「ルーカスが示した「可能性の昇華」。記号に頼らず、幹のレベルでSWを体現した良作」スター・ウォーズ マンダロリアン・アンド・グローグー daiphxさんの映画レビュー(感想・評価)
ルーカスが示した「可能性の昇華」。記号に頼らず、幹のレベルでSWを体現した良作
一部で「ライトセーバーや馴染みの音楽がない」「本筋に関係ない寄り道が多い」という批判もあるようだが、私はむしろこの構造にこそ本作の映画としての正解があると感じた。
もしここでオールドファンを喜ばせるためだけの分かりやすい記号を詰め込み、メインストーリーの進行だけに特化させてしまえば、それこそ「TVシリーズを完徹していないと付いていけない敷居の高い映画」になっていただろう。劇場版として一見の客を拒まないためには、このくらい間口を広げた普遍的なストーリーテリングであるべきだ。
また、一見遠回りに思える「寄り道」こそが、スカイウォーカー家の物語から離れた「銀河の日常や文化」を描き出し、フランチャイズに圧倒的な深みとリアリティを貢献している。
本作の制作陣がやっているのは、過去の遺産を枝葉のレベルで表層的に模倣することではない。目に見えない空気感や泥臭さといった「幹の部分」で、見事にスター・ウォーズらしさを体現している。
ジョージ・ルーカスが描いた世界をただの金科玉条(変えてはならないお約束)として守るのではなく、そこで示された広大な可能性を現代に昇華させていく。コアファンを唸らせる強度を持ちつつ、間口はどこまでも広く。スター・ウォーズというIPが持つ底知れない「裾野の広さ」を証明した、非常にクレバーな傑作だと思う。
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