爆弾のレビュー・感想・評価
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もう一回取調べお願いします。
「爆弾」
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いきなり取り調べが始まっている導入部が素晴らしい。
「ドラゴン・タトゥーの女」なオープニングクレジットも微笑ましく、また謎のヒントになっているところもいい。
主な登場人物も特にフォーカスが当たるわけでもなく、淡々と主要人物が画面に登場するさりげなさもいい。誰もかれもが、特殊なわけでもなく、誰もかれもが、同じ側面を持っている。主人公然しない山本裕貴、毅然とした渡部篤郎の崩れ方。山本と渡部の関係も語られないがそれはいいだろう。
だが、その描写故、主要人物のだれもが、「なぜ」それを「するのか」、「できるのか」といったクエスチョンが緊迫感の持続を遮っているのが痛しかゆし。
記録係の手打ち入力。爆発の有無をネットニュースの速報で確認する。そんな警察署に駆け込むネットに踊らされた市民。なかなか引っかかる。
目指すべきてんこ盛りなエンターテイメントになっているが、個人的には回想シーンは全く必要ない。さらに爆破シーンは意外性がないため、展開の緩急になっていない。グロい描写が安っぽく、カメラが外に出れば出るほど逆に映画的な面白さが損なわれている。
お客さんを呼び込むエンタメ映画のための派手なシーンは必要、かと言うと、今年の邦画の充実ぶりを見ると、必ずしもその結論だけではないように思う。
思い切って、全く取調室から外に出ず、会話劇、密室劇に徹するほどの意気込みと練りこみを求めれば、よりインパクトを与える作品になったと思う。
「ジョーカー」で「ジョン・ドウ」な佐藤は、「容疑者X」。「レクター博士」のようなバックボーンの構築も可能。ここでは佐藤と山本の対決は、言葉遊び、「記憶力」の対決。そこに「間宮」な要素はないが(いや、無いわけでもないか)、萩原聖人にこの役をやってほしかったなあ。
もう全部吹き飛ばしてしまえ!
最高に面白かった。下手すると犯人?スズキに共感してしまう。そのスズキの指をへし折った年配刑事(名前なんだっけ)の気持ちも判る。如何に妙な性癖があったとはいえ、それを変態呼ばわりして取り囲むマスコミ、安易に動画を拡散、そして「俺シラネ」といって逃げを決め込む。警察の聞き込みにカメラを向けて嫌味をつける。世の中、良い奴なんて居やしない。アニメにしたら、さぞかし黒インクが足りなくなるだろうという、最初っから最後まで薄暗い映画のイメージ。とことん視聴者にストレスをかけ、むしろ犯人に共感してしまう。スズキから「あなたもそう思ったんじゃないですか」という問いかけは、まさに視聴者へのメッセージ。
でも、ちゃんと釘を刺すのはいいですね。「お前は悪だ」と言い切る年配刑事のセリフのお陰で踏みとどまった気分。露骨に爆弾で傷つく警察官を含めた被害者達の姿に、「悪いことをするとこういうことになるんだ」と目を覚まさせてくれる。そのへんが、この映画の良識だったと思う。面白さ半分、やっぱり見終えて鬱屈した気分にもなったけど、「高い焼き肉おごれ」というメッセージで少し上向き気分になれます。あのメガネの切れ者、類家くんもポーク(なんだっけ)が喰いたいというセリフ。そういえば「じゃりン子チエ」でも言ってました。「まずはお腹いっぱい食べること。お腹が減っていると、ついつい変なことを考えてしまう」ということなのでしょう。国民に飢えさせる国では駄目なんでしょうね。日本の豊かさもまた、治安維持の否決かもしれません。
あと、雑感というかなんというか。こういう事件、一人の犯人が知恵をふるって警察全てを翻弄するなど、本当に有り得るものかどうか。こういうフィクションって本当にファンタジーだと思う。ファンタジーというと語弊が悪ければ、現実味の無い夢物語。懲りに凝った計画犯罪って、なんの経験も無しにプランを組んで実行して、それがどこまで上手くいくものか。ようするに「手練れ」でなければ、「未経験」では駄目だと思う。常習犯で無ければ、成功率なんてかなり低いのでは無いか。
加えて、警察署の取調室で、強面の刑事の取り調べを受けて、どこまで踊りきることが出来るものか。あのスズキも若くないし、どんな経験を積んできたかは知らないけど、出世争いで殴り合ってきた警察相手に面と向かってからかうなんて、どれほど海千山千の経験を詰めば出来るものなのか。映画を見ていて、「そんな人間がいきなり登場するなんて有り得ないよな」という気分に終始囚われてしまいました。でも、だからこそ、「邪悪な怪物」ぶりが面白いんですけどね。
その怪物ぶりを演じきった佐藤二朗さんでしたか。凄まじい名演でした。役者陣が実に魅力的な凄い人達、類家くんが出演者の筆頭に上がってるけど、まさに怪物スズキこそ、この映画の主役だったのではないかと思います。
