マーティ・シュプリーム 世界をつかめ

劇場公開日:2026年3月13日

マーティ・シュプリーム 世界をつかめ

解説・あらすじ

ティモシー・シャラメが主演を務め、1950年代のニューヨークを舞台に、実在の卓球選手マーティ・リーズマンの人生に着想を得て描いたドラマ。

卓球人気の低いアメリカで世界一の卓球選手になることを夢見るマーティ・マウザーは、親戚の靴屋で働きながら世界選手権に参加するための資金を工面する。ロンドンで開催された世界選手権で日本の選手エンドウに敗れたマーティは、次回の日本での世界選手権への出場を目指す。不倫相手のレイチェルが妊娠し、卓球協会から選手資格を剥奪され、資金が底をつくなか、あらゆる方法で遠征費用を集めようとするマーティだったが……。

引退した有名女優ケイ役でグウィネス・パルトロウ、マーティの友人役でグラミー賞受賞アーティストのタイラー・ザ・クリエイターことタイラー・オコンマ、マーティの恋人役でオデッサ・アザイオン、ケイの夫でインク会社社長のミルトン役でケビン・オレアリー、日本人選手エンドウ役で東京2025デフリンピックの卓球日本代表・川口功人選手が共演。「アンカット・ダイヤモンド」「グッド・タイム」のジョシュ・サフディ監督がメガホンをとり、第98回アカデミー賞では作品賞、監督賞、主演男優賞など主要部門を含む計9部門にノミネートされた。

2025年製作/149分/G/アメリカ
原題または英題:Marty Supreme
配給:ハピネットファントム・スタジオ
劇場公開日:2026年3月13日

オフィシャルサイト

スタッフ・キャスト

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受賞歴

第83回 ゴールデングローブ賞(2026年)

受賞

最優秀主演男優賞(ミュージカル/コメディ) ティモシー・シャラメ

ノミネート

最優秀作品賞(ミュージカル/コメディ)  
最優秀脚本賞 ロナルド・ブロンスタイン ジョシュ・サフディ
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映画レビュー

3.5 汚い国宝みたいな男の話

2026年3月14日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

私は、この主人公のように、自分の目的のためならなりふり構わず行動できる人間にはなれないし、なりたいとも思わない。
だから見ていて共感は一切なく、生理的に受け付けない部分も多かった。
それでも、彼のように生きられる人間はある意味すごいなと、ほんの少しだけ羨ましくも感じてしまった。

目的のためなら他者を平気で騙し、巻き込みながら突き進んでいく姿には、どこか『国宝』の主人公と近いものを感じる。
ただしこちらには、あちらのような美しい瞬間はほとんどない。
言うならば、『汚い国宝』といったところだろうか。

まさかこれが実話をベースにした話だとは思わず、鑑賞後すぐに調べてしまった。
もちろんエンタメとしてかなり脚色されているのだろうが、いくつかのエピソードや人物像は実在の人物にも近いようで驚いた。

王子様のようなビジュアルで知られるティモシー・シャラメが、今作ではかなり振り切った破天荒なクズ男を演じている。
口は達者で、沸点は高く、強烈なナルシスト。
次から次へとフルスロットルで行動を起こす彼に、観客は2時間半振り回され続ける。

卓球が題材ということもあり、日本がたびたび登場するのも面白い。
昔のハリウッド映画では、日本人設定なのに日本人俳優が演じていなかったり、日本語がどこか不自然だったりすることも多かった。
その点、本作ではエンドウ役を「東京デフリンピック」卓球男子団体で銅メダルを獲得した川口功人選手が演じており、しっかり日本人がキャスティングされているのが嬉しかった。

タイトルや予告からは想像できないほど、荒々しくて刺激的な作品。
共感できる人物はほとんどいない。
それでも、ここまで欲望と衝動に正直に突き進めるという意味では、彼はある意味で誰よりも純粋なのかもしれない。

