愚か者の身分のレビュー・感想・評価
全418件中、1~20件目を表示
どんなに身分が違っても、「アジの煮付けの食卓」は普遍の幸せのかたち。
第2回大藪春彦新人賞を受賞した西尾潤の同名小説を、北村匠海主演、綾野剛と林裕太の共演で映画化。
愛を知らずに育った3人の若者たちが闇ビジネスから抜け出そうとする3日間の出来事を、
それぞれの視点を交差させながら描き出す。
本作品は第30回釜山国際映画祭コンペティション部門に選出され、
主演の北村匠海、共演の林裕太、綾野剛の3名がそろって最優秀俳優賞を受賞。
この快挙だけでも作品への期待が高まるが、
スクリーンが暗転した瞬間、その理由に深く納得した。
3人の演技は圧倒的にリアルで、観客を一瞬で作品の世界へ引きずり込む。そこに描かれるのは、少し痛くて、かなり残酷な現実。
けれど、この映画がただの残酷さで終わらないのは、「誰もが共感できる幸せのかたち」をきちんと描いているからだ。
それを象徴するのが、作品中に何度かでてくる「アジの煮付けの食卓」。
そして、半グレの梶谷(綾野剛)を信じて待ち続ける女・由衣夏(木南晴夏)の存在。彼女の存在は、荒んだ現実の中で“人が人を信じる力”を静かに示していたと感じる。
夏目漱石は言った。
「天は人の上に人を造らず、人の下に人を造らず。」
けれど本当に、すべての人が平等なのだろうか?
生まれた環境や境遇の違いが、
そのまま人生の“スタートラインの差”になってしまうこともある。
それでも。
たとえ身分は違っても、みんなで囲むアジの煮付けの食卓は、誰もが望む“普遍の幸せ”の象徴なのだと思う。どんなにヤサグレていても、自分を信じてくれる誰かがひとりでもいれば、人は生きていける。
正しさはひとつじゃない。
答えも、ひとつじゃない。
エンドロールに流れるTuki.の「人生讃歌」もまた素晴らしい。
その歌詞がこの作品の余韻をさらに深めてくれる。
派手な演出はないけれど、
じっくりと役者の演技を味わいたい人、
心に残る物語を求めている人にはぜひ観てほしい。
劇場を出たあと、静かな夜道で、
ふと“自分の幸せのかたち”を考えたくなる——そんな映画です。
3人の愚か者はただの愚か者だったのか
何不自由なく幸せに暮らす人から見た彼らは「愚か者」なんだと思う。
けれど安易に「愚か者」なんて言葉では片付けられないほど、今も八方塞がりの若者を餌食にする環境や愚か者をつくるシステムが蔓延っている。
彼らがその道に行かないようにするためにはどうすればよかったのか。
裏社会ものなので、痛々しいシーンや胸糞悪いシーンもある。苦手な人は目を背けたくなるかもしれない。
私も正直裏社会ものは、理不尽な暴力と、主人公がいくら一生懸命でも悪いことをしてるということが引っかかり、心をどこに置いたら良いかわからなくなる感じがして、あまり好んでみるジャンルではない。けれど、こういうジャンルでしか得られない気付きや感情があるのも確かだ。
今回主要3人を演じた北村匠海さん、綾野剛さん、林裕太さんの演技があまりにも素晴らしく、先日の釜山国際映画祭で3人とも最優秀俳優賞を受賞したというのも納得だった。
構成もそれぞれ3人からの視点で分かれているので、3人のそれぞれの想いや葛藤がクローズアップされていてとても見やすかった。
今日明日を生きるために踏み込んだ世界がここではなかったら、彼らは普通の幸せの中生きられたんだろうか。
闇の中でそれでも友を想い、助け合う姿に胸が苦しくなるが、その中で光る優しい心が眩しく、美味しい手作りご飯を友と一緒に食べるような普通の幸せこそが尊いものだと感じさせてくれる作品だった。
日本版パルプフィクション
存在すら知らずに、予備知識0のままスコアの高さに惹かれて鑑賞しました
【WOWOW】
キャストが旬な感じですかね
まあ何かそこまで個人的には好きな感じの俳優さん達ではないですけど
ただストーリーの構成や展開はトリッキーで素晴らしかったです👍
マモル、タクヤ、梶谷という闇ビジネス(戸籍売買など)に手を染めた3人の若者の視点が章立てで展開されて
一見するとバラバラに見える登場人物たちのエピソードや時間軸が徐々に収束し、最終的に一本の線で繋がっていくみたいな👏
映画的にはちょっとカッコいいやつです◎
⭕️形式だけで言えば、何か暗ーい日本版パルプフィクションみたいな
そんな感じだと思います
ただパルプフィクションと徹底的に違うのは、遊び心がありません
だから会話は面白くないです
暴力描写もグロいですが、大したこと無いです
何かグロいけど、綺麗すぎるんですよね、見せ方が
そこもっと汚くて良かったんですよね、描写が描写なだけに
カッコつけてほしくなかった、そこだけ残念
⭕️ラストは見事に伏線回収されてスッキリ👐
しかもずっと暗い温度感で物語が進むので、吹っ切れた表情に、あの狭い部屋、小テーブル、西陽が当たるアングル、アジを食す2人!
