シンプル・アクシデント 偶然

劇場公開日:2026年5月8日

解説・あらすじ

イランの巨匠ジャファル・パナヒが手がけ、2025年・第78回カンヌ国際映画祭でパルムドールを受賞したサスペンススリラー。不当に刑務所に投獄された人々が復讐を試みる姿を、スリリングかつユーモラスに描いた。

かつて不当な理由で投獄されたワヒドは、自分を拷問した看守と思われる男と偶然出会う。咄嗟に強引な手段で男を拘束し、荒野に穴を掘って男を埋めようとするワヒドだったが、男のIDカードを見ると、復讐すべき相手と名前が違っていた。男も人違いだと言う。実は投獄中、目隠しをされていたワヒドは、男の顔を見たことがなかった。男は本当に復讐の相手なのか。確信が持てなくなったワヒドは、ひとまず復讐を中断し、同じ男に拷問された友人を訪ねることにするが……。

反体制的な活動を理由にイラン政府から映画制作を禁じられながらも活動を続けるパナヒ監督が、自身が二度にわたって投獄された経験と、同房で出会った人々のリアルな声から着想を得て手がけた。「チャドルと生きる」「熊は、いない」でベネチア国際映画祭金獅子賞、「人生タクシー」でベルリン国際映画祭金熊賞を受賞しているパナヒ監督は、本作でカンヌ国際映画祭のパルムドールを受賞したことから、3大映画祭すべてで最高賞を受賞する快挙を成し遂げた。フランスとの共同製作作品で、第98回アカデミー賞の国際長編映画賞にフランス代表作品としてエントリーし、ノミネートを果たした。

2025年製作/103分/G/フランス・イラン・ルクセンブルク合作
原題または英題:Un simple accident
配給:セテラ・インターナショナル
劇場公開日:2026年5月8日

スタッフ・キャスト

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受賞歴

第98回 アカデミー賞(2026年)

ノミネート

脚本賞 ジャファル・パナヒ
国際長編映画賞  

第83回 ゴールデングローブ賞(2026年)

ノミネート

最優秀作品賞(ドラマ)  
最優秀監督賞 ジャファル・パナヒ
最優秀脚本賞 ジャファル・パナヒ
最優秀非英語映画賞  

第78回 カンヌ国際映画祭(2025年)

受賞

コンペティション部門
パルムドール ジャファル・パナヒ

出品

コンペティション部門
出品作品 ジャファル・パナヒ
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映画レビュー

4.5 滑稽さと背中合わせの戦慄。

2026年5月31日
PCから投稿
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村山章

4.0 復讐というジレンマと向き合う人間ドラマ

2026年5月21日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

パナヒが描く映画には、思想、空間、風習であれ、何かしらの自由を束縛する状況が盛り込まれる。もっとも、彼が当局の制裁を受けてからは「表現手段の制約」という二重性すら加味され、それでもなお「あっ」という物語構造を生み出し続ける点には敬服する他ない。本作における登場人物らの投獄経験はまさにパナヒと重なるが、ここで物語を一方通行にせず、きちんと「相手ありき」の交差点として描くところに意味がある。相手の身体的な特徴を「音」として表す手法も際立ち、それはある意味、忍び寄る運命の足音のよう。思えば、フィジカルな面で自由なはずの主人公もまた「復讐を果たすべきか否か」という命題への囚われの身であり、仮に復讐を果たしたならそれは彼自身の屈服をも意味する。このジレンマ。おそらく己の確信を疑い、常に問い続けることこそ人間のあるべき姿なのだろう。ベケット的な不条理さを伴いつつ、切実で根源的な核心を持った寓話である。

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牛津厚信

4.5 最悪の体制に映画で抗う。その尊さが胸を打つ

2026年5月11日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

笑える

悲しい

知的

各所で紹介されているように、イランのジャファル・パナヒ監督は反体制的な映画の制作や発言で当局から映画制作を禁じられたり、収監されたりしてきた。そうした自身の体験や受刑者らの声に基づき作った「シンプル・アクシデント 偶然」でカンヌ国際映画祭のパルムドールを受賞。3大映画祭すべてで最高賞受賞も大きく報じられたが、報道や表現の自由どころか人権さえもないがしろにされる最悪の体制下にとどまり、直接間接に体制を批判しつつヒューマニズムに訴える劇映画を作り続けるパナヒ監督に、世界の映画人たちが最大級の称賛を送っていることの表れだろう。

かつて理不尽に投獄された主人公が、自分を拷問した看守らしき義足の男を拉致する。だが人違いだとする男の主張に復讐心が揺らぎ、同様に義足の看守に拷問された知人たちを集めて確かめてもらおうとする。不当に投獄・拷問された人々と復讐という重い題材だが、ユーモア精神を忘れないのもパナヒ流。台詞の中でベケットの戯曲「ゴドーを待ちながら」への言及があるように、復讐の瞬間がいつ訪れるかと観客が待ち続けるなか、思わぬ邪魔が入ったり、お人よしにもほどがある人助けの一幕があったりして、復讐がいっこうに果たされないのも不条理劇のようでおかしい。

「音」に多くを語らせる点も、観客の想像をかき立てる巧みな演出であり、パナヒ監督が到達した境地を思わせる。

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高森郁哉

3.0 何度目かのVengeance is Mine

2026年9月5日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館
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三遊亭呼延灼

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