我々は宇宙人

字幕メガネマーク 音声ガイドマーク

劇場公開日:2026年9月25日

解説・あらすじ

ふたりの少年の30年にわたる友情と再会を通して、人が生きることの意味を静かに問いかけた長編アニメーション映画。

平成の日本の田舎町。自分が“普通”であることに悩む小学3年生の内気な少年・翼は、クラスの人気者で“特別”な存在である暁太郎と出会い、親友になる。ふたりだけの遊びや意味のない会話、夕暮れの帰り道など、小さな世界の中でかけがえのない時間を過ごす翼と暁太郎だったが、日常は少しずつ歪みはじめる。暁太郎はクラスの中で浮いた存在となり、噂や視線が彼を囲むようになる。翼はその変化に気づきながらも、何も言えず、何もしないという選択を重ねてしまう。やがて取り返しのつかない事件が起こり、ふたりの関係は大きく変わっていく。

YOASOBI「優しい彗星」のMVなどを手がけたアニメーション作家・門脇康平が長編初監督を務め、緻密な世界観と写実的な映像表現で描き出す。“普通”の青年・翼役で坂東龍汰、“特別”な存在の暁太郎役で岡山天音が声優を務め、オーディションで選ばれた槙木悠人と中込佑玖が幼少期の翼と暁太郎の声をそれぞれ担当。音楽プロデューサーのYaffleが音楽を手がけた。2026年・第39回東京国際映画祭「アニメーション」部門上映作品。

2026年製作/118分/PG12/日本
配給:TOHO NEXT、NOTHING NEW
劇場公開日:2026年9月25日

オフィシャルサイト

スタッフ・声優・キャスト

全てのスタッフ・キャストを見る

インタビュー

関連ニュース

関連ニュースをもっと読む

フォトギャラリー

映画レビュー

3.5 あの頃の私たちは、きっとみんな宇宙人だった

2026年9月27日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

ただ脳内で思い出すレベルではなくて、あの時感じた嫌な感じとか、感触とか、温度とか、そういう五感すら呼び起こすほど、描写が細かすぎた。

小学生男子と女子の言動とか、ところどころ禿げた学校の廊下とか、体育館の分厚いカーテンの裏側とか、夏休み前の重いランドセルとか、フローリングの床に頬を当てたときの冷たさとか。

忘れていたけれど、絶対に誰もが心当たりのある細かい「あるある」が、これでもかというほど散りばめられていて、小学生の頃のリアルな光景がそのまま目の前に蘇ってくるようだった。

ただこの作品は、「エモいねー」「懐かしいねー」と、ほんわかニコニコしながら観る作品では決してない。

なんなら、突き刺すような痛みと目を背けたくなるような恐怖で、胸を抉られる作品だ。

あの狭い教室の中でジャンル分けされ、ヒエラルキーが決まり、多感な時期に味わった苦い経験は、その後の人生にも大きく影響してくる。

この作品はそんな小学生時代から、大人になるまでのふたりの少年の関係性を描いた作品だが、それぞれの目線から同じ時間軸を見てみると、まったく異なる景色が広がっているのが面白い。

そして、自分にとっては何気ない一言が、相手にとっては深く傷つくものだったり、恐怖を感じるものだったりすることを、とてもわかりやすく描いている。

私もきっと、知らないうちに誰かを傷つけていたことがあったんだろうな。

絵のタッチは独特で、時々ホラー的な演出もあるから、好き嫌いは分かれそうではあるけれど、アニメーションでここまで生々しく人間同士の関係性を描いたのはすごいと思った。

