黒牢城のレビュー・感想・評価
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カンヌでの拍手に納得です👌
よく練られ、きちんとまとまる脚本に、魅力ある俳優陣。極楽·地獄と畏怖する罪ない民、神仏に重ねる死生観。如何にも倭の国、日本らしい。
カンヌの観客には大変exoticに新鮮に映ったことでしょう!
しっかりと味わえる作品でした。
「予習してから観るべき映画だった
レビュー(⭐️3.3/5)
黒牢城 を鑑賞。
個人的な評価は⭐️3.3/5。
まず正直に言うと、内容が少し難しかったです。
ただ、ミステリー自体が難しいというより、
昔の言葉遣いや時代背景があまり分かっていないので、会話についていけない場面が何度かありました。
物語は一つの事件を追うというより、
短編ミステリーが3〜4本続き、それが最後に一つへ繋がっていく構成。
発想としては面白いのですが、観ている最中は「推理している」というより、怪奇要素のある時代劇を観ている感覚の方が強かったです。
もちろん、この時代ならではのミステリーだからこその魅力もあると思います。
ただ、自分は歴史や当時の文化への理解が浅かったので、十分に楽しみきれなかった印象。
なので今回は、映画が悪いというより、自分の予習不足が大きかったかなと思います。
歴史や戦国時代が好きな人なら、もっと深く楽しめる作品なのかもしれません。
米澤穂信先生へのリスペクトを込めて
【いつもは原作を読んでから映画を観る派】
だったのですが、ここ最近、何作かその順番でハズした(というか期待しすぎた?)
ので、今回はあえて、米澤穂信先生を信頼して(これ代表作なのにたまたま未読だったので)
映画を先に視聴。
ちなみに原作は、夏の文庫フェアで昨日ゲットしたて。
ホヤホヤ。
で、何から書こう。
今回は珍しく、というか生まれて初めて、映画そのものというより、
「原作ではどうなんだろう」
という見方を終始してたような気がします。
だから、映画だけの評価だと、もしかしたら⭐︎3くらいなのかもしれませんが、
ストーリー展開とキャラへの造詣、史実の穴を埋める人物像への色付けに
【スケールのでかい二次創作】(褒めてる)
のような求めていた整合性と、少しファンタジー要素を混ぜた
絶妙なバランス感覚を感じて唸りました。
役者陣に関して言うと、主役は想像通り安定の濃さで、
「まぁ、こう作ってくるよね」
と、少しの共感性羞恥を感じつつ、
菅田将暉のひと言目で「裏番長、こいつか!」感が滲み出て、
他の役者陣が引き立てまくって流れを持っていく中、
吉高由里子さまの、最後の声色変化の迫力で、無事昇天。
初期の段階で展開は想像つくのに、ガッカリ感を全部演技で超越されてしまった。
ってか、撮影順がなんとなく透けて見えてた気が。
モックン、最後に向けてきっと体重絞ったでしょ?
で、最後ら辺のシーン、初期に撮影した?(笑)
髭生やして誤魔化してたけど、
……まだ恰幅いいぞ……
なので、原作は未読のままですが、本日から早速読みます。
もしかして、同じ直木賞作家◦山本兼一の「利休にたずねよ」以来の衝撃作なのか!?
と期待して読み始めようと思います。
村重×黒沢×本木×観客 スーパーエリート戦国大名とその頽落を造形する147分の牢獄スーパーライブ
「進めば極楽、退けば地獄」
浄土真宗本願寺派が超簡単念仏のパワーでありえない巨大組織に成長し、カネ、ヒト、テッポウを吸い込んで織田勢と天下をめぐって死闘を繰り返していた。民は戦いへ駆り立てられ、長島一向一揆2万人は信長の身内さえ殺しまくりで最後は信長の怒りの煉獄に飲み込まれた。この物語世界では巨大教団の事務次官レベル?のお嬢の千代保は、その信長でも政治判断で殺せなかった、(使いたくない言い方だが)上級国民だ。いまは村重の裏で、なんやかや良かれとやっている。
信長から大名職を仰せつかり、長く城に縛り付けられてたら、いつの間にやら自分が反信長キャラにされて、絶望的な状況に追い込まれていた。秒で変わる教室の空気みたい。
だが村重はとてつもなく瀬戸際で有能だった。内心では自分の鎖を解き放ち、軍師と宗教妻と天下のパワハラ・ジェノサイド上司そして有岡城と地元がちがう部下たちに包囲されながら、しらっとした顔で、それと分からぬまま、茶器と共に脱出してみせる。シラート突破大名としてあらたかに顕彰したい。その首元のストールっぽいアクセントの毛皮はやはりフォックスですか?
