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坂本龍一、濱口竜介に続く日本人審査員 ハリウッドで活躍のHIKARI監督に聞く【第76回ベルリン国際映画祭】

2026年2月19日 11:00

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HIKARI監督
HIKARI監督
Photo©corey-nickols

現在開催中のベルリン国際映画祭で、審査員長のヴィム・ヴェンダース監督のもと、審査員を務めるひとりが、ロスを拠点に活躍するHIKARI監督だ。今年で76回目を迎える歴史ある同映画祭で、近年では坂本龍一さん、濱口竜介監督に続く日本人審査員となる。

ブレンダン・フレイザーを主演に日本で撮影した新作「レンタル・ファミリー」が2月27日に日本公開を迎える彼女に、多忙を縫って現地で取材に応じてもらった。

――審査員メンバーの開幕記者会見では、ヴェンダース監督の発言が、イスラエルを擁護する映画祭の立場に明確に反論していないとして、政治的な面から取り沙汰されました。審査員が政治的な論争に巻き込まれることについてどのように感じられていますか。

ヴェンダース監督に同情します。彼は、わたしたちアーティストは人々への共感や同情を持って映画を作っていると語っていました。審査員のなかでドイツ人は彼だけで、ドイツが(ユダヤ人に対して)歴史的におこなってきたことを背負うなかで、彼はどちらの側につく、というようなことは言えないという思いがあったのではないでしょうか。おそらく質問をしたジャーナリストはそれを承知の上だったと思います。

でもわたしたち審査員は何も恐れていません。ネットにあがる「ベルリン・ボイコット」などのヘッドラインだけを読んで賛成する人たちは、自分たちが浅はかだということを表明するようなものだと思います。アーティストは政治家ではないし、もっと深いところで物事を考えていると感じます。

――審査員の依頼が来たときはどう思われましたか。またメンバー間でコンペティション作品についてディスカッションをするなかで、監督として何かインスパイアされるものはありますか。

これまで他のところで審査員のお誘いを頂いたことはあったんですが、実際にやったことはありませんでした。でも初監督作「37セカンズ」(2019)をパノラマ部門で上映して頂いたこの映画祭は自分にとって特別な場所なので、これ以上の栄誉はないと思いました。ヴェンダース監督も日本が大好きですし。映画祭では1日3本観るのが日課なのですが、毎晩審査員メンバー全員でご飯を食べて、まるで家族みたいな感じです。初めての審査員経験でこんなに楽しくていいのかと思うぐらい(笑)。

みなさんの映画の見方がそれぞれ違うのも新鮮です。たとえばわたしはどうしてもテクニカルな面、カメラや音楽とか、そういうところを観る癖があるのですが、何も考えず作品のジャーニーに身を任せられるところがいい、と評価する方もいて、そういう見方もあるのかと思わせられたりします。面白いのはみなさん出身や育った環境がばらばらなので、アジアではこういうことがよくあるのかもしれないが、自分たちはまったく知らないことだったから新鮮だった、というような意見もあります。国や文化の違いで意見も異なることがあるのは興味深いです。

――そもそもHIKARI監督はなぜハリウッドを目指そうと思ったのでしょうか。そして非アメリカ人にとってハリウッドの厳しさとはなんでしょう?

高校時代にアメリカ留学をして戻ってきたあと、舞台芸術に興味があって日大芸術学部を目指していたんですが、母親から学費が高くて無理やと言われて(笑)。またアメリカでもいったらどうやねんと言われたのがきっかけです。でも自分でも本当に日本に居続けたいのかなという気持ちはどこかにありました。初めてアメリカの高校に行ったときより、日本に戻ってきたときのカルチャー・ショックの方が大きかったので(笑)。

南カリフォルニア大学(USC)を卒業したんですが、あそこはハリウッドの映画作りを叩き込まれるんです。これがニューヨーク大学(NYU)だと、卒業生にマーティン・スコセッシ監督がいるように、もっとインディペンデントな映画作りを教えられると思います。でも、もともとハリウッド映画が好きだったので、そこはすぐに馴染めました。

もちろんハリウッドは厳しい世界です。みんなノンストップなんです。アメリカ人にとってもシビアな世界なので、そんななか、いまここにいられることは本当にラッキーだなと思います。たとえ映画が素晴らしくても興行的に当たらなかったらスタジオからも注目を浴びないし、そこそこのスタンスをずっと保っていかなければならない。

たとえばヨーロッパだと、ヴェンダース監督などをみても、ここが自分のスタンスで、ここで映画を作ります、という立ち位置を感じますが、それは映画をサポートするシステムがいろいろと整っているからだと思います。アメリカにはそれがないので、結局スタジオのお金を頼らなければならない。自分からどんどん主張していかないと、黙っていたら誰も話を聞いてくれない。幸いわたしの場合、エージェントやマネージャーなど素晴らしいチームに恵まれているので、自分がこれをやりたい、と言うとスパイダーみたいにいろいろなところに網を張ってくれる(笑)。彼らがいるから、いまのわたしがあると思います。

――記者会見では、観た人に希望を与えるような作品を作りたいとおっしゃっていましたが、HIKARI監督が映画に求めるものとは何でしょう。

誰もが人生で何かしら目覚める瞬間というのはあると思うんです。自分がこうだと思っていた世界が、もっと目を見開いてみたら360度世界が変わった、みたいなことはあると思っていて、そういう気持ちになれるような物語を作りたいです。自分の映画を観て、ああこういう見方ってあるのかと、何かポジティブな気分になってもらえたら、自分の仕事は達成されたかなと思います。

さまざまなご縁があって、わたしのようなワーキング・クラス出身の人間がいま映画を作っているというところで、たとえば世界をみたら95パーセントぐらいの人はワーキング・クラスなわけで、自分自身も含めてそういう人々に響く映画を作るのが、残りの5パーセントの人々に向けた映画よりも自分には合っている。たとえそれがカンヌ国際映画祭に入るような作品でなくても、95パーセントの人々に届くことが、自分のミッションのような気がしています。

次回作は某プラットフォームの出資による大作ファンタジーを準備中とか。ハリウッドで「女性監督」「外国人」というハンディをものともせず、あくまでポジティブに攻め続けるHIKARI監督の、さらなる活躍を見守りたい。(佐藤久理子)

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