デッドマンズ・ワイヤー

劇場公開日:2026年7月17日

解説・あらすじ

「グッド・ウィル・ハンティング 旅立ち」「ミルク」「エレファント」などで知られる名匠ガス・バン・サントが、1977年にアメリカ・インディアナポリスで発生した実際の事件をもとに描いたクライムスリラー。

不動産投資会社メリディアン・モーゲージ社に財産をだまし取られたと主張する男トニーは、同社に押し入り、社長の息子で同社役員のディックを人質に取る。トニーは自分と人質の首をショットガンとワイヤーで結びつけ、動けば発砲される仕組みの「デッドマンズ・ワイヤー」を用いて立てこもり、警察も手出しできない状況を作り出す。現場からメディア出演を行うなど異例の行動を続ける中、世論は彼を非難する声と同情する声に分かれていく。膠着状態を打開しようと警察が突入に備える中、ついにトニーと社長が電話で話すことになるが……。

実在した犯人トニー・キリシスを演じるのは、「IT イット」シリーズのビル・スカルスガルド。そのほか、人質となるディック役でデイカー・モンゴメリー、事件を追う刑事グレイブル役でケイリー・エルウィス、事件に巻き込まれるラジオDJ・フレッド役でコールマン・ドミンゴ、地元テレビ局レポーターのリンダ役でマイハラが共演。強引な手法で巨万の富を築いたメリディアン・モーゲージ社の社長M・L・ホールを名優アル・パチーノが演じる。音楽をダニー・エルフマンが担当。

2026年製作/105分/G/アメリカ
原題または英題:Dead Man's Wire
配給:KADOKAWA
劇場公開日:2026年7月17日

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映画レビュー

4.0 犯人役と人質役、2人の好演で魅せる。軽快なサントラも効果的

2026年7月19日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:試写会

笑える

悲しい

知的

すでに多く指摘されているように、アル・パチーノ主演作「狼たちの午後」に似た事件を題材にした映画だなと思いながら観ていた。「デッドマンズ・ワイヤー」の不動産投資会社社長役にパチーノを起用したのも意図的だろう。鑑賞後に検索したら、やはり英語メディアでも2作を比較して論評する記事がいくつか見つかった。

どちらも実際に起きた事件に基づくものの、「狼たちの午後」が1972年の事件を1975年に映画化、「デッドマンズ・ワイヤー」が1977年の事件を50年近くたった2025年に映画化、この差を不思議に思う。どちらもマスコミを巻き込んだ劇場型犯罪だが、トニー・キリシスが社長の息子で役員のディックを人質に取ったこちらの事件の推移も結末も十分にドラマティックだ。

本編尺の大部分、体感で3分の2くらいがトニーが人質のディックと共に自宅で籠城するシークエンスだが、犯人役ビル・スカルスガルドと人質役デイカー・モンゴメリーの好演で興味を持続させ、飽きさせることがない。ビル・スカルスガルドは「IT イット “それ”が見えたら、終わり。」で眼球をぐるっと動かして斜視のようになるシーンを(CGを使わず)実演したと知って以来一目置く存在で、本作でも目の繊細な演技で緊張や焦燥を巧みに表現している。

デイカー・モンゴメリーはオーストラリア出身で現在31歳、「ストレンジャー・シングス」のオーディションテープ(YouTubeで閲覧できる)をガス・ヴァン・サント監督が見て注目していたそう。元々はイケメンで熱血なキャラクターも合いそうな顔立ちだが、本作では髪が薄くなり始めた穏やかで少し気弱な跡取り息子を説得力十分に演じている。米国で4月に公開されたホラー映画「Faces of Death」ではメインキャラの連続殺人鬼を演じており、幅広い役柄をこなす若手演技派として今後知名度がさらに上がりそうだ。

これまでも実際に起きた事件を題材にした「誘う女」「エレファント」や、米国でゲイを公表して初めて公職(サンフランシスコ市議)に就いたハーヴェイ・ミルクの伝記「ミルク」などで知られるヴァン・サント監督らしい、社会派の視点が本作でも健在だ。トニーを異常で危険な男として単純化するのではなく、金融エリート層に騙され搾取された庶民による命懸けの反撃という面を強調することで、主人公への感情移入を誘いつつ、背景にある格差社会の問題について考えることを促す。

総じて緊迫して重苦しいムードが優勢な本筋ではあるが、要所要所で流れる音楽が吹き抜ける風のようにさわやかで、空気を少し軽くしてくれる。特に印象的なのは、トニーが奪ったパトカーをディックに運転させて自宅に向かうシーンで流れる、Labi Siffreが1972年に発表したフォークナンバー「Cannock Chase」。犯人と人質の道行きが、ほんのひととき哀愁漂うロードムービーのような趣に変わる。それから、ラスト近くで流れるYesの「I've Seen All Good People」もしみじみと良い。

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共感した! 18件)
高森郁哉

4.0 思い出される1970年代のあの名作

2026年7月18日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:その他

興奮

ドキドキ

ガス・ヴァン・サントの最新作は、住宅ローン会社に金を騙し取られたと信じている男が、ローン会社を告発するために社長の息子の首に銃口を固定したまま、警察やメディアを引きつけつつ場所を転々とする話。資本主義社会の理不尽に怒り心頭の観客たちが、主人公に共感の拍手を贈るのは当然のことだ。実際にこの事件が起きたのは1977年(場所はインディアナポリス)だが、社会の仕組みは少しも変わっていないのだから。

いわゆる"劇場型犯罪"の典型的なパターンである。映画を観ながら脳裏にシドニー・ルメット監督の『狼たちの午後』('75年)が浮かんだ。アル・パチーノ扮する主人公が恋人の性転換手術(当時はそう呼ばれていた)の費用を捻出するために銀行を襲い、メディアや野次馬によって英雄として祭り上げられていく、という内容だった。しかし、『狼~』が人間の狂気を描いていたのに対して、本作『デッドマンズ・ワイヤー』は資本主義社会の崩壊がテーマ。熱量は同じでも残る後味には違いがある。

それでも、ガス・ヴァン・サントはルメットとパチーノが映像に残した切なくて滑稽なドラマに心からオマージュを捧げている。その証拠に、パチーノをある重要な役にキャスティングしているのだ。映画は時代を超えて繋がっている。

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共感した! 11件)
清藤秀人

未評価 緊迫感はあるが息苦しい

2026年9月3日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

 不動産会社に資産を奪われたと主張する男が会社に押し入り、自分の首と社長の息子の首をショットガンとワイヤーで固定し手出し出来ない状況下で脅迫する男の1977年の実話に基づくお話です。

 「一体どうなるの?」「どうするの?」の思いと男の狂気が渦巻くのだが、場面の多くが室内である為、窮屈さと息苦しさが拭えなかったかったかな。

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La Strada

2.0 もっと演出してほしい

2026年9月1日
iPhoneアプリから投稿

世界仰天ニュースの再現ドラマじゃないんだから、もっと映画らしい演出が欲しかった

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ボケ山田 ひろし