なギアチェンジの役割を果たしていると言えるだろう。
よく分からない
心臓発作の後、何故ダオミンの部屋にいたのか??ダオミンが既に死んでいたのならおかしくないか??
こういう辻褄が合わないところがあると腑に落ちなくなる。
そして、ギャンブラー依存症の彼が急にダオミンに夢中になるのが分からない。
恋の深さも浅くて悲しみが伝わらない。
最後ダオミンが自殺した水辺に何投げたの??
わかる人教えてー
大金以上の…
ギャンブル依存症のダメ男がラスト勝負で大金を手に入れるが、大金以上に大切なもの、ダオミンの存在に気付くと同時にそれを失ってしまった。マカオや香港の綺羅びやかな街やカジノのネオン、鮮やかな衣装が印象的だった。
不安定で不幸な日々だった💰️
マカオで監視され、精神不安定な日々を送るものの、最後に大きく稼ぐが愛する人には会えず、ど不幸なストーリーで何も残りませんでした。
まあそういう時もあるんでしょう
負け試合
『西部戦線異状なし』『教皇選挙』で連続してアカデミー賞にノミネートされ、絶好調のエドワード・ベルガー監督の新作が、間髪入れずNetflixでお届け。
戦争、宗教ミステリーに続くのは、ギャンブル・サスペンス。ジャンルの広さやフットワークの軽さを見せ付ける。
こちらも現在キャリア安定のコリン・ファレルを主演に迎え、売れっ子才人がどんなギャンブル世界を描くか気になっていたのだが…。
過去の罪から逃げ、マカオのカジノホテルに流れ着いたギャンブラーの男。
一発大きく当て過去を精算しようとカジノに入り浸るが、負け続け、借金は増えるばかり。
ホテルから期日までの支払いと立ち退き勧告、過去の罪=騙した老夫人が雇った探偵に居所を突き止められ、文字通りの崖っぷち。
そんな時、運命の女神のような従業員の女性と出会い…。
コリン・ファレルの追い詰められた絶体絶命、焦燥、精神不安の演技…と言うより顔芸はもはや名人芸。ファレル自身も昔、酒とアルコールの依存症だった経験からの熱演。
ファレルの演技とネオン煌めくマカオの風景は素晴らしい。
が、話の方がどうにも盛り上がらない。
要は、愚かなギャンブラーの話。
会った人たちに(ましてや自分を追ってきた探偵にまで)金を借りようとする。
借りた金や騙した金をギャンブルにつぎ込む。
自分は“卿”と紳士ぶってるが、言動やホテルでの荒れた暮らしなど自堕落なクズ。
そこかしこにギャンブル依存の苦しみや再起も織り込むが、全く共感も感情移入も出来ない。
出会ったマカオの女性。見ていて「ん?」と思う点が所々あり、後から他のレビューやネタバレなどで調べてみたら、やっぱり。と言うか、まさかのスピリチュアル系…?
手に汗握るギャンブル・シーンが見せ場として盛り上がれば良かったものの、それに乏しい。
だってギャンブル映画ではなく、ギャンブラーの苦悩。
つい最近も書いた気がするが、『007/カジノ・ロワイヤル』のようなスリリングなギャンブル対決。
『ハスラー』のような非情なギャンブルの世界。
ベルガーの手堅い手腕でこういう作風を期待してたもんだから、何か見たかったものと違う…。
好調ベルガー、初の負け試合。
期待し過ぎたかもしれない
コリン・ファレル最高
コリン・ファレルの困り顔が大好きなんですけど、この映画はそんな一言では言い表せないほど彼の狂気的な演技が凄まじい。焦燥感や迷い、またギャンブル特有の高揚感、全ての感情がリアルに画面から漏れ伝わってくるもんだから、ストーリー自体は退屈に感じても最後まで集中して観る事ができました。
ただ、コリン・ファレルの演技とマカオの映像美には魅せられるものの、ストーリーはよくある話だな〜って思ってたんですよ前半は。でもラストでやっぱり物凄く心を掴まれまして…なんか視覚的、感覚的には好きな映画なんだけど中身が薄いのかな…ってアンバランスな感想になりました。
結局は途中からのダオミンは幽霊で、死者の金でギャンブル大勝ちして借金も返済したけど、その大金を燃やしてしまうという結末が素晴らしくて。これは火葬すらされなかったダオミンへの償いみたいにも感じたし、彼が賭博から自らを断ち切る未来に繋がるのかな…と捉えることもできた。彼が本当に生きていたのかは分からないけど。とにかくこのラストのコリン・ファレル見れただけでも私は大満足。
待ち受けるのは、カタルシスです。
バチカンのセンセーショナルな教皇選挙をタイムリーに描いたエドワード・ベルガー監督の最新作は、他人からくすねた金でギャンブルにつぎ込みで身の破滅にまで自らを追い込む詐欺師のお話。聖の世界を描き切った後は、俗なる堕ちた世界。個人的に、この二重人格的なテーマの選択は、クスッと笑ってしまった。
本編は、コリン・ファースの演技1本でグングン突き進む。マカオと香港を舞台に朦朧とした意識の中をまるで泳いでいるかのよう。そして、泳ぎ切ったその先に、彼は生まれ変わることができるのだろうか。
依存症のギャツビー
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