ザ・ザ・コルダのフェニキア計画のレビュー・感想・評価
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滑稽な利権争いを風刺する寓話に、2020年代の世界が寄せてくる“笑えなさ”
ウェス・アンダーソン監督作品にしては珍しくグローバルに展開するストーリーで、1950年代に時代が設定されているのだけれど、中東の雰囲気を持つ架空の国フェニキアの利権に列強の思惑がからむあたりは、歴史的にもう少し古い「アラビアのロレンス」で描かれた頃を思わせもする。
スタジオ内に細部まで作り込んでジオラマのように構築した世界を、遠近法を強調したシンメトリックな構図でフレームに収めるこだわり。あるいは、愛すべき変人たち、わくわくさせる冒険といったウェス映画らしい要素は健在だが、現実の世界を思うと単純には笑えないもどかしさも覚える。
先に触れた「アラビアのロレンス」で描かれる1910年代、イギリスはいわゆる二枚舌外交(三枚舌外交とも)でユダヤ(イスラエル)・パレスチナ問題の原因を作ったし、他の欧米列強も発展途上国の資源や利権を獲得すべく裏工作したり武力行使したりしていた(もちろん明治以降の日本も遅れて真似をした)。他国の資源や利権をめぐる大国の身勝手な行動は、21世紀に入って収まるどころか、2020年代にむしろ再燃している。ロシアによるウクライナ侵攻、イスラエルとパレスチナの戦争、アメリカによるベネズエラとイランへの攻撃。
脚本も兼ねたアンダーソン監督は本作で半世紀以上前に時代を設定したように、はるか昔の利権争いを物語の要素に加えて風刺するつもりだったはず。だが、そんな寓話に近年の現実世界が寄せてきているのでは、という感覚が鑑賞中つねに引っかかり、無邪気に笑えないのがもどかしく、やるせない。
タイトルだけだとよくわからんが、近作では飛び抜けてとっつきやすいのでは?
もはやコマ撮りアニメであろうが実写映画であろうが、外に出てロケ撮影するのではなく撮影スタジオにセットを建てて一分の隙もなく映像をコントロールするようになったウェス・アンダーソン。箱庭的な美意識は揺らぐことはなく、観ていて息が詰まるような感覚に陥ることもあったが、本作はいささかネジの外れた親子の絆と冒険のお話という一本筋が通っているせいか、よりリラックスして楽しめた。妙な寄り道ばかりしているように見えるのも、人によっては退屈かも知れないが、そういうディテールにこそ神が、いやアンダーソンが宿っていたりするし、Netflixの短編以降、そういうムダなディティールに遊び心が戻ってきたように感じていて、本作の寄り道もいちいち愉快。まあこの辺の印象は観る側がアンダーソンに何を求めているかで大きく変わるとは思いますが。でもベニシオ・デル・トロ演じるザ・ザ・コルダが無茶苦茶だけど飛び抜けて魅力的なキャラであることは誰もが賛成してくれるのはないか。娘リーズル役のミア・スレアプレトンももともとウェス・アンダーソンの大ファンというだけあってどんなテンションの演技が必要なのか完璧にコントロールしていてみごと。
アンダーソン流の不意を衝くアクションに驚かされる
アンダーソン一座の巡業の季節がやってきた。近年は豪華キャストが横一列に人間模様を織りなすタイプが多かったが、本作では家族、そして傍若無人さと愛嬌を併せ持つ家長が旋風を吹かせる懐かしいスタイルへと回帰。だが、見せ方や取り扱う題材は従来とやや異なる。私が驚いたのは、その鮮烈かつ独特なアクションだった。とりわけ冒頭の飛行機爆破に至っては、いわゆる大作系のカタルシス的アクションとは次元の異なる、突然何が起こったか分からなくなるほどの瞬間的演出によって機能美と衝撃、双方の効果を提示してみせる。その後も幼子が放つ無数の矢といい、突如はじまるバスケの試合といい、アンダーソン作品に単なる精緻な構図の絵巻物とは別の、動的衝動がもたらされているのを感じる。時折、展開が速すぎたり、情報量が多すぎたりして咀嚼する時間が足りなくなるが、父娘が織りなす人生を変える旅路は味わい深く、ドタバタの先に待つ風景に心奪われる。
観る人を選ぶと思います
ウェス・アンダーソン監督らしい作風が存分に発揮された作品でした。物語は間延びをしたようなくらい淡々と進行しますが、その中に散りばめられたシュールなユーモアや皮肉の効いた描写が独特の味わいを生み出し、作品にしっかりとした印象を与えています。
また、豪華なキャスト陣も見どころのひとつです。守銭奴として描かれるコルダが実在の人物をモデルにしていると知り、その点にも驚かされました。
全体としては静かで落ち着いた作品ですが、どのような期待を持って鑑賞するかによって評価が分かれるタイプの映画だと思います。
他にも低評価レビューがあるように人を選ぶとは思います。
ウェス・アンダーソン作品が好きな人でなければ、VODや DVDで視聴すると、かなり観づらいと思います。
ウェス・アンダーソンの世界観
とにかく映像が美しい!