そういえば、類家くんの名乗りの連呼。あれがなければ、見ていて名前が認識できませんでしたね。役割がハッキリしていれば登場人物に名付ける必要はないと思っていますが。
グレーな部分
番宣で知り、信頼できる演者さんたちばかりだし、レビューも良いので張り切って観に行きました。原作未読です。
うーん。とても難しかったです。
タゴサクさんの出すヒントに気を取られて、謎解きをしてしまうんです。その間にもストーリーが進むので、置いていかれがちというか。
一見、動きがないような取り調べ室だけど、観ていて、頭の中ではすごく忙しかった。事実、長谷部刑事の不祥事を記事になる部分を、よく観れておらず、石川家を訪ねた目的や、長谷部刑事本人が家族に「事実だ」と説明する回想場面など、もう完全にわからなくて(笑)やべー大事な所を見過ごしたかも感がいっぱい。自慰シーンを観て、「あー…」となんとなく理解。急いで補完をはじめるものの、謎解きとストーリーを追いながらの仕事が増えた形になる。
でも、この作品は二重構造?もっと重なってるのかな…。
・タイトルにもなっている「爆弾」が仕掛けられているかも。という爆弾の、在りかや仕掛けや目的、動機を解くストーリー
・「わからなくもない」という、白とも黒とも言わないスタンス、それは人に寄り添う「余白」みたいなものなのかな、と。しかし、世間は白黒つかないことを否定するかのような、メディアや群衆の声というストーリー
・ダコサクさんが見ていた、「石川あすかさん」とはなんだったのだろう
なんとなく、解りそうで掴めそうなんだけど、腑に落ちる所までいかない( ˊ꒳ˋ ;)
きっと劇場で観れたことを、後ですごく感動しそうな気がするけど、一度観ただけでは理解が難しく、家でじっくり、あの時のセリフ、あの時の感情を丁寧に観たい。それを飽きさせないお芝居だし、拾わせてくれる信頼がありますね。
もう一度観に行こうかな〜(〃ω〃)
誰の心の奥にも存在する、最後の爆弾との付き合い方
スズキタゴサクと対峙する切れ者刑事・類家(山田裕貴)、そしてスズキの過去を追う刑事・等々力(染谷将太)。
彼らの瞳の奥には、少しの“俯瞰”と“諦め”が同居している。世の中を少し斜め上から見つめ、善も悪も冷静に分別したうえで、それでも「善だけでは救えない現実」があることを知っている。
そのまなざしは、
どこかスズキタゴサク自身と重なって見えた。
見つからなかった“最後の爆弾”とは、実は誰の胸の奥にも潜んでいるものなのかもしれない。それは私自身の胸の奥にも然りである。
映画を観終わったあと
ふとそんなことを思った。
ただ、犯罪者とそうでない人を分けるのは、
その最後の導火線に――火をつけてしまうかどうか。
多くの人はその存在を感じながらも、爆発させることなくその存在とうまく付き合って生きていく。またそれは、人生が誰にとっても容易ではなく、時に理不尽であるという真実を教えてくれる。
導火線に火をつけるのではなく、
静かに鎮める心を育てること。
それこそが“生きる”ということなのかもしれない。
タゴサクの爆弾導火線の着火地点にあった「明日香からもらったドラゴンズの帽子」。
もし捉え方をほんの少し間違えなければ、それは唯一の消火剤になり得たのかもしれない。
たったひとつでいい。
「信じられる誰か」
「心から好きだと言える何か」
その存在が、人生には不可欠だ。
それは私たちの心の奥にある“最後の爆弾”を静かに鎮めてくれる。
久しぶりにお笑いを全く封印したスズキタゴサク役の佐藤二朗さん。やっぱり彼には、こういう役が一番似合う。どこか他人を小馬鹿にしたような不気味な笑み、何を考えているのか分からない狂気の人、彼にしか出せない“静かな狂乱”にすべの人が翻弄される。そしてそれに対抗する切れ者刑事、類家を演じた山田裕貴さんも負けていませんでしたね。見応えのある取り調べシーンでした。染谷将太さん、伊藤沙莉ちゃん、坂東龍汰さん、渡部篤郎さんなど脇を固める俳優さんも豪華!見応えある演技で2時間を超える映画も長くは感じませんでした。
今年は見応えある良作映画が本当に多いと感じます。No.1を決めるのは本当に迷ってしまいます😅映画ファンとしてはうれしい悲鳴ですが、今作『爆弾』も間違いなく記憶に残る一本です。
ぜひ映画館でご鑑賞下さい♪
心の深い部分まで入り込んでいく137分
上映開始10分ぐらいから、助走なしにアクセル全開で最後まで進んでいくサスペンスクライム作品。
一言一句聞き逃さないように、放たれた言葉をすぐさま処理して、どこの言葉に意味があって、どの言葉が弄んでいるのか、見ているこっちもずっと脳内処理をしながら見たので、鑑賞後アドレナリンが出た状態でシアターを出た。つ…つかれた。
でもこういう映画体験は嫌いじゃないので、個人的にはすごく面白かった!
