シラート

劇場公開日:2026年6月5日

解説・あらすじ

失踪した娘を捜すため砂漠のレイブパーティに参加した父と息子の旅の行方を、奇想天外なストーリーとクールなダンスミュージックを融合させて描き、本国スペインをはじめヨーロッパ各国で話題を集めたロードムービー。

ルイスは砂漠でのレイブパーティに参加したまま行方がわからなくなった娘を捜すため、息子エステバンとともにモロッコの山岳地帯から砂漠の奥地へと車を走らせる。やがて彼らは現実と幻覚が混濁するような野外レイブ会場にたどり着くが、そこにはすでに娘の姿はなかった。父子はレイブの参加者グループを追い、娘が向かったと思われる次のレイブ会場を目指すが……。

父ルイス役に「パンズ・ラビリンス」のセルジ・ロペス。「ファイアー・ウィル・カム」のオリベル・ラシェが監督・脚本を手がけ、製作にはスペインを代表する名匠ペドロ・アルモドバルが名を連ねた。タイトルの「シラート」はアラビア語で「道」を意味し、宗教的な意味においては審判の日に天国と地獄の上に架けられる細い橋を象徴するとされる。2025年・第78回カンヌ国際映画祭コンペティション部門に出品され、審査員賞など4冠に輝いた。第98回アカデミー賞では国際長編映画賞と音響賞にノミネート。

2025年製作/115分/PG12/スペイン・フランス合作
原題または英題:Sirāt
配給:トランスフォーマー
劇場公開日:2026年6月5日

オフィシャルサイト

スタッフ・キャスト

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受賞歴

第98回 アカデミー賞(2026年)

ノミネート

国際長編映画賞  
音響賞  

第83回 ゴールデングローブ賞(2026年)

ノミネート

最優秀作曲賞 カンディング・レイ
最優秀非英語映画賞  

第78回 カンヌ国際映画祭(2025年)

受賞

コンペティション部門
審査員賞 オリベル・ラシェ

出品

コンペティション部門
出品作品 オリベル・ラシェ
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© 2025 LOS DESERTORES FILMS, A.I.E., TELEFÓNICA AUDIOVISUAL DIGITAL, S.L.U., FILMES DA ERMIDA, S.L., EL DESEO DA, S.L.U., URI FILMS, S.L., 4A4 PRODUCTIONS

映画レビュー

4.0 衝撃的な映画体験にしばらく足が震えた。

2026年6月7日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

「面白かったですか?」と聞かれたら

「うーーん……面白いとは違うんだよな」と答えるし

「もう一度見たいですか?」と聞かれたら

「2度目は無い」と答える。

けれど、映画館で、Dolby Atmosで観ることの価値をここまで感じられる作品もなかなかない。
凄い作品だと思う。

特にこの作品は、何も知らない状態で見れば見るほど、濁流に飲み込まれ、コントロール不能になり、物語が進むにつれて自己と切り離される感覚に陥いる。

鑑賞後しばらくずっと心臓がドキドキしていて、足を一歩一歩踏み出すのに若干の恐怖感を感じるほどだった。
これは鑑賞ではなく、五感で体験する映画だ。
ストーリーや謎解きの答えを求めて観る作品ではない。
まず身体が反応し、その後でようやく意味を考えたくなる作品だ。

監督の オリヴェル・ラシェ は、自身がイスラム教徒であり、長年スーフィズム(イスラム神秘主義)と深く関わっていることを複数のインタビューで語っている。

スーフィズムとは『自我を手放し、神と一体化する』ことを重視する思想だという。
その考えを知った時、この作品が少しだけ腑に落ちた。

この世の出来事なんて、本当はほとんど自己コントロールできないし、理解できないことばかりだ。
次の瞬間、何が起こるかもわからない。
その事実を受け入れ、それでも前へ進む。

情報社会の中で、様々な選択肢があり、どれが1番最適で、効率的で、自分に合っているかを考える、頭の中で思考フル回転の日々を過ごす現代人には、ショック療法のように感じるかもしれない。

この作品は、不確実な世界で、それでも前に進むしかない人間を描いた衝撃作品だった。

心臓の弱い人は、心して見ることをおすすめする。

コメントする 1件)
共感した! 7件)
AZU

4.0 モロッコの荒野がラシェ監督に授けた死生観

2026年6月6日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館
ネタバレ! クリックして本文を読む
コメントする 1件)
共感した! 24件)
ニコ

4.0 砂漠のレイヴが想定外の方向へシフトしていく

2026年6月6日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

怖い

驚く

レイヴとは、クラブや野外で行われるダンスミュージック・イベントのこと。特に、野外では腹の底に響くような大音量がこのイベントの売りだ。本作『シラート』が描くレイヴはモロッコの砂漠が舞台なので、荒涼とした砂地や周囲の山々に響き渡る大音量のミュージックが、何とも言えないトリップ感を味合わせてくれる。単なる野外ライヴとも違う、自然を道具に使った音のアートみたいだ。

主人公の父親とその息子はそんなモロッコで出会ったレイヴァーチームと共に、砂漠のどこかにいるかも知れない失踪した娘の足取りを辿っていく。だが、途中から彼らの旅は娘の捜索ではなく、そこに死の恐怖が加わった地獄のロードと化していくのだ。

近隣の国では戦争が始まったことがラジオから聞こえてくる。近くで勃発した戦争の知らせと、地雷だらけの砂漠を旅する人々との対比は、何人たりとも、どこにいようとも、争いの時代と無縁ではいられないということだろうか。

父親を演じるセルジ・ロペスは、『ハリー、見知らぬ友人』('00年)の不気味な友人役や、『パンズ・ラビリンス』('06年)の冷酷な将校役で知られるスペイン映画界のスター。彼以外は、ほぼキャスティング・ディレクターがスカウトした演技経験ゼロの俳優たちで固められていて、彼らの圧倒的な存在感が映画の魅力を倍増させている。

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共感した! 17件)
清藤秀人

4.0 肌に体に圧倒的な状況が浸透していく

2026年5月31日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

本作ほど「感覚と身体で感じる」ことを強く意識させられる映画は滅多にない。冒頭から何もない荒野にスピーカーがドンと積み上げられ、レイヴ・パーティーのために集まった大勢の観客が爆音に身をくねらせる。そんな描写が続く中、明らかに場違いの父子は「人探し」という動機づけでこの地をさまよい、やがて他のレイヴァーの車輌を追って砂漠の旅人と化していく。スピーカー、砂漠、走行車輌(バン)とくると、どこか『マッドマックス』を思い浮かべたりもしてしまうが、しかし構造的にいうとこちらの映画の方が断然リアル。あらゆる説明を排除し、我々は言葉すら超越して、陶酔的に広がる状況に身を委ねるのみ。その上、中盤以降は極限の緊張状態が我が身を貫く。アラビア語で「道」を意味するタイトル通り、道なき道をゆくサバイバル。そこに一体何を重ね、どんな意味を見出すべきなのか。観客自身が各々の見方や解釈を問われているように感じられる怪作だ。

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共感した! 23件)
牛津厚信