廃用身

劇場公開日:2026年5月15日

解説・あらすじ

現役医師の作家・久坂部羊が2003年に発表した同名デビュー小説を、染谷将太が主演を務めて映画化したヒューマンサスペンス。

デイケア施設「異人坂クリニック」に通う高齢者の間では、院長の漆原糾が考案した画期的な治療が密かに広まっていた。コストパフォーマンスに優れた介護を目指すその医療行為は、「廃用身(麻痺などにより回復見込みがない手足のこと)」をめぐるもので、「身体も心も軽くなった」「厳しい性格が柔らかくなった」などと予想外の“好ましい副作用”が現れたという。噂を聞きつけた編集者の矢倉は、老齢期医療に革命を起こす可能性を感じ、漆原に本の出版を打診する。しかし、デイケアに関する内部告発が週刊誌に流出し、さらに患者宅で衝撃的な事件が起こったことで、すべてが暗転していく。

理想を追い求めるあまり合理性と狂気の狭間へと踏み込んでいく医師・漆原を染谷将太が怪演し、編集者・矢倉を北村有起哉、漆原の治療で人生を取り戻した高齢者・岩上を六平直政、漆原の妻・菊子を瀧内公美が演じる。監督・脚本は「家族X」「三つの光」などで国内外から注目を集めてきた𠮷田光希。

2026年製作/125分/PG12/日本
配給:アークエンタテインメント
劇場公開日:2026年5月15日

オフィシャルサイト

スタッフ・キャスト

監督
𠮷田光希
原作
久坂部羊
脚本
𠮷田光希
製作
花田正史
エグゼクティブプロデューサー
川村英己
企画
楠智晴
プロデュース
楠智晴
プロデューサー
藤井宏二
共同プロデューサー
加藤毅
撮影
志田貴之
照明
高井大樹
録音
加唐学
美術
石毛朗
装飾
志武屋由一
衣装
川本誠子
佐藤愉貴子
ヘアメイク
板垣実和
小道具
能登小麻子
特殊メイク・特殊造型
織田尚
VFXスーパーバイザー
立石勝
編集
古川達馬
音楽
世武裕子
レコーディングミキサー
野村みき
サウンドエディター
パク・ウルビン
キャスティング
伊藤尚哉
助監督
松倉大夏
制作担当
原田博志
特別医療協力
成尾宗浩
藤井咲樹子
宣伝プロデューサー
張京鐸
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映画レビュー

4.0 Aケアについて、あなたはどう思った?

2026年5月16日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

「あなたはどう思った?」

鑑賞後、これほど様々な人の意見を聞きたくなる作品はないかもしれない。

超高齢化社会へと突き進む今、将来は3人に1人が老人となる未来が待ち受けている。
そんな中で問題となる介護の問題。
その問題の解決策として、主人公が閃いたひとつの革命的とも言えるようなケアプラン。

人によっては非道だ、倫理観からおかしいと言う人もいるかもしれないが、私は正直「あり」だなと思ってしまった。

今は珍しくもなくなった、脳死の人からの臓器移植や、性転換手術も、最初は批判をたくさん浴びた。
けれど今では、ひとつの医術として確立している。

そして全ての医療やケアは、100人が100人中最高の結果になるとは限らない。
そのケアがハマる人もいれば、ハマらない人もいる。
そんなことは考えればわかることなのに、新しい選択肢を提示する人間に対して、固定概念から強い拒絶反応が向けられるのもまた現実なのだと思う。

前半から後半にかけて、主人公が自分の信念や自分という人間を疑い始めていく過程は、見ていてとても苦しかった。
映画用にマイルドにはなっていたが、原作はもっとやりきれない感じで終わっている。
彼がしてきたことは、間違ってないと私は言ってあげたい。

“面白い作品”という言葉で片付けるには、あまりにも重く、苦しい。
それでも鑑賞後、頭の中で問いが何度も反芻され続ける。
そんな、強烈な余韻を残す作品だった。

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AZU

4.0 重要な問題提起。論点ぼやける展開をどう評価するか

2026年5月18日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

悲しい

怖い

知的

医師兼作家である久坂部羊の小説のうち4作がすでにドラマ化されたが、映画化は今回が初。参考のためWOWOW制作のドラマ「神の手」をU-NEXTで視聴したところ、映画「廃用身」とテーマやストーリー展開で似通った部分があると感じた。その点にも言及しつつレビューを書いてみたい。