結末や真実を知っている状態でもう一度見たら、初回とは違った見方ができて楽しそう。
この作品を見れば、誰もが佐藤二郎という役者のすごさを思い知ることになる。
コメディのイメージが強いけれど「あんのこと」で演じた刑事役も素晴らしかった。
今作ではあの膨大なセリフ量を、取調室という画が変わらない場所で、いかに観客を飽きさせず、惹きつけられるかが肝となる難しい役だ。
しかし、抑揚と緩急、表情や動作で全く飽きさせることなく演じ切った。
彼が演じるタゴサクは、腰は低く、自虐的で、鼻につく感じではないけれど、対峙する人の心を見透かしているかのような言動をする。
あの無邪気な感じは、まるでヒース・レジャーが演じたジョーカーのようだった。
しかし時間が経つにつれて彼の得体のしれなさへの恐怖と不気味さが増していき、バケモノに見えてくる。そのグラデーションも素晴らしかった。
そんなバケモノに対峙して闘う山田裕貴演じる類家もこれまた魅力的。
最初は冴えない腰の低い男かと思いきや、本性を出してからの彼は最高にクールだった。
二人の一歩も引かない心理戦と話術の攻防戦は、見ていてワクワクするしかない。
山田くんは5ヶ月で3作品もの、キャラクターの違う主演3役をやってのけたのは本当にすごすぎる。
きっと誰もが心に爆弾を抱えていて、一歩間違えればタゴサクのように爆発してしまう。
でもその爆弾を抱えたまま、それを爆発させないように生きていくのが人間だ。
でもきっと今もどこかで、爆弾のカウントダウンが始まってる人がいるのかもしれないと思うと、とても怖い。
彼は我々の闇の部分を具現化した生き物なのか。
最後の終わり方もゾワっとした。
是非映画館で体感してほしい。
佐藤二朗ショー
なかなかの怪作というか、佐藤二朗ワンマンショーみたいな映画だったのだが、いかんせん私は佐藤二朗の芸風が苦手なので、彼のどアップの連続とクセつよ演技の炸裂ぶりにちょっと辟易してしまった。佐藤二朗ファンの方本当にごめんなさい。
原作未読なので映画の情報のみでの評価になるが、話の土台の部分がちょっとわかりづらかった。原作を読んでおけばよかったかもとちょっと後悔。
そもそも山脇と梶、石川辰馬は何故環状線の爆破を計画したのか。長谷部の心の闇が何に由来するものなのか。タゴサクに行動を依頼した明日香の動機。明日香が息子の辰馬を殺した理由も今ひとつ腑に落ちず。明日香から頼まれただけであそこまでするタゴサクのモチベーション。
全く描写がないとは言わないが、山盛りのネタに対して人物造形の作り込みが乏しすぎる気がした。さらっと流されたこの辺りのことが引っ掛かり、テンポよく進んでいく物語に乗りきれなかった。
取調室でのタゴサクと捜査一課の面々とのやり取りの緊迫感はよかった。前述のように私は佐藤二朗の芸風が苦手なのでタゴサクのトークにも嫌悪感を抱いたのだが、そもそもタゴサクは観客に嫌悪感を抱かせたら正解と言っていいようなキャラなので、私の受けた印象は佐藤二朗の狙い通りということなのかもしれない。
佐藤二朗 vs 染谷将太、渡部篤郎、山田裕貴の畳み掛けるような台詞の応酬は、爆発シーンと並んで見応えがあった。彼らの間で行き交う言葉を追いつつ、タゴサクの言葉遊びの謎解きにも気を回すため自ずと集中して展開を追うことになる。この辺はゲーム的な要素があって面白かった。