黒沢清監督自身が映画の多様な読取りをよしとする人だと思うので書きますが、村重は後の出来事は全て覚悟の上で、まず味方をけむに巻きながら城を出た人だという解釈をさせて頂きました。まあ、よりエグい話の味わいの方が自分の好みなので。
戦国の世が疎ましくて仕方ない。村重も千代保も家康も、たぶん信長もそうだったと思うけどね。人の生き方って色々あって面白いですね。秀吉が村重の過去をどう思って、なにを許して話し、お茶を飲んでたのか興味が尽きないです。実際の後日譚としては、村重は、茶会の際に自分を裏切った高山右近を褒めた秀吉に反射的にツッコんでしまい、怖くて何日か本気でビビり倒してたとか、実に面白くてお笑い芸人のセンスがある人ですね。でも村重が死守した茶器を一点、秀吉が今の2億円前後で買い取ったそうで、オケラの人への援助なのか心遣いなのか分からんけど、村重が気にならない武士はいない中、そういう所が秀吉は秀でているのでしょうかね。それとも名器だからに過ぎないのか。村重がその金をなにに遣ったかは分かりませんけど、徳なり、善行なり、たくさん積んでてほしいものです。
たまたま黒田官兵衛の息子、松寿丸改め黒田長政については事前に知っていたので、本作途中で死んじゃったように言われたところは、事実なら徳川幕府が逆回転しながら関ヶ原にブラックホークダウン?する話なので、それを想像して笑いながら観ていました。
長政は親並み以上に有能で、懸命に天下人たちに仕えたので、本人は首のすげ替え…じゃなく人丸ごとのすり替えをされてない本物の筈です。
戦国時代のリアルな中間管理職?歴史に疎くても見入ってしまう、地味ながらも唸る心理戦
事前知識なしで挑む、ひさしぶりの黒沢清監督作品
黒沢清監督作品を観るのはひさしぶりでしたが、今回は事前知識を一切入れずに鑑賞しました。実を言うと、私は日本史に決して詳しくありません。「黒田官兵衛は頭がいい人」「織田信長は怖い人」という極めて大雑把なイメージしか持っておらず、本作が史実に沿った話なのか完全な創作なのかも分からない状態からのスタートでした。しかし、結論から言えば、そんな歴史に弱い私のような視点からでも、十分に引き込まれる面白さを持った作品でした。
命がけの戦いと、荒木村重の「中間管理職」的な哀愁
物語の展開自体は淡々としていますが、その中で描かれる人間模様に独特の面白さがあります。「お殿様ってこんなに自分で色々と動いちゃうの?」と新鮮な驚きを感じつつも、周囲の堅物家臣たちや職人肌の強い曲者たちに気を配り、政治や血筋の板挟みになっている姿が非常に印象的でした。
命がけの戦いをしている真っ最中であるにもかかわらず、そこから透けて見えるのは、現代にも通じるような「中間管理職」としての苦悩と大変さです。この泥臭くリアルな人間関係の描写には、歴史の知識を超えて深く共感させられるものがありました。
黒田官兵衛の助言と、見入ってしまう長回しの妙
劇中、黒田官兵衛のアドバイスを頼りにしながら物事は静かに進んでいきますが、終盤に明かされる「最後の戦略」の鮮やかさには思わず唸らされました。
また、演出面では千代保との少し長回しになるシーンが秀逸です。じっくりと時間をかけることで生まれる独特の緊張感と空気感があり、スクリーンから目が離せなくなるほどの強い引力がありました。派手なアクションに頼るのではなく、その時代を感じさせてくれる、じわじわと見せる演出のテンポ感が非常に心地よいです。
ラストに向けて「最終的にどうなったの?」と先を引かれつつも、最後には「あぁ、良かった」とすとんと腑に落ちる、心地よい満足感を与えてくれる結末でした。
歴史モノという高いハードルを意識させず、誰もが知る歴史の裏側にある「人間ドラマ」として純粋に楽しめる一作です。黒沢監督らしい丁寧な演出と、最後まで飽きさせない心理戦の妙を堪能させてもらいました。
