「いい意味で複雑にアップデートされた待望のシリーズ最新作」スパイダーマン ブランド・ニュー・デイ 清藤秀人さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0 いい意味で複雑にアップデートされた待望のシリーズ最新作

2026年7月31日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

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トム・ホランドがピーター・パーカー=スパイダーマンを演じるリニューアルシリーズの最新作は、前作『スパイダーマン: ノー・ウェイ・ホーム』('21年)で描かれた出来事、つまり、ピーターが愛する人たちを守るために彼らの記憶から自らの存在を消し去ったことを、いかに修正するか?というのが重要なポイントの一つ。そして、スパイダーマンの前に現れたヴィランがあからさまな悪の象徴ではなく、スパイダーマン自身が抱え込む拭いきれない苦悩を共有する存在として現れる点がもう一つのポイントだ。スクリーンに登場してから約四半世紀が経過したシリーズは、スーパーヒーローものから青春映画の扉を拓いた今、より、複雑で味わい深い作品にいい意味でアップデートされている。まず、それが率直な感想だ。

トムホ主演のシリーズ3作を監督したジョン・ワッツがメガホンを受け継いだデスティン・ダニエル・クレットンは、マイケル・B・ジョーダンの隠れた代表作『黒い司法 0%からの奇跡』('19年)からマーベルの『シャン・チー/テン・リングスの伝説』('21年)までをカバーするハワイ・マウイ島生まれの日系アメリカ人を母に持つ注目の逸材。ハリウッドメジャーはフランチャイズムービーの監督を選ぶ際、大胆すぎる選択をしてたまに外すこともあるが、今回は大成功だったようだ。

ビジュアル的には、舞台がニューヨークに戻ったことで摩天楼の間を自在に浮遊するスパイダーマンの自由と歓喜が伝わる空中シーンと、糸が繋ぎ、結び、吊るし、塞ぐ場面、そして、ラスト近くに用意されているピーターとMJのあるシーンにうっとりしてしまった。

清藤秀人