ただ、タゴサクの弾丸トークに垣間見える彼の主張、「人の命が平等だとか欺瞞じゃね? 心の奥では皆そう思ってんだろ?」といったような(違っていたらすみません)メッセージには、正直あまり新鮮味がなく、タゴサクをそれほど怖く感じなかった。あれだけ意味深な言葉を立て続けに吐いて、たまに突然大声も出すのだから、見るからにヤバい奴、という意味での怖さはそれなりにあったが。
個々の人間にとって他人の命が平等でないのは当たり前であり、ただ社会秩序のために「命は平等」という単純化した理想を標榜しているに過ぎない。社会秩序が失われれば個々人が危険に晒されるから当然のことだ。だから社会秩序を守る立場の警察の人間が、命は等しく大切だという体裁を取るのも当然だし、類家のように本心では誰かを殺したいと思ったことのある刑事がいるのもこれまた当たり前。そこを今更つついて喜んでいるタゴサクが、ちょっと子供っぽく見えてしまった。
相手の心に踏み込むサイコキャラを出してくるなら、普通に話しているだけでいつの間にか取り込まれそうになる怖さ、あれ?この人そんなに間違ったこと言ってなくね?となりそうになってゾッとする怖さを感じたかったが、タゴサクにはそれはなかった。あくまで私の主観、好みの問題だろうけど……
終盤もちょっと不完全燃焼というか……爆発物を仕込んだのが辰馬たちとは分かったけどもう死んでるし、そもそも明日香は娘を守るために犯罪を計画した辰馬を殺したのかと思ってたら自分が警察署に爆弾抱えて来てるし(不発だったけど)、発見しきれない爆弾残ったまま終わるしで消化不良感が強かった。
山田裕貴のインタビューによると「ベートーヴェン捏造」と撮影時期がかぶっていたようで、彼と染谷将太(上記作品にセイヤー役で出演)の演じ分けを味わうというメタ的な楽しみはあった。
見ごたえある芝居
今年の日本映画は豊作だと思うが、これも特筆すべき一本。『国宝』も本作も、日本の役者の実力を感じさせる作品が多く出てきたのは素晴らしいことだ。日本の役者は本当は上手い。その実力を存分に発揮できる脚本と環境さえあれば、もっと羽ばたけるはずだ。
この作品の大部分の舞台となるは取調室なので、舞台があまり頻繁に変えられない。同じ舞台が続くので、撮り方の工夫もいっぱいしているんだけど、それも無限のパターンがあるわけじゃない。それでも観客を飽きさせてはいけない。飽きずに観客の目を画面に釘付けにできるかどうかは、役者の芝居にかかっている。佐藤二朗は見事にその重責に応えて見せた。異様な迫力と底知れない不気味さで観客を震え上がらせる見事な芝居だった。
佐藤二朗と相対する山田裕貴の“スイッチの切り替わる感じ”も良かった。最初はおとなしそうに先輩刑事を立てている感じで出てくるが、取り調べ室の机で佐藤二朗と正面を向かい合ってからは、人が変わったように強気の感じが出ていて、存在感で負けていない。こういう骨太な芝居を見せる日本映画が増えてきているのは、とてもいいことだし、それにお客さんがいっぱい入っているのも希望がある。
それにしても漢字2文字のタイトルの邦画が話題になってるのは偶然なのかな。
シンプルなタイトルブームが来てるんでしょうか。まあ、一部のラノベみたいなタイトルは個人的にはもう飽きてるけど。
取調室の会話劇の「静」と事件現場における「動」のバランスが良く、役者陣の名演技と監督のセンスが光るサスペンス映画の名作!