淡々として深み感じられず
歴史には詳しくなく、原作も未読の状態で『黒牢城』を観に行きました。
村重が織田家から寝返り、説得に向かった官兵衛が幽閉され、最終的に村重は城を去り、妻を含め一族が処刑された──その程度の知識しかありません。作中では家臣の寝返りなど、さまざまな人物が登場しますが、彼らが村重にとってどの程度の側近なのか、史実に基づいているのかも分からず(自分の知識不足もありますが)、把握しづらい部分がありました。「ミステリー」と聞いていたので、一本の大きな謎をじっくり解いていくのかと思っていました。しかし実際には、細かな出来事を幽閉された官兵衛に次々と相談し、短時間で謎が解けてしまう展開の繰り返しで、ややあっけなく感じ、深みがあまり得られませんでした。
肝心の黒幕の動機も「御仏の教え」といった理解しにくいもので、当時の人々が神仏を強く生きる指針として信仰していたのだろうとは思うものの、腑に落ちにくい印象でした。
最後は残虐な場面まで描かれるのかと思いきや、処刑の場面は字幕での説明のみで終わりました。
良い役者が揃ってるのに、何を見物にしたいのかメッセージ性や映画のポイントが自分にはよく分からなかったです。村重の心の葛藤を感じ取るという事だとしても感情の起伏もインパクトに欠ける印象でした。
ユニークなミステリ長編時代劇
原作末履修
城はタマたマ男だけ!!女もいるじゃん!
2026年映画館鑑賞47作品目
7月1日(水)イオンシネマ新利府
6ミタ0円
原作は『インシテミル 7日間のデス・ゲーム』『氷菓』の米澤穂信
監督と脚本は『旅のおわり世界のはじまり』『スパイの妻 劇場版』『蛇の道』『Chime』『Cloud クラウド』の黒沢清
ロケ地
兵庫県丹波篠山市
篠山城跡大書院
滋賀県彦根市
彦根城
兵庫県姫路市
姫路城
三重県伊賀市
伊賀上野城
兵庫県明石市
明石城
京都市東山区
東福寺
京都市右京区
大覚寺門跡
京都府長岡京市
楊谷寺
京都府宇治市
萬福寺
滋賀県大津市
日吉神社
様々な城で撮影している
貸し出し期間が限られていたからだろうか
粗筋
1578年(天正6年)織田勢に属していた荒木村重は戦から離れ有岡城に戻り籠城し信長に対して謀反を起こす
説得するために訪れた信長の軍師・官兵衛の要求を拒否し帰さず殺さず牢に閉じ込めた
村重側は毛利軍が加勢することを期待したがそれはなかなか叶わず人質がいるにもかかわらずねがえり続出し苦しい立場に
そんな折に人質の安部自念が殺された
犯人はわからない
そこで村重は知恵を借りるため官兵衛の元に
ヒントとなる歌を詠む官兵衛
それを元に謎を解く
これをきっかけにその後も何度か官兵衛の知恵を借り難題を解決するがその一連の裏には意外な黒幕の存在が
本格戦国時代劇ならでは歴史的言葉遣いの味わい
籠城という密室状態と極限状態
官兵衛を持ち込んだミステリ
時代劇というものはタイムスリップものでない限りネット社会という日常から解放され歴史絵巻に一応は没入できる心地良さがある
茶人でもある村重にモックン
久能整でお馴染みの菅田将暉を官兵衛役に抜擢する心憎さ
吉高由里子以外ほぼ女性俳優は出てこない
厳密に言えばそうではないが主要キャストに女優は彼女だけなのは確か
それゆえに男臭いというかオッサンくさい
そのためか信長が登場する村重の回想シーンに登場する首を斬られる女たちは強く印象に残る
この経験で荒木村重は織田を裏切り殺さない主義を押し通すバックボーンになった
残虐な信長に何度も何度も何度も嫌悪感を示してきたが中村錦之助やキムタクが演じると素っ頓狂なキャラの一面も手伝い「かっこいい」とコロッと参ってしまう不思議
家臣の戦国武将に近藤芳正や矢柴俊博
現代劇ではしょぼいおじさん役が多い印象だが今回は籠城真っ最中の侍のピリピリとした緊張感がヒシヒシ伝わってくる