好きなタイプの映画ではない。
でも、妙に頭に残り続ける一本だった。

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共感した! 6件)
AZU

3.5 動機は純粋、手段は不純、ハングリーなマーティの金策珍道中

2026年3月14日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館
ネタバレ! クリックして本文を読む
コメントする 3件)
共感した! 31件)
ニコ

3.5 モデルの人物への敬意を欠いたアメリカ的傲慢さ

2026年7月26日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

驚く

主人公マーティ・マウザーがひどく身勝手なろくでなしに描かれているのだが、モデルになった卓球選手マーティ・リーズマンの人生は実際どうだったのか。鑑賞後にWikipediaでMarty Reismanの項を読んだり、YouTubeで「Top 10 Things Marty Supreme Got Factually Right and Wrong」と題された動画を見て、もっとリーズマンの人生に寄せても十分に魅力的で面白い映画を作り得たのでは、という気がした。

特に目立つ創作(事実との違い)を3つ挙げる。1. ピンポンの世界にまで影響を及ぼす大物実業家ロックウェル(家父長を象徴する存在)はモデルのいない完全な創作。2. マーティが成り上がるため元有名女優でロックウェルの妻を利用しようとするエピソードも創作。3. 妊娠させた恋人への責任を果たさず逃げていたエピソードも創作。

これらから考えられるのは、脚本も共同で書いたジョシュ・サフディ監督は、強権的な父親の超克(象徴的な父殺し)を経て自らが父になる(自立した男になる)物語類型を描きたかったのでは、ということ。劇中で明示されるようにマーティはユダヤ系アメリカ人、サフディ監督もそう。敬虔なユダヤ教徒の家庭は伝統的に厳しい家父長制になり(父=家族における神の代理人)、それゆえにエディプス・コンプレックス(父殺しと超克)をテーマにするユダヤ系の映画監督はスピルバーグを筆頭にけっこう多い。

実在の人物をモデルに創作エピソードを加えて物語を作ること自体はもちろん問題ない。だが、ストーリーを“劇的”にする狙いで、元になった人物の人間性や倫理観に悪いイメージを植えつけるような創作を加えるのは、元の人物への敬意を欠いた傲慢さの表れだ。前にも「メイ・ディセンバー ゆれる真実」と「ヒットマン」(ともに2024年日本公開)で同様の指摘をしたが、米国の映画業界の一部にある悪しき傾向だと思う。

日本人観客にとって救いは、マーティのライバル・エンドウ(演じるのはデフリンピック卓球日本代表の川口功人選手)がクールでフェアなアスリートとして描かれていること。エンドウのモデルは佐藤博治選手で、1952年の世界卓球選手権ボンベイ大会で優勝候補の一角だったマーティ・リーズマンを初戦で破り、優勝を果たしている。

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高森郁哉

4.5 スコセッシ発⇒サフディ行きの暴走列車みたいな映画

2026年3月31日
PCから投稿

主人公のマーティという名前はマーティン・スコセッシとも重ねたネーミングであるという話も納得するしかない、2020年代に現れた最もスコセッシ的な映画ではないか。というのも、トッド・フィリップスの『ジョーカー』とかも完全に70年代頃のスコセッシをやりたい!という気持ちが溢れかえっているものの、どこかスタイルをなぞっている窮屈さも感じてしまっていた。ところがこちらは、スタイルもそうだが、とにかく感心できないクソ馬鹿野郎が無茶をするエネルギーに、呆れながらも目が離せなくなるというスコセッシマジックというか逆スピリチュアルみたいなマインドの方を受け継いでいて、映画は主人公に共感とかなくても絶対に面白いと証明してくれてもいる。それでいて、暴走が暴走を重ねすぎてもう何がなんだかわからないが、もはや感動的なほどエモーショナルになる終盤にいたって、ああ、やっぱりサフディ兄弟(兄の単独監督作だけど)の映画だなと、いつものアノ感じだけど、ただのフォロワーなんかじゃない人なんだなと深く納得させられるので、サフディ兄弟は今後も追いかけていきたいです!

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村山章

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