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Netflixシリーズ「ガス人間」8年越しの企画秘話から新星UTA抜てきの裏側まで 作品がより面白くなるトリビア7選

2026年7月9日 14:00

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東宝とNetflixが初タッグを組んだNetflixシリーズ最新作「ガス人間」(世界独占配信中)が7月2日から配信されたが、Netflix週間TOP10初登場1位を飾り、SNSを中心に話題となっている。本記事では、マスコミ向けに配布された資料をベースに、本作の企画発足からキャスティング秘話、VFX開発の舞台裏まで、知れば本編がさらに面白くなるトリビアをまとめてお届けする。

画像1Netflixシリーズ「ガス人間」世界独占配信中
【トリビア1】発端は「東宝のゴジラ以外の自社IP(知的財産)活用」と「ヨン・サンホ監督の参加」
【トリビア2】片山慎三監督は「全8話を自分が撮る」ことを条件に参加
【トリビア3】製作陣のファーストチョイスだった小栗旬蒼井優。共演は実に23年ぶり。
【トリビア4】ガス人間役のUTAは本作が演技初挑戦
【トリビア5】東京駅前封鎖のカーアクションは1年半がかりで実現
【トリビア6】こんな竹野内豊、見たことない! 自ら出演を直訴したキャストも
【トリビア7】ガス表現のコンセプトアートは400枚近くにのぼった

●【トリビア1】発端は「東宝のゴジラ以外の自社IP(知的財産)活用」と「ヨン・サンホ監督の参加」
エグゼクティブプロデューサーと脚本を務めたヨン・サンホ
エグゼクティブプロデューサーと脚本を務めたヨン・サンホ

1950~60年代に東宝が製作した特撮映画群、通称「変身人間シリーズ」。その一作である「ガス人間第一号」(60)のリブートは、いかにして始まったのか。そのきっかけは、東宝の馮年(ひょうねん)プロデューサーが抱いていた「東宝は約90年の歴史があるのに、ゴジラ以外の自社IPを活用できている実感があまりなく、勿体ない」という思いだった。

折しも「新感染 ファイナル・エクスプレス」(16)を大ヒットさせ、世界を騒然とさせていたヨン・サンホ監督との協業を熱望し、上司の協力を取り付けて2018年に共に訪韓。持参した企画案の中からヨン監督が選んだのが「ガス人間第一号」(60)だったというのが、本作誕生の原点だ。ヨン・サンホ監督は、早々に「現代版にリブートさせるならこんなイメージ」というA4用紙2枚ほどのアイデアメモを用意してくれたそうだが、「すごく面白くて。これはぜひ実現させたいと思いました」と、馮年プロデューサーは語っている。

当初は劇場公開を想定した企画だったが、新型コロナウイルスの流行で開発が停滞。そこに手を差し伸べたのが、東宝にとって初のコラボレーションとなるNetflixだった。この強力なパートナーを得て、2020年頃に東宝にとって初の配信シリーズとなる「ガス人間」プロジェクトが具体的に動き出すこととなった。

●【トリビア2】片山慎三監督は「全8話を自分が撮る」ことを条件に参加
片山慎三監督
片山慎三監督

初めてづくしのプロジェクトを、誰に託すか。プロデュースチームが白羽の矢を立てたのは、「岬の兄妹」(19)で鮮烈なデビューを飾った片山慎三監督だった。オムニバス企画「TOKYO!」内の「シェイキング東京」(08)や「母なる証明」(09)でポン・ジュノ監督の助監督を務めるなど、韓国のクリエイターとの協業経験を持つ片山監督。WOWOWドラマ「さまよう刃」(21)では東野圭吾作品にも挑むなど、強固な作家性を保持しつつアートとエンタメの境界なく新作を発表し続ける鬼才だ。

当時は映画「さがす」(22)の公開を控え、ディズニープラス「ガンニバル」(22~25)や映画「雨の中の慾情」(24)など複数プロジェクトを抱えていた片山監督だが、誘いを快諾。通常のドラマシリーズはエピソード監督を複数立てる体制が主流ななか、「全8話を監督すること」を自ら条件にした点に、その並々ならぬ情熱がうかがえる。脚本&エグゼクティブプロデューサーを務めるヨン監督との共同作業について、小野田壮吉プロデューサーは「ヨン監督は斬新なストーリーやキャラクターのセットアップを考える天才であり、片山監督は生身の人間として実際に動かす手腕に非常に長けた方」と両者の相性の良さを語っている。

●【トリビア3】製作陣のファーストチョイスだった小栗旬蒼井優。共演は実に23年ぶり。
画像4Netflixシリーズ「ガス人間」世界独占配信中

ガス人間」のクランクインは2024年9月。24年3月にはヨン監督と片山監督がリアルで対面する脚本合宿を行い、4月にヨン監督サイドから脚本を引き取ったのち、7月までの3 カ月間で日本仕様に調整して撮影稿とした。とはいえ撮影が始まってからも細部の改稿作業を並行していたため、2020年の実作業開始時から足掛け4年ほどが脚本制作に費やされたこととなる。そんななか、メインキャラクターとなる賢治役の小栗旬と京子役の蒼井優へのオファーは「どうしてもこの2人にお願いしたい」との思いから2022年に早々に行われ、快諾を取り付けた。