ファンには申し訳ないが村田ひろゆき原作の漫画『ころがし涼太』のエピソードも手伝い真面目になればなるほど涼でありながらアイドルなのに暑苦しい顔が面白い宮舘涼太
だいたいにして村田ひろゆきのようないかにもヤンマガ的な絵柄は好きじゃない
当時の田舎のヤンキーが愛読し今もその雰囲気から完全に卒業できていない少々痛いおじさんおばさんを連想してしまう
僕は鳥山明桂正和北條司いのまたむつみ美樹本晴彦高田明美のようなイラストが好きで過去のトラウマも手伝い脂っこい泥臭いヤンマガは好きじゃない
ラストは尻切れトンボ感ハンパない
史実では城に残った侍は全員斬首された
千代保など河原で斬首
めんどくさくなったのか残りの女子供は建物に閉じ込めて生きたまま焼き殺した
そのシーンがない
生き延びた村重は道薫と名乗り茶人として余生を過ごしましたとさチャンチャン
めでたしめでたし
えがったね
じゃない!
あのシーンがバッサリとカットされた背景はメインデッシュが大幅にぶれてしまうからだろう
デザート無しのフルコース
『カルメン故郷に帰る』にストリップのシーンがないようなものだろう
エンドクレジットで感じたことだが時代劇の俳優の芸名にオダギリジョーとかユースケ・サンタマリアはないなと
昭和30年代の東映なら幹部連中が絶対に許さないはず
片岡千恵蔵も遠山の金さんばりに物申すに違いない
当時はオープニングクレジットが主流のため尚更雰囲気ぶち壊し
京都は勿論のこと東京で撮影された現代劇でもかなり微妙
許されたのはフランキー堺とかそれ系統だけだろう日活だし
純粋にミステリーを楽しむなら本を読んだほうが良い
理屈を捏ねるよりこの世界観になかば沼ったほうが勝ち組
最後にもう一つ
邦画のポスターは出演俳優陣をビシバシと並べる傾向がとても強い
奴らから言わせればダサいスタイルが多い
それに比べてミニシアター系の洋画のポスターはシンプルであっさりしていて説明不足でわかりにくくそれが一部にはクールと高く評価される
なぜかというとこれはとても簡単なことで昔から日本人の多く一般大衆は映画の内容はともかく役者を観に行ったのだ
例えば無声時代の目玉の松ちゃんとか戦後まもない片岡千恵蔵とかそれが日本の娯楽映画の真髄であり伝統
役者の顔がたくさんあればあるほど情報としてありがたい
海外の映画はそうはいかない
だって通を除けば今の海外俳優なんてほとんどわからないのだから商業的に意味がない
ただあのクールと呼ばれるポスターでどれだけの集客を得られるかは甚だ疑問
美大出身の論評はお呼びじゃない
配役
籠城作戦を決行する有岡城城主で過去のトラウマから戦さ以外ではなかなか殺さない主義かつ茶人の荒木村重に本木雅弘
敵方の囚われの身ながら揉め事の解決のため村重の要請で知恵を貸す天才軍師に黒田官兵衛に菅田将暉
戦乱のたった1人の生き残りのトラウマのためか仏門に対する執着が激しい村重の側室の千代保に吉高由里子
荒木家の家老の荒木久左衛門に青木崇高
豪胆な僧形の武将で村重の家臣の瓦林能登入道に吉原光夫
村重の前妻の夫で開城を打診する北河原与作に坂東龍汰
荒木家の武将の中西新八郎に近藤芳正
荒木家の武将の池田和泉に矢柴俊博
荒木家の武将の野村丹後に木原勝利
傭兵部隊雑賀衆の鉄砲放の雑賀下針に柄本佑
雑賀衆の頭領の雑賀孫六に渋川清彦
村重傘下切支丹大名の高槻衆かつ高山右近の父の高山大慮に渡辺いっけい
事件の目撃者である寺男に上川周作
廻国の僧の無辺に荒川良々
官兵衛の家臣の栗山善助に前田旺志郎
天下統一を目論む残虐な武将の織田信長に坂東新悟
側近家臣・御前衆の組頭で「五本鑓」の一人の郡十右衛門にオダギリジョー
「五本鑓」の一人で刀の達人の秋岡四郎介にユースケ・サンタマリア
「五本鑓」の一人で鉄砲撃ちの伊丹一郎左衛門に河内大和
「五本鑓」の一人で怪力の乾助三郎に宮舘涼太
「五本鑓」の一人で槍捌きの名人の森可兵衛に吉岡睦雄