間違いないです、ええ👍
神々しい
食べる=人間の生きる本能
それを最後のアジの定食で落とす
ヤバい!
観終わった後になんか幸せな気持ちになれました
観て良かったです◎
じわじわと沁み入る
終わった瞬間は、えっ、終わりなんだ?と思ってしまったが、わたしは裏社会の中の一部の人たちの、ある数日を見させてもらっただけなんだ、と気づいてじわーっとくるものがあった。
映画はおわったけど、彼らの人生はまだ続いている。
田舎に住んでいるので浮世離れした話にも見えるけど、連日闇バイトなどの報道がされていることを思うと、こんな思いをしている人たちが実際にいるのかもしれない。(だからといって犯罪を犯していいわけではないが。)
タクヤとマモルが信頼関係と兄弟愛のような感情を築いていった過程はとても美しく、心根に温かいものがある人たちなのだと感じた。私たちと同じ人間なんだな。同じ人間なのに。同じ人間だから。いろんな気持ちにさせられた。
最後に…ホテルでの綾野剛の胸板は相当ヴヴッとなりましたフフフ
結構ずっしりくる
救いのあるヤクザ映画。
愚か者、というより不遇な者というべきだろう、主役の3人共恐らく本人達には罪は無く育った家庭環境が悪かっただけのように思える。最後には皆パクられるのだろうが、救いのあるヤクザ映画。恐らく原作が良いのだろう、リアリティーが感じられたし主役の3人(特にマモル役)の演技が良かった。
裏稼業の青春ぽくて複雑
タイトル通り。
立ち直るタイミングもポテンシャルもある若者が
タイミング失いながらどんどんのまれてく感じで
観てるのがつらいけど、楽しそうなシーンも最高で闇バイト系で今まで観た映画で特に好きです。
友情、信頼、真面目さが苦悩のうえで選んだもの
だからか薄っぺらくなく、環境さえ悪くなければと
なんだかもやもやしました。
若いからこその真面目さや仕事や仲間への思いが
大人にのまれたり、助けられたりしてく姿が
すごく痛々しくて、結構辛かったです。
裏稼業や闇バイトで働く、頭がいい人達の闇をみた感じしました。誘惑に負けない環境にいることの大切さとか、信頼の大切さとか、みてよかったです。
闇ビジネスに手を染めながらも、何とか足を洗おうとする若者たちの姿は...
ありえる設定と、ありえないシーン。
せつないなあ、つらすぎる話で気分が悪くなった。
救いがないんだよね、このストーリー。
感情移入しやすい人には、NGじゃないかな。
鑑賞するなら、元気な時に。
まさに今の闇を描いた作品。実際にあるんだろうね、こうやって
ハマっていく人たち。ただ、目玉をえぐられた人間が、
普通に会話できますか? 医者に見せずに治るの?
令和版『傷だらけの天使』ノワールの金字塔!
あったかくなるね
裏社会に生きる3人の若者のそれぞれの視点で映画が構成されている。映画が進むにつれて,抜けていた部分,疑問が解消されていくのがテンポよくて楽しめた。
3人ともろくな育ちをしていなくて,特に下っ端のマモル、タクヤがヨシヨシしてあげようとしたら反射的に身構えるあたり,悲しい過去が浮き彫りになる。こんなエピソードと2人ではしゃぎ回る楽しそうな場面があってからの,最後である。
3人がお互いを思って取る行動に心があったかくなった。小さくて良いから幸せになってほしいなぁと思う。ただ,刑事たちの存在が描かれたということは、この先どうなるかわからないのだろうなぁ。マモルの最後の場面,これもその表れなのかなぁと思った。
「歌舞伎町映画」の最高峰
今年に入って新宿・歌舞伎町が舞台の映画が増えている。いずれも生きづらさを抱える若者が居場所を探す話だった。本作もそんな「歌舞伎町映画」の一つ。歌舞伎町はもはや駆け込み寺みたいな場所に見えているということだ。本作に登場する歌舞伎町はちゃんとしてたし、結構リアル。行ったこともあるネカフェが登場したりして、とても身近な感覚だった。そんな意味でも親近感が持てる。
居場所をなくし歌舞伎町にたどり着いた彼ら彼女たちに残された道はどうやっても犯罪がからんでしまう。本作でも結構がっつりと犯罪に手を染める若者が登場する。3人の視点で語られる方式だ。タクヤとマモルがやっているのは戸籍の売買。そんなに頻繁に買いたいってやつが現れるのだろうかと心配になるが、意外とニーズがありそうな気もする。序盤はそんな彼らの手法が描かれる。
2人の関係はただの仲間というより、兄弟分に近い存在。マモル→タクヤと視点が変わることで彼らの背景が徐々に明らかになる。希沙良も含め、同情できる部分があって、ただの犯罪者と断じることができない。ここらへんがこの手の物語のキモでもある。
どうしようもなく悪い奴らもいれば、悪いことしてるのに悪い奴になりきれない人もいる。ただ、半グレ組織の上にいる奴らは本当に悪そうだった。ここらへんの演出が素晴らしい。日本映画で闇ビジネスをここまでエグく描けるのはなかなか勇気がいる。あんな金歯怖すぎるよ!