ストーリーはやや難解なところもあったが、アンダーソン監督らしい、コメディと映像美の掛け合わせが最高だった!!どこを切り取っても絵画のような美しさがあって、それだけでも鑑賞する価値があると思う。
でも正直ラストには少しガッカリしてしまった。おじヌバルも全然でてこなかったし、、、事業家をやめて、小さな料理店を父娘で営むという最後は良かったが、そこに至るまでが急すぎてびっくり。もう少しストーリーに厚みが欲しかったかも。
全てのシーンが絵になる
観客のカタルシスや共感を拒んでるような気がするのは、気のせい?
ウェス・アンダーソン作品らしいと言えばらしい。
●ドールハウスのように緻密な美術
●キャンディーカラー(鮮やかでソフトな色調)
●シンメトリーで平面的(決して立体的ではない)
●俳優たちはほぼ無表情(淡々としたオフビートな演技を行わせる)
●大人になりきれない子供じみた人間描写。
《ストーリー》
大富豪ザ・ザ・コルダ(ベニチオ・デル・トロ)が、
6度の暗殺未遂にめげず、自分の一大国家プロジェクト
「フェニキア計画」を進めながら、疎遠になってる娘との
絆を取り戻し人間性に目覚める再生の物語。
■主役のデル・トロの含み笑いみたいなポーカーフェイスが
まず楽しい。
母親をコルダ(父親)殺されたと疑う修道女の娘。
白いマトリューシュカ人形みたいな娘は、意外や有能で
酒豪で、コルダナが後継者に指名するのも成る程の人物。
殺しても殺しても死なない不死身のコルダと、それを見ても
動揺しない娘と元スパイの家庭教師。
まるでSPY×FAMILYみたいな側面もあり面白い。
コルダは富や財産の不毛さに気づき、娘との真の絆を築くことが
出来るのか?
★★いつもながらの精密で水緻密な箱庭的世界観。
泣いたり笑ったりしない人々の、心の声はなかなか届かないが、
だからこそ独特でブラックで面白いのかもしれません。
不死身かい?
武器商人で実業家のアナトール・ザ・ザ・コルダ、彼の計画とはフェニキア国の海運・電気・鉱山・鉄道の大インフラ整備事業計画、成功すれば150年は莫大な利益が毎年入るとされていた。彼の脱税や冷酷かつ強引なやり口により、ライバル企業や各国政府、スパイなど敵も多く何度も殺されかけた、度重なる飛行機襲撃、墜落したのに不思議と生き延びていましたね、不死身かい?。
彼の計画への妨害、資金不足から疎遠な修道女の娘リーズルを跡継ぎにしようと共に事業仲間を訪ねまわる旅に出るお話。父の生き方に反発、母殺しまで疑う間柄だったが次第に心変わり、まあ、父と娘の絆構築の物語でもありますね。
まあ、コメディ調で面白かったのは、トム・ハンクスとブライアン・クランストンが扮したサクラメント連合という投資家たちが、ザ・ザの計画に異議を唱え、どういうわけかバスケで勝負を決めようとするところ。機関車に設置したゴールに向かって奇想天外なスタイルでボールを投じていましたね。手榴弾が手土産代わりって尋常じゃないですね、母殺しの真犯人の伯父も自爆してました。ウェス・アンダーソンさんが原案から脚本、製作、監督迄と独壇場、作家性の強い独自の世界観、私にはちょっと苦手かな・・。
比較的見やすいウェス・アンダーソン映画
沁みる。
国を理想のインフラへと導いていく暴君の父と敬虔なクリスチャンな娘のドタバタコメディにトム・ハンクスやスカヨハ等の名優たちが周りで華を添える。ラストのカンバーバッチとか大笑いした。
金や権力や闘争では手に入らないモノ。一杯の酒と娘との静かなカードゲーム。
コルダの目論見は失敗に終わるが、手に入れたモノはかけがいのない宝だった。
この、小さい静かなほのかな終わり方、好き。
冒頭のグロいシーンからのラストはあったかい気持ちになった。爺ィの心に沁みた。掌編。
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