織田軍の武士の堀弥太郎に三浦健人
まだ少年ながら城の何者かによって殺される人質の安部時念に積木悠人
地下牢の牢番に越村友一
村重の近習に阿佐辰美
原作を知っていた方が楽しいのかも
伝奇時代劇ならそこを貫いてくれたら
織田信長に謀反を起こし有岡城に籠城した荒木村重。織田勢を釘付けにしながら毛利の援軍を待つ有岡城では不可思議な事件が起き始めていた。
物語の骨格としては荒木村重(本木雅弘)とそれをサポートする獄中の黒田官兵衛(菅田将暉)が事件に挑んでいく構図。シャーロックホームズよろしく難事件を解き明かしていく荒木村重と黒田官兵衛コンビ。
閉じ込められた異能の存在とのコンビという点では羊たちの沈黙を思わせる。
状況をコントロールしている筈の荒木村重。しかし実は動かされているのは自分じゃないのか。
そもそもなぜこのような不可解な事件が起きるのか。
有岡城へ仏の罰が下されたのではないかという恐怖と疑心、死ねば浄土へ行けると信じる一向宗の世界観と相まった不可思議な出来事。
今作は時代劇を題材にしたサスペンスのような顔をしているが伝奇時代劇である。
ホラー映画的なおどろおどろしさとサスペンス的な緊張感。
黒沢清監督らしい画面展開だ。
伝奇映画として見れば話の筋は通っているが、事件の謎解き、荒木村重の抱えるリーダーとしての苦悩、黒田官兵衛との心理戦と要素が多い。散漫な印象は拭えない。
加えて織田勢に囲まれて籠城を強いられながら不可思議な事件で仲間が死んでいくのにあまり慌てない荒木家臣団や、理由はあるにせよ非常時にすんなり謎解きへ没頭していく荒木村重の姿もリアリティを欠く。
時代劇に関心を持たない層に楽しんでもらえるようにサスペンス要素を持ち込んだと思われるが、同じような狙いを持った「木挽町のあだ討ち」に比べると要素を詰め込みすぎて作品として消化不良を起こしたと言わざる得ない。
映画の最終的な結論は「人は何に対して信を置くのか」という点にある。
最後の最後に人は何を信じるのか。
この映画は何を信じて作られたのか不明瞭である。
歴史の勉強になった
美学のぶつかり合い
人の命を尊重する武士の謎解きミステリー
1578年、信長に反旗を翻し居城である有岡城に籠城した荒木村重のもとに説得にやって来るが捕えられて投獄されてしまう黒田官兵衛が黒牢城(!)にいる間に起きる一連の不可解な事件の謎解きを城主村重と策士官兵衛で解き明かしていく時代劇ミステリー。
『木挽町のあだ討ち』 の鑑賞後に感じたのと同様、《時代劇ミステリー》というジャンルは、かつて一世を風靡した、なんとなく古風な時代の探偵、金田一耕助のシリーズなどと同様に、今後しばらく続いていくだろうと思われる。
本作について言えば、まず何よりも日本映画のオールスター揃いと呼べるくらい、キャストが豪華。吉高由里子と柄本佑の共演は(作中では絡みはないが)24年の大河以来ではないだろうか?そして、26年の大河の放映と本作の公開時期が重なるように村重の裏切りの場面が描かれていたのは偶然なのか、意図的なのか?もっと言えば、大河で半兵衛を演じていた菅田将暉が官兵衛を演じているのもややこしい。
冬春夏秋の四幕構成からなるストーリーについては、公式サイトにある粗筋以上のことを書くとネタバレになりそうなので(謎解きミステリーだし)触れないが、村重と官兵衛のやり取りを見ながら、「何かに似ている」とずっと思っていたのだが、よく考えてたら、『羊たちの沈黙』のクラリスとレクター博士のやり取りだった。
大河ドラマとはかなり異なるキャラクター造形で、人命を尊重し何よりも重んじる荒木村重と、人命をなんとも思わない織田信長との対比が鮮明。だからこそ、村重の妻、千代保の「民衆が恐れているのは死ではなく、その後も続く地獄だ」だから彼らは武士とは違って「死をもってしても救われない」ということばに重みがある。
めでたしめでたし…?
