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総合70点 ( ストーリー:75点|キャスト:70点|演出:60点|ビジュアル:60点|音楽:70点 )
いつの事か思い出せないが20年くらい前だろうか、実は初めて観た時は、古い演出と演技もあってそれほど良い印象は残らなかった。
久しぶりに観直してみると、1人の男が激動の時代に人生の大半を過ごして数々の出来事があった故郷の、文学的な郷愁感の漂う物語の描写にしんみりとした。
山あり谷ありの人生の心に残る思い出は美しい。だけど本当はもっと酷いことや酷い人の存在があったのではないか。わが谷は緑と言いながら、現実はちっとも緑が出てこない荒地の炭鉱のように、美化された思い出と現実に起きていた出来事は違うと思う。
炭鉱夫は気の荒い人も多いと聞くが、同盟罷業で対立する炭鉱で働く炭鉱夫同士の諍いは脅迫も暴力もない。家族内での意見に対立はあってもその表現は厳しくなく、いつでも父親は尊敬され母親は我慢強く優しい。緑が出てこないのは、何も白黒映像だけが理由ではなく、心の美化が谷を緑にする。
また、なぜ学校で成績優秀でありながら、危険できつく教育がない人が多い炭鉱夫になりたがるのかわからない。原作についての英語版ウィキペディアでは
He loses his opportunity because of fighting with a schoolmaster who punishes children for speaking Welsh.
とあったので、教師との喧嘩で学業が駄目になって教育がないまま炭鉱夫になったみたいだが、映画ではそうはなってなかった。だがなぜ彼が炭鉱夫になったのかはこれで納得できた。
そこで家族が減っていくまま長い時を過ごして1人年老いていった主人公の人生はどんなものだったのかの話は描写されない。家族が誰もいなくなり故郷を離れる主人公のその後も、姉と生活苦から故郷を離れ新大陸に渡った兄達のその後もわからない。
画像では描写がなくわかりにくいが、英語版ウィキペディアによると原作では、
After everyone Huw has known either dies or moves away, and the village is reduced to a contaminated shell, and the house is being destroyed by a slag heap, he too decides to leave, and tells the story of his life just before going away.
とあり、彼が谷を離れる時には、炭鉱の谷は鉱山によって汚染されて家族も知り合いもいなくなり村は縮小していたそうだ。
人生を美しいものとして描こうという意図はわかるから、あえてそのようなものにしているのは感じる。現実がどうかではなく、主人公が感じた故郷は美しかったのだろうし、その描こうとしていた主題は観ていて理解出来る。
でもところどころ物語の描き足りない部分と納得できない部分があった。古い映画ならではの緩やかな演技と演出が、現実の厳しさをはっきりと描写しないからか、深い理解につながらない話になっている。物語を修正して現代の演技演出映像で再映画化すれば、かなり良くなるとは思う。