制作陣の初配信作品かつ海外クリエイターとの初タッグということで「絶対に失敗できない」というプレッシャーのなか、「圧倒的に信頼感のおける俳優さんにお願いしたいと考えた際、真っ先に浮かんだのが小栗旬さんと蒼井優さんでした」と馮年プロデューサーは語っている。

画像5Netflixシリーズ「ガス人間」世界独占配信中
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小栗と蒼井のキャスティングは、演技力はもちろんのこと、両者のアジア圏での知名度の高さも好材料に。さらに、テレビドラマ「青と白で水色」(01)以来、実に23年ぶり(撮影時点)というレア感も、重要なポイントだった。また、オリジナルの「ガス人間第一号」が特撮映画でありながら悲恋ものだったことを踏まえ、「心の傷を抱えた大人同士のビターな恋愛もの」として物語にラブストーリーの要素を残す狙いもあったという。

●【トリビア4】ガス人間役のUTAは本作が演技初挑戦
画像7Netflixシリーズ「ガス人間」世界独占配信中

タイトルロールを演じたモデル・UTAにとって、本作は演技初挑戦となった。「原作映画との最大の違いは、ガス人間がタイトルロールではあれど主人公ではないこと」(馮)という位置づけから、「あまり色のついていない真っ新な役者さん」が求められ、片山監督の推薦でUTAに白羽の矢が立った。オファーは即決され、長期にわたる演技のトレーニングと肉体改造に励んだ。高校からは米国に渡り、英語話者の期間が長い UTA のためにハリウッドで活動する演技コーチを招へいするなど、制作陣もバックアップ。

人物デザイン監修・衣裳デザインを「シン・ゴジラ」(16)、「岸辺露伴は動かない」シリーズなどで知られる柘植伊佐夫が担当し、ガス人間にブルーグレーのロングコートを提案するなどビジュアル面でのイメージを形成。そこに片山監督の独自性あふれる演出が加わり、強烈なインパクトを与える抑揚のない話し方や一度見たら忘れられない威圧感が完成した。

●【トリビア5】東京駅前封鎖のカーアクションは1年半がかりで実現

ガス人間」の撮影は2024年9月から2025年4月末までの8カ月弱、ロケ地は約150カ所にのぼった。中でも代表的なのが、第3話に登場する東京駅前を大規模封鎖したカーアクションシーン。実現までに1年半ほどの交渉と準備期間を要したというが、小野田プロデューサーは「日本は撮影の許可取りに厳しい国ですが、時間をしっかりかければ達成できる証明になりました」と語る。ガス人間がマンホールを突き破って車体を下から攻撃し、車がバックフリップする描写も前例のないもので、「ダークナイト」(08)のトラック転倒シーンなどを参考にしながら試行錯誤が重ねられた。迫力あるシーンに仕上がっているので注目だ。

●【トリビア6】こんな竹野内豊、見たことない! 自ら出演を直訴したキャストも

本作には、ガス人間に狙われる暴力団組長・大友の息子・リキ役を演じた松浦祐也(「岬の兄弟」)や蒼井優演じる報道記者・甲野京子の後輩の記者・西山達也役の伊島空(「雨の中の慾情」)など、片山監督の現場をよく知るメンバーも多く集っているが、その元筆頭がWOWOW連続ドラマ「さまよう刃」で主演を務めた竹野内豊

本作では、小栗演じる警部補の岡本と因縁の深い、元ヤクザで上場企業社長の森靖利役を演じているが、一見すれば本人とわからないほどの変貌ぶりで、ガス人間誕生のカギを握る悪党・森を強烈に演じ切っているので注目だ。

なお、岡本警部補の父親を演じた青木崇高や、ホスト役を演じた賀来賢人は、自から本作への出演を志願してキャスティングされており、それぞれ事件の鍵を解く重要人物を演じている。

●【トリビア7】ガス表現のコンセプトアートは400枚近くにのぼった
画像8Netflixシリーズ「ガス人間」世界独占配信中

ガス人間の独創的なアクションを支えるVFXは、「ゴジラ-1.0」(23)でアジア映画史上初のアカデミー賞視覚効果賞を受賞した白組が担当。クランクインの1年半前からガス表現の研鑽が始まり、2022年の段階で漫画家・石江八にコンセプトアートを大量に用意したのを皮切りに、SNS等を通じてスカウトした漫画家にガス人間のコンセプトアートを200枚ほど描いてもらった後、それらを参考にしつつNetflix シリーズ「幽☆遊☆白書」のVFXスーパーバイザー・坂口亮が属するScanline VFX(現・Eyeline)がCGの文法で新たにコンセプトアートをまた200枚近く作成。漫画・アニメ的なタッチからフォトリアルな実写仕様へと変換し、白組へと繋いでいく体制が敷かれた。

ガスの動きはシチュエーションごとに6~7モードが設けられたが、コンセプトの中心に据えられていたのは「ファンタジーではなくリアル」であること。専門家にも助言を仰ぎ、ガス爆発のシーンでは「広範囲にガスを広げて一気に収縮させることで爆発力を高める。その際にコアの部分が赤く光る」といったルールを設けたという。また、片山監督から、ガス化する際に皮膚→筋肉→骨格と段階を踏んでいく過程を見せたいというリクエストがVFXチームに寄せられたが、VFXチームがこれに見事に応え、同シーンは現在の技術力の見せ所となっている。

ガス人間」はNetflixで世界独占配信中。

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