大河ドラマ等で度々描かれた、荒木村重謀反による黒田官兵衛地下牢監禁から信長への投降までの間に、こんな事あったらいいな~の物語。
一つの殺人事件?が発生してそれが複雑に絡んだ人間関係によって、一筋縄では解けない謎となり…みたいな話かと思ったら。
人質の少年が殺された!え!?凶器が無い!?なんで!?どうして!?うーん!わからない!!監禁中の官兵衛に聞いてみよ!!
家来が敵の首を獲ったぞ!え!?何故か死んでるのに表情が変わってる!!こーわい!なんで!?どうして!?うーん!わからない!!監禁中の官兵衛に聞いてみよ!!
密使を頼んだ坊主が殺され、高っかい壺消えた!え!?誰が、いつの間に、なんで!?うーん!わからない!!監禁(以下略)
その結果じわじわと戦に関係の無いところで家臣が死んでいき…。
信長の命令で些細な罪を理由に女達を斬首した事で、以降なるだけ殺生をしたくない人物として荒木村重が描かれていたのがまた…。(官兵衛としては単に信長に対抗してるだけと言われてはいた気がするが)
最終的に有岡城に残った妻子達がどういう目にあったか、史実と言われる話では知っているので、なんか爽やかに「茶人として長生きしました」と終わられるとすごくモヤモヤした感じが残った。
名探偵官兵衛
タイトルなし(ネタバレ)
戦国の世。
織田信長に叛旗を翻し、有岡城に籠城する荒木村重(本木雅弘)と摂津勢。
織田の使者・黒田官兵衛(菅田将暉)を村重は牢屋に幽閉する。
そんな折、場内で不可思議な殺人事件が発生。
謎を解けぬ村重は官兵衛の知恵を借りることにする・・・
というミステリー仕立ての時代劇。
時代劇だが、やはり黒沢清作品。
ただし、黒沢清作品にはいつもなら『何だかよくわからない…』ところも多々あるけれど、今回はほぼない。
原作があるからかしらん? と思った。
いやよくわからないのは、結構な大物俳優でも、ぱっと見ではそれとわからないように撮っている点か。
意図はわかるが、豪華俳優陣を期待した向きには、相当裏切られた感があるのではなかろうかしらん。
さて、全編は、黒澤明『蜘蛛巣城』+『羅生門』の雰囲気。
前者は、吉高由里子演じる村重の妻・千代保が醸し出している。
「化(げ)に恐ろしき女性(にょしょう)」だ。
洗っても洗っても血が落ちぬ・・・は『蜘蛛巣城』の山田五十鈴そのまま。
さらに、引いた画面の暗さが、その印象を強める。
後者の『羅生門』は、村重詮議のシーンが同作の御白洲のシーンを彷彿させる。
本木雅弘演じる荒木村重の風貌も、両作の三船敏郎に似ている。
『蜘蛛巣城』も『羅生門』も、いくつかの判じ物(ミステリ)をまじえた時代劇だし。
長回しが多いのは、本番時の俳優陣への配慮と撮影時間の短縮の狙いもあろう。
メイク・衣装着け前に入念にリハーサル・段取りを行なっているだろうが。
やや俯瞰気味のカメラポジションが多いのは、長回しで芝居全体を撮るためか。
官兵衛が繋がれる牢の地面の凸凹はタルコフスキー『ストーカー』を思い出したなぁ。
テーマ的には現代に通じる。
組織(システム)に対する抵抗、暴力に対する非暴力。
鎖に繋がれた官兵衛は『羊たちの沈黙』のレクター博士なのだが、ひとの心を操るのはクラリスに相当する村重なのが興味深い。
時を経て再鑑賞したい一編。
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