本作は、物語の展開の面白さに加えて、映像の「静」と「動」の対比も見事。
「静」の取調室のシーンは、まさに演技合戦の応酬。正直なところ、「本作の主演は誰?」と思ってしまうくらいに佐藤二朗の存在感がありました。これまでの佐藤二朗といえば福田雄一監督作に登場する「とてもおちゃらけた人」か、「宮本から君へ」や「はるヲうるひと」などで見せる本来の体格を活かした「とても怖い人」という印象でした。
ところが本作では、その中間くらいの絶妙な演技で、「国宝」が無ければ今年の日本アカデミー賞で助演男優賞を受賞するんじゃないかと思うほど、年間ベスト級の演技です。
主演の山田裕貴は――ひょっとしたら佐藤二朗よりも出演時間が短いのかもしれませんが――最大のハマり役でブレイクのきっかけとなった「東京リベンジャーズ」のドラケン役を彷彿させるほどに役がハマっていて、独特な存在感を放っていました。
この2人以外のキャストも見事で、「静」の取調室のシーンのやり取りや緊迫感は大きなスクリーンで一見の価値があります。
そして、その「静」から一転する「動」となる現場では、本物の火薬を使って爆発させた圧巻のシーンが多く、現場の警察官やエキストラに至るまで小道具も含めリアリティーに溢れていました。
似たような構造の作品に「ラストマイル」がありましたが、内容がより凝った面と演技合戦の応酬、本格的な爆発シーンなどのリアリティーから、私は本作の方を推します。ただ、「ラストマイル」が気にいった人には本作も同様に気にいると思います。
キャストとスタッフのただならぬこだわりを強く感じる、新たなサスペンス映画の名作です。
【怪物vs天才】
怪物”スズキタゴサク”の誕生譚。
見た目で彼を舐めてかかった者は、ことごとくその怪物に飲み込まれていく。上から目線の所轄署員も、エリート意識の強い警視庁の刑事も、誰一人としてタゴサクの足元にも及ばない。
圧巻なのは、スズキvs類家の対峙が始まってからだ。
天才同士が繰り広げる言葉の掛け合いは息をのむ迫力。最初は軽んじていたはずの類家すらも、じわじわと「タゴサク構文」に取り込まれ、自身の深層心理まで暴かれていく。彼が被っていた仮面が剥がされるシーンはまさに圧巻だった。
高すぎる知能ゆえに生きづらい人間の性を浮き彫りにする展開も、原作の息苦しさを極力映像化しようとしていて見事。
結局、怪物に誰も勝てなかった絶望感と心理戦の面白さが詰まった一作。続編小説もかなり面白いので、ぜひこのクオリティで映像化してほしい。
田吾作無双
ミステリー映画として面白い
豪華俳優陣勢揃いということで、シンプルに役者たちの演技力で面白い作品になっています。
タイトルの「爆弾」とは裏腹に、派手な爆破シーンというより取調室での問答を中心にストーリーが進み、その会話劇にこそ見応えのある作品です。
どの俳優さんも素晴らしいですが、その取調室での演技では、安定の怪演を見せる佐藤二朗も良かったですし、それに対抗する山田裕貴も一つ階段を登ったなと思わせる目を見張る演技でした。
また登場人物が多い割には整理され見やすかったです。
・加藤雅也のあの癖は一体何だったんだ?というか、それくらいのことであそこまで家に落書きされるくらい非難されるの?どっちかって言うと職業倫理的には、それをリークした奴のほうが糾弾されて然るべきじゃない?
・佐藤二朗、あんなに警察相手に渡り合えるのに、どうしてそんな貧しい生活に身をやつしてんだ?お前ならもっとやれたはず。
総じて言えばエンタメ映画としてとても良い作品でした。
原作を読みましたが、原作のイメージ通りの作品ですね。 ただ、映像に...
原作を読みましたが、原作のイメージ通りの作品ですね。
ただ、映像にすると尺の関係で、どうしても
描ききれない部分があるわけで、それが残念。
タゴサクと類家の頭脳合戦は、もっとじっくりと
見たかったです。
タゴサクの役は、佐藤二朗以外誰がやるんだ
という感じですね。まさにハマり役。その演技にも
圧倒されました。ただ、等々力はちょっと
イメージが違いすぎかな。
最底辺に潜む怪物の「履歴書」――タゴサクがホームレスを選んだ夜
一言で言おう。ストーリーの謎を追いかける純粋な愉悦、そして何より、笑いを封印した佐藤二朗の怪物的な演技力に、心の底から酔いしれる作品であった。
物語の導火線となる、あの取調室のフックの鮮やかさは秀逸の一言に尽きる。
だが、観終わってなお、胸の奥にくすぶる素朴な疑問が一つある。頭脳明晰で、人の心の機微を冷徹に捉え、警察をも手玉に取る絶妙なプレゼン能力を持つスズキタゴサクという男が、なぜホームレスなどという境遇に甘んじていたのか、だ。
国家の闇に生きる「別班(ベッパン)」のような特殊な背景があるならまだしも、だ。
結論から言おう。彼の怪物たる知性は、社会で出世し、富を得るためにはハナから設計されていないのだ。
他人の化けの皮を剥ぎ、社会の欺瞞を暴き立てる「破壊」の瞬間にしか、その牙は研ぎ澄まされない。
失うものが何もない「無敵の人」という最底辺のポジションこそが、世間をひっくり返すゲームを仕掛けるための、彼にとっての最高のドレスコードだったのではないか。
持てる才覚をすべてドス黒い悪意に注ぎ込み、他人の犯罪さえも口先一つで乗っ取ってみせた男の業(ごう)。一見の価値あり。
これは、理不尽な世界に対して牙をむいた、ある天才的な怪物の哀しきサバイバル劇なのだ。
タイトルなし(ネタバレ)
スズキタゴサクは口がよく動き頭もよく回る。
明日香の頼みを聞いたからだと。
明日香は息子たちの計画に慄然とし息子を殺し、
最後の爆弾💣で俺タゴサクを殺せと言われて
警察署に来る。
が爆弾💣はフェイク。
大人気の本だっただろうから、
話す内容も驚くばかりで、
ずーっとタゴサクと等々力、清宮、類家との
やりとりに神経集中して聴き入ったのだが、
理由が判然としない。
長谷部の息子が家出したとしてもなぜ爆弾💣犯に?