「神の手」を未読・未見の方のため手短にあらすじを。患者に寄り添う心優しい外科医・白川は、末期がんに苦しむ青年と親代わりの伯母から積極的安楽死の処置を懇願され、葛藤の末に実施。だが青年の母親からテレビを通じて「息子は白川に殺された」と糾弾され、マスコミと世間からバッシングを浴びてしまう。同じ頃、大物政治家を後ろ盾に安楽死の合法化を目指す業界団体と反対派の対立も激化していく。

2作の主な共通点・類似点としては、主人公の医師が「患者と家族のため」と信じるものの法律的・倫理的に危うい医療行為を実施すること、その行為をよく思わない人物を通じて大きく報道され世間のバッシングを浴びること。また、映像化2作品ともに北村有起哉が出演し、それぞれの主人公の行為を支持する立場のキーパーソンを演じていることも挙げられる。

「廃用身」の主人公は、かつて外科医として働き、現在はデイケア施設の院長を務めている漆原(染谷将太)。脳梗塞により両脚と左腕が麻痺した通院者・岩上(六平直政)に、壊疽した左脚を切断する手術を推奨し、体重が軽くなって床ずれが治り気持ちも明るくなったなど好ましい効果を得られたことをきっかけに、高齢者の回復見込みのない腕や脚を切断(amputation)する手法、通称「Aケア」を次々に実施していく。

漆原の考えでは、Aケアは患者自身だけでなく、介護する家族や施設職員の肉体的・精神的負担も減らせる合理的な医療行為。ただし、切断する必要がないのに、本人や介護者にとって合理的だからという理由で麻痺した腕や脚を切断することが倫理的に許容されるのかどうか。それが本作の重要な問題提起であり、介護の現場における人手不足と過重労働に言及されていることも考え併せれば、フィクションとはいえ極めて現実的かつ今日的な問題を扱っていると言えよう。

少子高齢化が進む社会で、高齢者や障がい者にかけられる予算も人的リソースも有限ななか、人道的・倫理的な理想と合理性・経済性という現実の折り合いをどうつけていくのか。この難題はこれから先リアルさを増していくだろうし、「廃用身」は避けられない将来の問題に目を向けさせるきっかけにもなり得る。

ただ個人的に残念なのは、医療や介護における倫理と合理性という普遍的な問題を深掘りする方向ではなく、漆原個人の性格的特質や、岩上が豪邸に住みながら家族から虐待されているなど、特殊なレアケースからトラブルに至る展開のせいで、論点がぼやけるように感じられること。また、世間がAケアをヒステリックに非難する背景には、麻痺した腕や脚を失って「五体満足」でなくなった人がかわいそう、不幸そうという感情があり、それは実のところ内なる偏見や差別意識にも関係があるはずだが、この論点も映画ではほとんど触れられない。

とはいえ、小説であれ映画であれ大衆娯楽として成立させる必要があることを考えれば、問題提起はそこそこにとどめ、大勢が楽しめるようセンセーショナルな展開と帰結を優先する判断があったとしても仕方ないか(ドラマ「神の手」でも、安楽死の是非をめぐる論点がぼやける展開が気になった。原作者のストーリーテリングの傾向なのかもしれない)。社会派ドラマとして観るか、サスペンスホラーとして観るかによっても評価は変わるだろう。

染谷将太は、サイコパス気質のキャラクターや、後天的な理由で感情をうまく表せない人物を演じると本当に巧い。表情や発話の冷めた感じと内に秘めたナイーヴさの配分が絶妙なんだと思う。

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高森郁哉

4.5 Aケア

2026年6月6日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:映画館

悲しい

怖い

驚く

評価がいいので8:15から観ました。いやぁ~なかなかの作品です。介護虐待や介護する側が介護に心身ともに疲労している介護問題を考えさせられる。染谷が考案した直らない麻痺した四肢を切る手術。そのお陰かどうかは確定してないが手術によりメリットが出る。結果的に世に広まることはなく消えた。観客に問題提起する映画。染谷をはじめ俳優陣の演技が素晴らしかった。介護に関わっている方や医療関係者は観るべき作品です。観て損をしない映画です。

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junjun

4.5 映像表現力が凄い

2026年6月6日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館
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にゃおにゃお