梶谷の視点となる最終章はいろんな伏線が回収される。どん底にあっても人の優しさは存在するってことか。本当の兄弟のように思いあった彼らがたどり着いた結末は、バッドエンドに見えるがわずかな希望を見いだせるものだった。爽快感はないが、嫌な気分でもない。こんな結末もアリだよなと思わせる。クライムサスペンスだけど、青春ものだし、義兄弟を描いた物語でもある。なかなかムネアツな映画だった。「歌舞伎町映画」(そんなジャンル分けはないが)の最高峰だと思う。原作でも続編があるから、映画でもぜひ続編を作ってもらいたい。
めっちゃ面白かった
愚か者たちにも生きたい世界がある
後を絶たない闇バイト。
人を騙し、盗み、時には人の命すら奪う。お金や己の利の為だけに。
血も涙も無い非情なクズども。
しかし中には抜け出したくても抜け出せない者もいるのでは…?
3人の若者が過ちに気付き、闇バイトの世界から足を洗おうともがく…。
タクヤとマモル。
SNSで女性に成り済まして相手を誘い出し、戸籍の売買で生計を立てている。
この世界に入ってきたばかりのマモルをタクヤが気に入ってあれこれを教え、マモルはタクヤを兄のように慕う。
やってる事は犯罪だが、稼いだ金で町に繰り出し、若さを謳歌。
それぞれ暗い過去を持つ。マモルは異父兄弟に暴力を振るわれ、タクヤは自身も戸籍を売り…。
複雑な生い立ちや信頼出来るのは互い同士。2人はいつも一緒だった。
ある日、タクヤが姿を消した。指示役や幹部が血眼でタクヤを探す。
何かトラブルに巻き込まれたのか…? マモルもタクヤを探すが…。
マモルの視点。
闇バイトの世界に入り、タクヤとの出会い。
突然居なくなったタクヤを心配する。指示役や幹部からも疑われ…。
そんな折、タクヤが幹部の金をパクったという話を聞く…。
タクヤの視点。
戸籍売買の闇バイトを始めた頃~マモルとの出会い~身に何があったか…?
以前戸籍を売った男がまた金に困り連絡してくる。指示役から今度は臓器売買しろとの指示。
相手を侮蔑しながらも、切り出せない。
仕事仲間と会い、密かに頼み事。マモルにも秘密で何かをしようとする…。
自宅アパートに戻った時、何者かに襲われ…。
梶谷の視点。
タクヤが会っていた人物で、タクヤにとって唯一信頼出来る兄貴分。
幹部の手下から連絡。言われた場所に行くと、そこはタクヤの自宅アパートで、タクヤが…。両目を抉り取られ…。
手下からの指示。組織ご用達の病院に運べ。
何があったか聞くと、指示役と共謀して幹部の金を盗み。指示役に出し抜かれる前に金を他の場所へ隠すも、指示役が全ての罪を押し付け。
金を盗まれ、臓器が必要だった大口顧客との取引もおじゃん。
怒り狂った幹部に遂に捕まり、タクヤの臓器を売り飛ばす。
組織の命令に逆らえない梶谷。
病院へ向かっている途中、死んだと思ったタクヤは生きていた。
助けを乞われるが、命令に反したら自分がヤバくなる。
やむなく命令通り病院に向かうが、その間もタクヤから助けを。
梶谷は覚悟を決めた…。
闇バイトの世界にゾッとする…。
絶対的縦社会。上の命令には絶対服従。逆らったら…。
騙しや盗みは当たり前の仕事。戸籍売買に臓器売買。
一番恐ろしかったのは両目抉り。怖すぎる…。
生きていたタクヤにもびっくり。まあ確かに、目玉を抉り取られただけで死ぬとは限らないが…。
絶対に逃がしはしない。執拗に追う。
梶谷はタクヤの助けの声に根負けし、一緒に逃げる事を決める。
GPSを付けられていた。外した筈が、身を隠したホテルに幹部と手下が…!