そしてなぜ仲間を殺したのか?
明日香が息子を殺したのは阻止する為ではなかったのか?
だが、時すでに遅しで自動販売機に仕掛けられていた。
その全てをタゴサクになすりつけようとして
タゴサクが気づき反旗を翻したのかどうか、
新たに爆弾💣を仕掛けてしまった。
環状線の駅のは息子たちが仕掛けたモノだが、
それ以前のは、スズキが仕掛けたとかして
爆発する順番として可能なのか?
そして、結果としてどんな被害になるかわからないモノを
複数仕掛ける人間とはどんな人間たちか?
傑作だが脚本に致命的な欠陥
代々木の時、類家がなぜかビデオを再生せず見ていてイライラ。おまけにボードを眺めながら「どこだ、どこで指1本たてた?」と記憶をたどりながらつぶやくシーンは、もはや何かのコントです。
ホームレスの話をした直後に指一本立てたところがビデオに撮られているわけだから、再生さえすればすぐに分かったはず。
ということで、原作を借りてきて読んだら、真相がわかった。なんと原作ではビデオ撮影をしていなかったのです。そのためスズキがダラダラと話しているとき、気づかぬうちに指が1本立てられていたというのが原作。ビデオを撮影することにしたのは、おそらく脚本が出来上がって、撮影が始まってからの事だと思われます。
編集していて、この整合性のなさに誰も気づかなかったんでしょうかね。
自分ならホームレスの話をした後、子供の話をしてここで指一本立てます。スズキはヒントを出す前に関係ない無駄話をする、九段下の時のように爆弾は複数あるが標的は一種類という先入観から、類家は子供の話のところから何度もビデオを再生し問題を解けない。しかし三本目の「命の選択」という言葉でもしかして、とビデオをさかのぼって再生し、気づいたときは手遅れだった…というふうにしますね。
傑作なだけにとても残念でした。
役者は佐藤二朗の怪演は言うまでもなく、伊藤沙莉の迫真の演技にはちょっと涙ぐんでしまいました。
佐藤二朗の演技が圧巻!これだけで観る価値あり
普段はポイ活でお得に娯楽や旅行、ワインを楽しむ、バカワインです。
何となく、ミステリ作品を観たくて、NETFLIXで視聴を始めた作品。
だが、観て10分ほどで完全に引き込まて、どんどんのめりこむことに…
あらすじは、暴行事件で留置された正体不明の中年男・スズキタゴサク。
彼は「霊感が働く」と刑事に話し、都内に仕掛けられた爆弾の存在をのらりくらりと予言しはじめて、山田裕貴演じる天才刑事との攻防に…
まず、この作品のすごいところが、スズキタゴサク演じる佐藤二朗の演技力。
長いセリフをスラスラと淀みなく語るところが、「いるいるこんなヤバいやつ!」という感じになる。
そして、山田裕貴との会話になっているようでなっていない、うまいかわし方も憎いのなんの。こんな奴、近くにいたら「〇してやりたい!」と思うこと間違いなし。
本当に怪演という言葉がぴったりくる、はまり役だった。
この演技だけで、「爆弾」という作品を観る価値がある。
筆者の点数も、佐藤二朗に引っ張られたもの。恐るべし…
これは、、、タゴサクの、、、
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