とくに最後。

翼にばかり執着していた暁太郎のことを、実はポジティブな感情で見ていた人がいたことを知るシーンがいい。

自分が思っている自分と、他人から見えている自分は、必ずしも同じではない。

誰かにとって苦い記憶として残っている時間の中にも、自分の知らないところで、自分を好意的に見てくれていた人がいたのかもしれない。

どこかで掛け違えてしまったボタンを直すには、もうだいぶ時間が経ってしまったふたりだけれど、それぞれがそれぞれの道で、幸せに生きていってもらいたい。

コメントする (0件)
共感した! (3件)
AZU

4.5 サスペンスの要素もある悲痛な友情のヒストリー

2026年10月11日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

悲しい

驚く

仲良しだった元少年2人の30年に渡るヒストリーを、前半は片方の、後半はもう片方の視点で振り返る物語は、悪戯心や自覚のない裏切りによって破綻していく友情の残酷を描いていて、心が締め付けられる。クラスでも特別な存在だった少年と、方や普通の少年の無邪気だった時間が、ちょっとした誤解や狡さで徐々に変化していく。根拠のない噂をきっかけに除け者にされてしまう級友を庇えずにこっそり距離をとってしまう。もしかして、かつて子供の頃に両者どちらかに近い経験をしたことはないだろうか?

『我々は宇宙人』と銘打つ本作は、子供の頃、宇宙人だと噂された特別な少年と、成長しても徹底して普通に生きている少年のその後も描いて、この社会に多くいるはずの人とは違う個性を持った者たちに対して、力強いエールを贈っている。タイトルと中身の大胆な乖離が楽しいと言ったらない。

キャラクターの心情を独特の荒削りな描写で表現するアニメ映像、そして、少年期特有の恥じらいを言葉に置き換えていくヴォイスキャストの力が、ことごとく新鮮で画面から終始目が離せない。効果的な時間のシャッフルが物事の表裏、意外な真実を提示して、サスペンスのような効果も生んでいる。

最も強く感じることは、人間には忘れるという賢い才能があるということ。それでも友情は蘇るということ。今年の代表する作品を遅ればせながら劇場で観られて良かったと思う。

コメントする (0件)
共感した! (0件)
清藤秀人

5.0 大変に完成度が高い

2026年9月30日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

緻密な画がすごい。レイアウトも素晴らしい。アニメーションとしての完成度が非常に高い。物語と絵の方向性が合致している。この絵柄でこそ、最も深く描けただろうという内容。なにより、脚本の完成度が高い。これを20代の若者が監督したというのは事件だ。
冒頭、タクシーのフロントガラスを垂れる雨。同じ風景が続くかのような高速道路。これらの情景描写のレベルが非常に高くて、登場人物の心情に深々と観客を入り込ませる。ディテールが細かいのでリアリティが高く、深々とリアルに入り込ませるので、心をえぐる力もものすごく強い。観客は傍観者で居続けることが難しい。
まるで運命のように必然として大人になって再会する2人の主人公は、今度は全くの偶然に出くわす。並走する車のシーンはなんだか、濱口竜介監督の作品のようだ。偶然性がもたらす奇跡的な感動。しかし、それはほんの一瞬ふいに訪れるのみ。大変に味わい深い作品。
映画館の暗闇で鑑賞するのが最も良い鑑賞体験になる。

コメントする (0件)
共感した! (28件)
杉本穂高

3.5 エンディングが作品に寄り添いすぎていて惜しい

2026年10月11日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:映画館

松本大洋を思わせるタッチで、こどものしなやかな動きや大胆なアニメーションの構図が、観ていておもしろかったです。

作品は挿入音楽と効果音、色彩が巧みに使われており、空気感を作ってくれていましたので、今キャラクターがどんな気持ちなのか迷うことなく観られます。印象的だったシーンは翼目線でのギョウ太郎がひとりで教室にいたシーンです。ギョウ太郎の様子は怖くてぶわっと鳥肌が立ちました。

私が特に好きだった部分は翼がギョウ太郎と初めて知り合い仲良くなった頃、暗かった色彩が一気に鮮やかになったところです。翼の心情がアニメーションに反映されていて、観ていて嬉しくなりました。

作品のなかでひとつ残念だったことはエンディングの歌詞が作品に寄り添い過ぎていたことです。エンディングを聴いて涙がひっこんでしまった事は初経験でした。コーラス聴いて、それは安直すぎるっ!っておもったので、気になる方はぜひ確かめていただきたいです。

コメントする (0件)
共感した! (0件)
ぽん