劇場公開日 2026年2月20日

「父と娘の人間模様を突き抜ける深度で描いた傑作」センチメンタル・バリュー 牛津厚信さんの映画レビュー(感想・評価)

4.5 父と娘の人間模様を突き抜ける深度で描いた傑作

2026年2月20日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

これは『わたしは最悪。』を凌ぐヨアキム・トリアーの最高傑作と言っていい。父娘の人間模様を扱った物語でありながら、しかしそこには映画監督の父と女優の娘という、まさに”表現者”ならではの葛藤もあり、各々のプロフェッショナリズムが炸裂する場面では、舞台芸術、劇中映画のワンシーンなど、ハッとするほどの格調高さが充満する。と同時に、これは視線の物語だ。「わたしを見てくれてる?」という思いを抱えたまま大人になった女性と、それに対してきちんと返せぬまま時が経ってしまった父。目線は今なお絶えず交錯する。そして面と向かって言葉にできない思いは一冊の脚本の中に。繰り返されるセリフや場面、家の成り立ち、一族の歴史といった要素すら織り交ぜつつ、傷つきながらも懸命に答えを、帰るべき場所を模索する二人の姿はリアルで感動的だ。それを支える妹、外からの新鮮な風を吹き込ませるファニングといい、全てが完璧に機能し合っている。

コメントする
牛津厚信
PR U-NEXTなら
映画チケットがいつでも1,500円!

詳細は遷移先をご確認ください。