海辺の一日

劇場公開日:2026年7月10日

解説・あらすじ

「ヤンヤン 夏の想い出」「牯嶺街少年殺人事件」などで知られる台湾の名匠エドワード・ヤンが1983年に手がけた長編監督デビュー作。13年ぶりに再会した2人の女性の会話を起点に、封じ込められていた記憶と人生の層が浮かび上がっていく様子を描き、台湾ニューシネマ最初期の重要作として高く評価された。

佳莉(ジャーリィ)は小さな町の医師の娘として生まれ、親への服従を重んじる伝統的な価値観のもとで育つ。父の権威に逆らえず愛を失った兄・佳森(ジャーセン)の姿は、彼女に深い衝撃を与えた。やがて佳莉は父が望む結婚を拒み、同級生との結婚を選んで家を出る。一方、佳森の元恋人・蔚青(ウェイチン)は、留学先のオーストリアから帰国しピアニストとして活躍していた。蔚青は佳莉の自由な決断に憧れを抱いていたが、佳莉の結婚生活はいつしか理想とかけ離れたものになってしまう。ある日、警察に呼び出されて海辺を訪れた佳莉は、夫との歳月や自分が選んできた人生、そして見ないふりをしてきた感情と向き合いはじめる。過去をたどるなかで、彼女の中に封じ込められていた時間が少しずつ姿を現していく。

主人公・佳莉役にシルビア・チャン。ウォン・カーウァイ監督作品などで知られる世界的撮影監督クリストファー・ドイルの長編デビュー作でもある。2026年7月、4Kレストア版にて日本初の一般劇場公開。

1983年製作/167分/G/台湾
原題または英題:海灘的一天 That Day, on the Beach
配給:ツイン
劇場公開日:2026年7月10日

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映画レビュー

4.5 とにかくずっと観ていたい、観終わりたくない映画

2026年7月11日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

興奮

幸せ

エドワード・ヤンの長編デビュー作だが、これがデビューだとはとても信じられないくらい洗練されている。美しいショットの連なりが現在過去未来を自在に往き来し、様々な人物の人生の選択を鮮やかに映し出す。

シルビア・チャンがとにかく素晴らしい。少女から大人まで、本当に15年くらいかけて撮影したようにしか見えない。衣装、メイク、ヘアメイクも、年月や性格や気分を細かく表現していて見事。彼女の衣装だけ見ていても飽きないはず。

ストーリーだけ追うとメロドラマなのに、なぜこれほど描かれるものの豊かさに圧倒されるのか。なぜ訪れたことのない風景をこれほど懐かしく思うのか、板張りの廊下の足音にスパイスの香りを感じるのか。とにかくずっと観ていたい、観終わりたくない映画。

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エリセ

4.0 数あるデビュー作の中で最高峰か

2026年7月11日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

変わりつつある台湾と、そこに住む人々の生活が、劇中の荒れた海の波のように、何度も押しては引き、暮らしの中の過ぎゆく時間に置かれたクサビに戻る回想劇。波はまるで映画の中の人の暮らしそのものでした。同じ波は存在せず、皆が必死に生きているというのが印象に残りました。

エドワード・ヤン監督のその後の歴史を語るようなデビュー作にして傑作。彼はこの時点で、自身が撮りたいたいと願う映画の最終形が見えていたのではないかと感じました。

映画のアイディアのカケラを必死に集めて、心を込めてシナリオを書き、祈るように撮影し、無の境地で編集して完成させたのかなと。

見終わった後、1シーンだけでも頭の中に持ち帰り、誰かに共有したい。そのことでまた、映画の素晴らしさが他の誰かに伝わればいいなと感じる、素晴らしい映画体験でした。

4.1

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Nikio