てっきり梶谷の彼女が裏切ったと思ってたが、GPSはもう一つ…!
おっとり彼女の裏切りでなくて良かったが(だったら人間不信になってしまう)、闇バイト組織の恐怖の極み…!
こんな世界に居続けたら、自分が自分で無くなる。
深みに飲み込まれる前に、まだ抜け出せる。
犯罪に手を染めたが、まだやり直せる。
こんな世界から足を洗いたい。いや、足を洗う。
だが、一人では無理。誰かの助けが必要。
信頼出来る相手。こんな世界に於いても育まれた絆。
タクヤを連れて一緒に逃げる梶谷に救われた。
電話連絡で色々力になってくれた梶谷彼女に救われた。
タクヤからマモルへ。
盗んだ金の隠し場所。ヒントは“鯖”。
以前梶谷に頼んでいたのは、2人分の新たな戸籍。
この金と戸籍で人生をやり直せ。
兄貴分からもう2度と会えないかもしれない可愛い弟分へ。
北村匠海や綾野剛の熱演。林裕太のフレッシュさも光る。
組織側は非道さを、主人公ら側は救いや温もりを、周りも好アンサンブル。
永田琴の演出と向井康介の脚本は、闇バイトから抜け出そうとする若者たちの姿を、ヒリヒリするほどに、哀しく、若さ故の過ちや刹那的の幸せ、堪えきれないこれから先への渇望を、鮮烈に描いてみせた。
ラストは一定の救われた着地となった。
が、タクヤと梶谷をマークする刑事。2人も闇バイトで罪を犯した。それを償わなければならない時が来るだろう。
マモルも無事新天地へ。彼にもその時が来るかもしれない。
悪しき過去を精算して、愚か者たちにも生きたい世界がある。
綾野剛見たさに鑑賞
凄かった…。凄くハラハラドキドキさせられた。
北村匠海さんの目ん玉くり抜かれたシーンは強烈。
生々しいシーンの連続で目が離せない。
主演の3人ともどうにか生きていてくれて良かった…。
帰る場所を求めて
まず、林裕太さんの演技がすごく良かった。初めて目にした方であったが、作品にのめり込ませる魅力のある持ち主だと感じた。
物語としては犯罪サスペンスではあるが、メインの要素は犯罪のスリルというよりは、社会の隅に追いやられ、犯罪をせざるを得なかった者たちの責任やそこでの人間関係が中心となって進んでいく。彼らは最初から悪人だったわけではない、彼らの置かれた環境が、彼らを闇へと引きずり込んでいった面も大きい。タクヤとマモルの関係性は兄弟のようなもので、お互いの優しさが闇ビジネスという健全な場所から離れた空間でしか成立させられていないところが苦しい。愛情や絆といったもので、正しい救済を確実にできるわけではない、現実の厳しい面を突きつけられているようだ。
梶谷もタクヤの兄貴のような存在で、闇の世界にタクヤを引き込んだことへの責任も感じており、それぞれが完全な悪といったわけではなく、加害者であり被害者の側面も持ち合わせている。このままじゃだめなのは分かっているけども、どうしたら、という気持ちがこちらにも伝わってくる。
彼らは確かに過ちを犯している、言葉通りの愚か者だ。だが、もし自分が同じような環境に置かれたとき、彼らのような過ちを犯さずに過ごすという選択が取れただろうか。犯罪組織の末端の人間の中には、やりたくてやっているというより、逃げ場を失った結果そこにいる者も少なくはないだろう。犯罪は良くない、関わってはいけない、その言葉で終わらせていいのだろうか。その環境に行き着くしか道のなかった人が生まれていることから目を背けてしまっている我々がいることを、伝えようとしている、経緯を見せようとしている、そんな作品ではないか。
ラストも希望は残るが完全な救済ではない。社会が彼らを見る目は変わるわけではないし、居場所はより狭くなって大変なことも多くなるだろう。しかし、彼らは各々の業を背負い、前を向き始めている。僅かな優しさが骨身に沁みる作品であった。メインのイメージ画像で3人が仲良く写っている描写があるが、実際に彼ら3人が一緒になるシーンはない。だが、彼ら3人の友情は確かに存在していたと、そう思わせてくれた。
全418件中、1~20件目を表示







