ラスト・サバイバー

劇場公開日:2026年8月28日

解説・あらすじ

米作家ピーター・ヘラーのベストセラー小説を、「ブレードランナー」「オデッセイ」の巨匠リドリー・スコットが映画化したサバイバルアクション。謎のパンデミックで人類の大半が死滅した終末世界を舞台に、愛犬とともに生き延びるパイロットが希望を求める姿を描く。

謎のパンデミックにより人口の大半が失われ、生き残った者たちが奪い合いを繰り広げる荒廃した世界。パイロットのヒッグは、元軍人のバングリーと共同戦線を張ることで日々を生き延びていた。心の拠り所は、愛犬ジャスパーの存在と亡き妻の記憶だけ。そんなある日、彼のもとに無線を通じて謎の声が届く。世界の終わりになお希望が残されているかもしれないと考えたヒッグは、その声に導かれるように、未知の空へと飛び立つ決意を固める。だがその先に広がっていたのは、凶暴な動物や容赦ない襲撃者がはびこる、殺すか殺されるかの過酷な現実だった。

主人公ヒッグ役を、「フランケンシュタイン」で第98回アカデミー助演男優賞にノミネートされたジェイコブ・エロルディが演じる。共演はジョシュ・ブローリン、マーガレット・クアリー、アリソン・ジャネイ、ガイ・ピアースら。

2026年製作/119分/PG12/アメリカ
原題または英題:The Dog Stars
配給:ディズニー
劇場公開日:2026年8月28日

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映画レビュー

4.0 世界を滅ぼすのは、本当にウイルスだけなのだろうか。

2026年8月30日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

未知のウイルスによるパンデミックで、世界人口の大半が死滅した世界。

荒廃した大地で生き残った人々は、マッドマックスを思わせる暴徒たちから身を守りながら、生死が隣り合わせの日々を送っている。

こうしたディストピア作品に、息つく暇もない激しいアクションを期待する人も多いだろう。その点では、確かに少し物足りなく感じるかもしれない。

けれど、極限状態に置かれた人間の姿から、さまざまなことを感じ取りたい人には、きっと響く作品だと思う。

私はとても面白かった。

この世界で、自ら生活基盤を築き、自給自足しながら生きている主人公たちは、過酷な環境に置かれてもなお“人間”であり続けている。

その一方で、「無いものは奪えばいい」という精神で生きる者たちは、もはや獣のようだ。
他人が汗水を流して築き上げたものさえ平然と奪い、それを喜ぶ。

世界を滅ぼすのは、本当にウイルスだけなのだろうか。

コロナが世界中に広がったとき、私たちは感染を恐れ、他人に疑心暗鬼になり、できるだけ人と触れ合わず、関わらずに生活していた。

あの数年間を経験したからこそ、この作品を観ながら強く感じた。

文明が崩壊すること以上に、人と人とのつながりが絶たれ、誰かを信じることができなくなってしまうことこそ、本当の“終末”なのかもしれない。

主人公は過去の思い出に縛られながら、どこかにもっと良い環境が残されているのではないかと、まだ見ぬ世界に希望を抱いている。

けれど、本当に大切なのは、ここではないどこかを求め続けることではなく、今ある現実を受け入れ、その場所にしっかりと根を張ることなのかもしれない。

過去でも、まだ見ぬ未来でもなく、今ここで、誰かとともに生きていく覚悟を決めること。

それこそが、荒廃した世界で人間らしく生き残るために、最も必要なものなのだと思った。

ツンデレでタフな強強ジジイたちと、顔面が強い美男美女の2人。
主要な4人のキャラクターは全員好感度が高く、彼らの関係性に人間の根幹を見た気がした。

張り詰めた場面の合間に映し出される雄大な自然も美しく、荒廃した世界との対比に思わず目を奪われる。

派手なアクションだけではなく、極限状態における人間らしさや、人とともに生きることの意味を静かに問いかけてくる作品だった。

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AZU

4.0 終末世界の希望のありか

2026年8月29日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館
ネタバレ! クリックして本文を読む
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ニコ

3.5 リドスコの職人芸サイド。

2026年8月31日
iPhoneアプリから投稿

リドリー・スコットの職人監督の面が前面に出ているのは『オデッセイ』に近いと思うし、実際にすでにある脚本を気に入って監督を引き受けたという経緯も共通しているらしい。穿った見方だとは思いつつ、ワシは名人なんだからディストピア描写もあるあるでいいじゃろ!みたいな居直りはあると思うし、ジョシュ・ブローリン無双のあのアクションシーンなんかはストーリーの運び的に不要な気がするのだが、見せた方が観客だって面白いだろ!と脳内のリドスコ翁は言っている。そういう割り切りの良さと自信がほどよくマッチした娯楽作であり、部分的にモサくてダサいのもリドスコなりの大衆娯楽としての割り切りなんだろうという気がする。なのでリドスコ本来の冷笑的な部分が抑えめなのも、別に本人が優しい境地に辿り着いたとではないよたぶん。と、リドスコのことばかり考えてしまうのもまた述中にハマっている気がします。

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村山章

3.0 リドリー作品としては珍しく「引き算」の映画に思えた

2026年8月31日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:映画館

スコット作品というと私は、光と影が同居する力強い筆遣いを思い浮かべる。しかし今作は、その題材こそ「ポスト・アポカリプス」「サバイバル」という思わず身構えたくなる類のものだが、いざ物語が始まると序盤は驚くほどスローペースで、上空から森や山々、さらには誰もいなくなった廃墟の街を俯瞰しながら、この残された世界をゆったりと垣間見せていく。激しい戦闘シーンも皆無ではないが、決してそれらが絶え間なく織りなされるわけではない。少なくとも「エキサイティング」「うねるようなドラマ」という形容は相応しくない。むしろ本作は、世界がこんな状況になった最も悲劇的な部分をあえて具現化せず観客の想像力に委ねている節も含めて、スコット作品としては稀に見る「引き算」のような一作だと感じた。普段は本編鑑賞だけで感情もお腹も一杯だが、今回はリドリーの意図やこだわりを逆に聞きたくなる。そうやって初めて完結する映画のように思える。

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牛津厚信